Netflixで27日から独占配信がスタートするNetflix オリジナルアニメシリーズ『エデン』のスペシャルイベントが26日、オンラインで開催された。主人公サラ役の高野麻里佳、E92/パパ役の伊藤健太郎、A37/ママ役の氷上恭子、そして入江泰浩監督が登壇。ここでしか聴けない制作の裏話をたっぷり披露した。

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 同作は、4話のアニメシリーズとしてはもちろん、映画のようにも楽しめる、完全新作のアニメーション。2体の農業用ロボットに愛され育てられた人間の少女サラが、世界に隠された謎に立ち向かう感動のSFファンタジーだ。

 今回のイベントでは、作品の舞台となる千年後の地球を再現。ロボットだけが暮らす自然豊かな世界<エデン>で、サラとパパママロボットが初めて出会った思い出の場所の“りんご畑”が拡がるバーチャル空間に、高野ら登壇者4人とオンライン試写会の当選者が大集合。スペシャルゲストとしてE92 とA37の2体のロボットもお祝いに駆けつけた。

 <エデン>でたった一人の人間として暮らすサラを演じた高野は「こんなにたくさんの人間を見たの初めて!」と、元気いっぱいのサラ顔負けの笑顔で登場。伊藤も「いい充電できましたか? おや? これは! 有害有機物発見!」、氷上は「ここにいる皆さんがエデンを観てくれる確率99.999…%!」と、役柄にちなんだせいふを披露し会場を盛り上げる。続けて入江監督も登場し、久しぶりの対面を喜ぶ。さらにスペシャルゲストを呼び込むため、高野が「パパ! ママ!」と叫ぶと、なんと作品に登場するパパロボットE92がのっしのっしと登壇。遅れた様子で慌ててやってきたママロボットA37 が登壇すると、さらに興奮が高まった。

 日本のアニメ界と世界中のトップクリエイターが集結し、多国籍な個性も持ちつつ日本アニメとして作り上げた監督は「当初はエンターテイメントとして楽しく面白いものを目指していたんですが、その中で一番大切なものは何かと考えた時に、“あって当たり前のもの”こそ大切なんじゃないか、それが伝わるように作っていかないといけないと感じていました」と、本作への自身のアプローチを明かした。

 そんな監督の思いに応えるようにして、“世界でたった一人の人間”というこれまでのキャリアで初めての役柄を演じた高野は「ロボットに育てられるという経緯は異端でしたが、サラ自身は普通の女の子で天真爛漫で、ロボットのお父さん、お母さんの愛を感じていたからこそ、普通の少女に育ったんだろうなと思っています。愛の形はこの世界でも変わらないんだなって感じました」と、はからずも家族となったサラとロボットの家族愛について想いを語る。

 高野をまるで本当の父親のように見守っていた伊藤は「サラと過ごした年月によってパパとママに何かしらの感情が生まれている表現を、どの程度変化をつけたらいいんだろうと第一話では悩みながらやりましたね」といい、氷上も「(E92 とA37 は)だんだん感情が生まれてきます。ロボットもサラと一緒に成長して、役割や感情が増えていく過程が難しかったけど楽しく演じました」と明かし、初めて子を持った親のように、悩みながらサラとの関係を築き上げていったことを明かす。

 偶然サラを発見したことから家族になっていったE92 とA37 だが、実はこの2体に性別が決められていたわけではないのだという。氷上は「ロボット同士にも役割や性格があって、A37 はそれがママ寄りだったんじゃないかなって思っています」と考察し、高野は「サラはきっと見た目からじゃないでしょうか? パパとママが恋しいときに目の前にいた、大きな存在と小柄な存在とで『パパ、ママ』と呼んだのでは…」と赤ちゃんのサラを演じた時の気持ちを振り返り考察した。

