コロナ禍の外出自粛によって旅行が制限されるなか、写真家がSNSで発信する国内、海外の絶景写真が注目を集めている。気軽に旅行気分を味わえたり、いつか実現するであろう旅行計画に思いを馳せたり…さまざまな楽しみ方ができる絶景写真。加えて、スマホでの撮影やSNSでの公開といった誰でも気軽に発信できる基盤が整ったことも、新たな絶景スポットの発掘に貢献している。今回は、そのなかでもSNSで話題を集めた3人の写真家にクローズアップ。それぞれユニークな視点をもつ写真家たちに、撮影時の状況やSNSでの活動について話を聞いた。

【写真】『ドラゴンボール』の実写版!? 「寺から象がニョキッ⁉」まるで漫画、大反響のタイのびっくり建物

■海外に存在した『ドラゴンボール』の世界、タイで撮影された写真に驚きの声が殺到

 Twitterで話題となった、タイにある2枚のお寺の写真。『ドラゴンボール』の“蛇の道”を思い出させる大蛇に囲まれる建造物と、『ONE PEACE』の“ゾウの島”のような巨大なゾウの頭部オブジェが設置される寺。そんなインパクトある2枚の写真に、漫画の世界が実在しているようだと驚きの声が多く寄せられた。

 撮影者の_deepskyさん(@_deepskyy)は元々、一風変わった建造物が好きだったという。旅行でそうした場所をよく訪れ、“異世界風”な写真を撮影、趣味としてSNSで発信を続けるなかで、写真家として活動するように。自身の活動を振り返り、「SNSの発展により、プロとアマの境界線が曖昧になってきている気がします。僕自身はプロだとは思っていなくて、プロとアマの定義は不透明であると感じます」と分析する。これまでタイ、インドネシア、中国、アメリカなど海外の“異世界風”絶景スポットを撮影していたが、コロナ禍で活動に制限がでるなかで、国内の魅力も発掘するようになったという。写真の反響について、「海外の方からのコメントも多く、世界中の方々に素晴らしさが伝わったのかなと嬉しく感じました」と喜びを語った。

 
 近年、SNSを中心に「廃墟ファン」が増えている。安全性やさまざまな制限から実際には中々訪れることはできないが、写真を鑑賞し楽しむ人が増え、最近では書店に「廃墟」コーナーができ始めているという。

 そのようななか、廃校となった小学校に取り残されたデスクチェアの写真が「美しい」と話題になった。写真は、座面に緑鮮やかな苔を生やすデスクチェアが、朽ちた建物の中でたたずむ姿をおさめている。あまりに神秘的な姿に、「絵画かと思えるくらい美しい」「作者は地球ですね」「ラピュタのよう!」と、驚嘆の声が多く寄せられた。撮影スポットは、東北にある木造校舎の小学校。撮影者のtoshiboさん(@JIYUKENKYU_jp)は、これまで写真の場所に3度訪れている。3年前の訪問の際には苔は少なく、また冬に撮影した際には、もう少し枯れた雰囲気であったと、異なる姿をみせる廃墟に驚きを感じたという。廃墟の魅力について「人の手から離れたことで起こった経年変化の作用で、日常では目にすることができないような光景が空間の中に構築されていること」と語る。

 さまざまな廃墟写真をSNSで発信するtoshiboさん。廃墟をテーマにした写真展への出展やフォトブックの刊行などSNSの外でも廃墟の魅力を発信している。今後の活動の展望について、「写真とは離れるのですが、この趣味界隈にて変わった考え方の人や活動をしている人と多く出会うことができたのですが、そういった人(作家)にスポットライトを当てるような何かをやってみたいです」と述べる。

■地元出身だから知っている、富山県の天国級の絶景スポット「帰省できない人、旅行我慢している人に向けて発信」

 「チューリップ、菜の花、桜並木、雪山」を一度に鑑賞できる美しい風景をおさめた一枚の写真が、まさに「まるで天国みたい」だと話題を集めた。撮影スポットは富山県朝日町船川べり。撮影者のイナガキヤストさん(@inagakiyasuto)が、地元・富山県の写真をSNSで発信し始めたのはコロナ禍でのことだった。コロナの影響で富山県に帰省ができない人やお出かけを我慢している人に向けて、「写真を見て少しでも楽しんでいただきたい」という思いが原動力になっている。春の風景のほかにも、冬の雪山、紅葉の美しい秋の山、村や港町など四季折々、圧巻な風景を生み出す富山の姿をおさめたイナガキヤストさんの写真に、県外の人からはもちろん、地元の人も魅力を再発見している。

 イナガキヤストさんは、SNSでの富山絶景写真がきっかけで、とやま観光推進機構に写真を提供するように。現在はNHK富山『イナガキヤストの本気旅』、KNB北日本放送『眺めのいい時間』へも出演中であり、富山を愛する写真家としてさまざまな地域振興活動に携わっている。