日本のみならず、世界で活躍するバンド、ONE OK ROCK。ボーカルのTakaは、ライブや海外渡航が難しいコロナ禍においても、SNSを活用して積極的な発信を続けてきた。彼はなぜ発信し、音楽とどのように向き合っているのか? 10年にわかって担当している映画主題歌への思いから、その考えに迫る。Takaが目指す、反逆と破壊、そして創造とは?

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■コロナ禍の鬱屈とした思いや怒りにもリンク、日本の音楽業界への見方は?

――2012年公開の『るろうに剣心』から今回の二部作まで、すべての映画作品でONE OK ROCKが主題歌を担当。主題歌について、監督から細かいオーダーはないそうですね。

【Taka】第1作目からそうでした。当時、これだけ大きな企画で主題歌を担当するのは、僕らも初めての経験で。マンガもすごく人気の作品だし、実は結構ナーバスになっていたんですよ。でも試写を観終ったあとに大友監督が、「じゃあ、カッコイイの、よろしくお願いします」って(笑)。最初は「キッツ…」と思いましたが、逆に“お任せ”なのであれば、しっかり僕らのスピリッツを投影しなければと身が引き締まりました。

――様々な映像作品の主題歌を担当していますが、どんなことを大切にしていますか?

【Taka】その作品を観終ったとき、最初に感じたインスピレーションを大事にしますね。あとは、最初の一音。吐息なのか、楽器なのかはその時々ですが、そこにすべてを込めて作っていきます。1作目の主題歌「The Beginning」では、絶対ボーカルから始めたいと思っていました。

――公開中の『るろうに剣心 最終章 The Final』の主題歌「Renegades」は、エド・シーランとの共作。この曲に込めた思いは?

【Taka】タイトルは、直訳すると“反逆者たち”。あまり良い響きに捉えられないかもしれませんが、既存のものに抵抗していくという意味でもあります。剣心は人斬りというバックグラウンドを持ち、時代を変えなければいけないという使命感を持って生きてきた孤高の人物。僕らも目指すところは、絶対に何者とも被りたくない、自分たちで何かを変えていきたいということ。そんな僕らと剣心の心情をミックスして作った曲です。いまのコロナ禍における鬱屈とした思いや、怒りにもリンクする部分はありました。

――「自分たちで何かを変えていきたい」というのは、音楽業界に対するメッセージでもあるのでしょうか?

【Taka】反逆とか破壊と言うと、ざわつく大人がいそうですが(笑)、そういう大人もいろいろなことを壊していまの仕組みを作ったんですよね。良い部分もありますが、既存のものに甘んじて変化していかないとダメになる。音楽業界に限らず、利権が生まれるとダメな人がいっぱい育ってしまう。音楽で言えば、純粋にピュアな思いで創作する人が減ってしまい、突き抜けた才能も潰されかねない。そういう社会は絶対良くないと思うので、僕らはどんどん壊していきたいんです。

――SNS等での自由な発信も、既成の仕組みを壊していくという試みの一つ?

【Taka】そうですね。間違えることもたくさんあるのですが、自分で道を作っていくことが一番大事だと思うんです。発言すること=責任を持つことなので、常に自分を客観視することもできます。生きることはすごく難しいですが、そこにフォーカスを当てた瞬間、パッと生きることが楽しくなることもある。大げさに言うと、刺激がないと生きている心地がしないので、自分の思ったことは発言するし、そのリスクに対してもしっかり背負おうとは思っています。

――アーティストというと、近寄りがたいことがステイタスになっていた時代もありました。しかしTakaさんは、コロナ禍におうち動画を公開したり、カバー動画を投稿したり…。さらに交友関係、親子写真なども公開されていますね。

【Taka】時代は変わっていますからね。僕もカッコつけていた時代はありましたが、いまってなにもかも判断が早く、1曲じっくり聴いてもらってなにかを感じてもらうということが難しい。だったら、まずは僕という物体に興味を持ってもらい、その先に曲があるという方がリーチしやすい。だから僕はステージの上だけにいるのではなく、積極的に降りようと思っています。親近感を持ってもらえることって、とても大きなことですよね。

――すでに多くのアーティストから目標にされ、追われる立場ですね。

【Taka】良いバンドやクリエイターが出てくるに越したことはないですよね。僕らも超えられないように頑張らなければいけないし、「『るろうに剣心』を観てアーティストになりました」と言ってもらえるような存在ではいたいと思います。

――若い人たちの突き上げを感じていますか?

【Taka】どんどん、才能あふれるアーティストが出てきていると思います。すごく良いことだと思う一方で、「超えられるものなら超えてみろ!」って、ガンガン潰していきますよ(笑)。

――また、『The Beginning』(6/4公開)の主題歌「Broken Heart of Gold」もエモーショナルな素晴らしい楽曲でした。

【Taka】僕はシリーズのなかで、この作品が一番好きでした。とにかく健の役者人生のなかで、ここまで自らを追い込んだ作品はないんじゃないかなと思うぐらいすごかった。健自身も、過去の作品を何周もして、最後にこの映画に臨んだんだろうなって。そんな健の作品に対する空気感や雰囲気を大切に作りました。

――佐藤さんへのリスペクトを感じますが、お二人の出会いは?

【Taka】18歳ぐらいのときですね。自分の人生において、健と出会ったことはすごく大きなこと。彼といろいろな意見交換をしましたし、僕のなかでは、ONE OK ROCKのことを一番理解してくれている人間だと思っています。

――出会ったころから、なにか感じるものがあった?

【Taka】普通じゃないっていうか、すごかったです。深いところで物事を理解しようとしている人で、大人になるのも早かった。彼が僕らの曲を最初に聴いたときの衝撃を語ってくれることがあるのですが、同じような感覚や刺激を僕も『るろうに剣心』を観て感じました。その意味では、すごく良いバランスの関係性だなと思っています。性格的にも僕は“陽”で、健はちょっと“陰”な人。そこもバランスが良いなと感じています。

――信頼できる人と作品を共にできるというのは、大きなことですね。

【Taka】彼の人生を掛けた映画に携われるのは、すごく嬉しいですね。10年に渡って、健が剣心というキャラクターを変わらない熱量で演じたことに脱帽しますし、彼の人生が作品に詰まっているなと感じています。今回も、映画を観ているというよりは、健を観ている感じでした。健とは友情を超えたものがあるので、一緒に仕事ができるというのは幸せなことだと思っています。

――本当に、お互いを高め合ういい関係だと思います。

【Taka】最初の映画のとき、健と一緒に映画館で観たんです。曲が流れるエンドロールでお客さんが立ち上がったらどうしようと思っていたのですが、みんな最後まで席に座っていてくれて。「よっしゃー! やって良かったな」って喜び合ったのを覚えています。今回も、ぜひ最後まで席を立たずに観ていただけるとありがたいです。

(文:磯部正和)