南海キャンディーズ・山里亮太とオードリー・若林正恭による「たりないふたり」が、5月31日に東京・下北沢で行われる配信ライブ『明日のたりないふたり』をもって、解散する。2009年にお笑いライブ『潜在異色』で生まれ、2012年『たりないふたり』、14年『もっとたりないふたり』と日本テレビの深夜番組で漫才を披露してきた2人が、コンビ活動に終止符を打つことになるが、番組を立ち上げ、現在は編成部に所属する安島隆氏が、これまでの足跡を振り返る。第2弾は、14年の『もっとたりないふたり』について印象的なエピソードを明かす。

【写真】すべてはここから…9年前の『たりないふたり』カット

■2年間のパワーアップが生んだ“即興漫才”は「山里・若林、上か下か論争」のきっかけ?

 2012年に『たりないふたり』をワンクールやったら、ありがたいことに話題にもなりましたので、「ぜひやります!」という感じでした。だけど、まず2人の状況が2年前と全然違っていて。輪をかけて忙しくなったので日テレで漫才を作るために合宿をしてっていうことは時間的に無理でした。あとは、ちょっと燃え尽き症候群というか、『たりないふたり』は1クール全部新作漫才だったので、やりきったという思いもみんなの中にあって、そこからもう12本作れるかという懸念もありました。

 だけど今思い返すと、この12年がつながっているなと感じることでもありますが…最初の『たりないふたり』は打ち合わせをしてカッチリ作っていたのですが、今回はその時間もないので、じゃあ即興で漫才をやりましょうかという企画が生まれたんです。しかも漫才作りの話し合いを40分リアルにやるんですが、それを全部お客さんに見せたんですね。その分漫才へのハードルも上がる部分もあるし、会議内容をフリに使って裏切ったりして笑いを作れる部分もある。その匂いを現場で感じながら臨機応変に判断して2人が漫才を作り上げるという離れ業は、たりないふたりからの2年間で2人ともさらにパワーアップしたから可能になったんでしょうし、今の即興性が強い『たりないふたり』の源流ですね。

 話し合いが終わると、そのまま本番に突入するから内容を覚えられないということで、
話した要素をまとめたホワイトボードをステージの向かいに置き、それを見ながら、その場で漫才作り上げて披露までしてしまう2人は改めて天才だと思ったし、しびれました。しかも、その漫才がめちゃくちゃ面白い。

 だけど今回改めて見返してみたら、この時期から「山里が若林に嫉妬する」という構図が生まれ始めてもいるんですよね。即興漫才の若林くんの構成力とか展開力がすごすぎて、それを受けて返していく山ちゃんももちろん同じくすごいんですけど、山ちゃんは「若林に勝ちたい。オレも天才だと思われたい」と思い始めているんですね。それを一緒に飲んでいるディレクターに夜な夜な愚痴っていると聞いて(笑)、カメラを回して、3回目の即興漫才となるのですが、これも今に至る、山ちゃんがぶち上げた「山里・若林、上か下か論争」につながっていくと(笑)。

■“ネタ帳”見せ合う企画が生んだ熱量「山ちゃんと若林君しか入れないゾーンがある」

 お互いのネタ帳を見せあう回も印象に残っていますね。もがいた果てに「南キャンのスタイル」「オードリーのスタイル」という唯一無二の漫才を見つけたもの同士が、お互いが長年つけてきたネタ帳を見るという企画です。どうやれば自分たちだけの漫才を作れるのか。死ぬほど考えてきた人同士だから、僕らでは気づかないような「若林くん、ここで何か見つけたね」「山ちゃん、ここで変わっているね」というポイントを、ノートを読みながら指摘しあえるんですよね。

 ズレ漫才のきっかけがわかったり、しずちゃんの暴力的なボケに山ちゃんがこういうツッコミをすればいいんだと気づく瞬間があったり。山ちゃん、若林くんそれぞれからノートを預かって、僕たちスタッフは中身を見ずに、それを2人に渡しました。それぞれ気になったところに付箋をつけてもらって、スタッフも、2人がノートのどの部分に触れるのかわからない状態で収録をやりました。

 だから、あんなふうに、あそこまで芸人さんというか、人間としての生きざまがむき出しになるみたいなところまでいくとは想定できていませんでした(笑)。ノートの中身は本来、人に見せたくないものだと思うので、僕らスタッフは不用意にページをめくることはできませんでした。やっぱり、2人にしか入れないゾーンがあるというか、そこは周りが踏み越えちゃいけないというか、そういう部分があると思うので。お互いがお互いのとんでもなく深い、奥の奥まで知りたいと思ったからこそ、成立した企画でしたし、ここまでたりないふたりが熱量高く続いてきた原動力のひとつになった気がします。(Part.3『さよならないふたり』編に続く)

◇『もっとたりないふたり』ラインナップ(Huluにて配信中)
第1話 もっと漫才がたりない
第2話 もっと飲み会がたりない
第3話 もっとベストアンサーがたりない
第4話 もっとテレビがたりない
第5話 もっと漫才がたりないPart1
第6話 もっと40歳がたりない
第7話 もっと漫才がたりないPart2
第8話 もっと結婚がたりない
第9話 もっと漫才がたりないPart3
第10話 もっとお互いの理解がたりない
第11話 もっとお互いの理解がたりないPart2
第12話 もっと漫才がたりないPart4

■『明日のたりないふたり』
公式ホームページ:https://www.ntv.co.jp/tarinai/
配信日時:5月31日 午後6時30分
チケット:一般視聴チケット 3000円(GOTOイベント適用 2400円)