 氷上と同じように、おのずと父親よりの心情になっていったと語る伊藤は「いい意味で昭和の親父の頑固さを誇張して、ロボットだけどパパとママの役割で3人の家族を作れればいいなという思いがありました」と、当時を振り返る。監督は「この2体のロボットがこの組み合わせでサラの前に現れたから、それぞれパパとママになったのだと考えています。ひょっとしたら別のロボットがサラの前に現れていたら伊藤さんはママ役だったかもしれないですね(笑)」といい、それを受けて伊藤は即座に「ママ役もやるよ!?」と監督にアピールし、笑いを起こした。

 そして高野がVR のゲーム上でサラのバイクを操縦し、自然を壊す人間を悪とみなし徹底的に排除してロボットだけが住む環境を作り上げたゼロが支配する<エデン3>に到着。サラが<エデン>の謎を追ってゼロに立ち向かっていくこの象徴的な建造物を眺めながら、入江監督は「これは人間のために作られたものなのか?

 人間はこの世界に現れた時にどんな対応をしないといけないのかという背景も、この鏡張りの建物に想いが込められていると感じています。(深いテーマが描かれることについて奇しくも)今の世界的なパンデミックの状況が、作品が完成してから物語の出来事とリンクしていることに驚いているのですが、その中で現実世界で人々がどう振る舞うべきか、作った側ではありますが私自身考えさせられたところがあります」と複雑な想いを語った。

 『もし連続アニメになるなら、付け加えたかったエピソードはありますか?』と質問を受けた入江監督は「実はこの物語の世界の出来事は、もっと前を含めて長い時間の設定がありました。今回登場しなかった<エデン2>で何が起こったのか、サラが目覚めるためにどういう出来事があったのか、原案であるジャスティン・リーチのテキストに収められているので、映像化は可能ではないかと思っています」と、回答。

 司会を務めるフリーアナウンサーの笠井信輔から「かわいらしいけれど、勇敢でまっすぐなサラの中にナウシカ(『風の谷のナウシカ』)を感じました。高野さんはどう思いましたか?」と質問を受けた高野は「確かにサラは生き物や無機物であることの概念をあまり持っていないと思いました。ロボットを自分と同じ(人間)
と思って接しているだろうし、今の私たち人間が当たり前だと感じていること、別の目線で見ていそうだと思います」と答えた。ロボットものであるが故に男性の作品と思われがちだが作品のテーマが女性や子どもにも共感するテーマがあることについて氷上は「後半にいくにしたがって、そうなんですよ」と噛みしめるように
回答。

 伊藤は「僕も4話一気に見させていただいて、久しぶりに自分の出ている作品を見て泣いてしまいました」と父親の立場からも“親子愛”を描いた物語に心を打たれたことを明かした。娘目線で見ていたという高野は「(サラの家族以外に)もう一つ登場する家族に対しても娘目線で見ていました」と、自分を重ね合わせながら作品を観た時の想いを語る。世界中のクリエイターとの作業について入江監督は「とても優秀で素晴らしい能力を持った人たちがこの作品に集まっています。色んな人たちと作品を作ることができる選択肢がありチャレンジもある。これから私以外の監督や演出の色んな人たちの道が一気に拡がるのを感じました」とこれからのアニメ制作への期待を語った。

 イベントのフィナーレとして、高野から、愛情深くサラを育ててくれたA37とE92に対してプレゼントが! 高野からママロボットA37 へ、愛情と希望がつまった“りんごの枝”が手渡された。最後に、入江監督は「エンターテイメントとして、楽しくて面白い作品として作ってきました。ぜひ楽しんでいただければと思います」、氷上は「世界観をぜひ味わっていただきたいのと、隅々まで細かくいろんなことが描かれています。ぜひお気に入りのロボットを見つけてください」。伊藤は「全年齢、老若男女問わず楽しんでいただける作品になっていると思います。ご家族そろって安心してご覧いただける『エデン』をお楽しみください」とコメント。

 そして高野は「この作品はSF 作品ではありますが、科学的な言葉では例えられない想いがたくさんこもった作品です。皆さんが今感じている、大切な人、大切なものを改めて考えるきっかけになる作品になると思っています。ぜひ何度でも見て楽しんでください!」と全世界に配信される本作を待つファンへメッセージを送り、イベントは幕を閉じた。