今年、ソロデビュー10周年を迎えたLiSA。ロックシーン、アニソンシーンの両方で活躍し、『鬼滅の刃』関連の楽曲「紅蓮華」「炎」で音楽シーンのトップに立った。そんなLiSAにとって、幅広く認知されたがゆえの責任とは? 新作アルバムに込めた「前を向いて制作したい」という思い、今後のビジョンについても聞いた。

【写真】黒髪が新鮮! LiSAが公開したデビュー当時の一枚

■「世の中の人たち全員に届けなければいけない」、『鬼滅の刃』に感じた責任

――今年でソロデビュー10周年。この10年の後半には、『鬼滅の刃』という作品との出会いもありました。LiSAさんのキャリアのなかで、「紅蓮華」や「炎」もきわめて大きい存在だと思います。

【LiSA】これまでにもたくさんの素敵な作品と出会ってきましたが、『鬼滅の刃』に関しては、制作に関わるみなさんの熱量が本当にすごかったんです。こんなに素晴らしい作品なのだから、世の中の人たち全員に届けなければいけない…。そんな思い、責任を強く感じていました。実際に、たくさんの方に届いたという実感があるし、そうなってホッとしている、というのが正直な気持ちですね。

――「紅蓮華」は、「炎」に続き、「オリコン週間ストリーミングランキング」で累積再生数2億回を突破(3/22付)。両曲とも、いまや国民的なヒット曲と言えます。

【LiSA】テレビアニメ、映画を観た方が、曲も聴きたいと思ってくれたのは、本当にすごいことだと思います。代表曲と言われる曲を持たせていただきましたし、みなさんの思い出と紐づいた曲になったんじゃないかな、と感じていますね。だからこそ私には、何歳になっても、同じキーのままで歌わなくちゃいけない責任があると思っています。「紅蓮華」「炎」に連れていってもらった場所もたくさんあるし、とても幸せです。

――音楽番組はもちろん、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)など、バラエティ番組にも数多く出演しました。

【LiSA】バラエティ番組への出演は初めてのことだし、最初はめちゃくちゃ緊張していたんですけど、やるからには飛び込むしかないなって。でも、中居正広さんをはじめ、ちょっとしたひと言で救ってくれる細やかさ、優しさ、気遣いが本当にすごくて。長く活躍されている、レジェンドの皆さんの匠の技を実感しましたね。

――ソロデビュー10周年のミニアルバム『LADYBUG』(5月19日発売)は、どんなコンセプトで制作されたんですか?

【LiSA】10周年だから“テン(10)””トウ(10)””ムシ(6+4)”だなって、自分のなかでタイトルが先にあったんです(笑)。これまでの人生のなかで10年間、何かを続けられたことはなかったし、自分だけの力では継続できない。10周年を迎えられたことは、自分の人生の“バグ”だなと思ったんですよね。“テントウムシ”と“バグ”を合わせて、『LADYBUG』というタイトルにしました。私がまとってきた衣装も、赤と黒が多かったですしね(笑)。

――本作『LADYBUG』は、松本孝弘さん(B’z)、アヴちゃん(女王蜂)、北川悠仁(ゆず)など、初めてタッグを組む作家陣が参加。“新しいLiSA”を表現したいという思いもあったのでは?

【LiSA】そうですね。『LEO-NiNE』(2020年)というアルバムでこれまでの足跡に決着をつけられたと思っていたし、今回は前を向いて制作したくて。思い返してみると、デビュー作の『Letters to U』(2011年)も“はじめまして”の方ばかりだったんですよ。田淵先輩(田淵智也/UNISON SQUARE GARDEN)も人に曲を提供するのは初めてだったし、ボカロ系のクリエイターの皆さんも初めてみたいな感じだったので(笑)。10周年を始めるにあたって、デビューのときと同じように、新しく出会った人たちと道を作りたかったんですよね。

――最初に制作したのはどの曲ですか?

【LiSA】「Another Great Day!!」(作詞:LiSA 作曲:TAK MATSUMOTO)ですね。松本さんは制作する前に、私のCDをたくさん聴いてくださったそうで。私の声の良い部分を生かせるキーにしていただせいか、かなり高い音程のメロディなのに、すごく歌いやすいんです。みんなが口ずさめる曲になったし、J-POPの役割をまとったハードロックだと思いました。

――女王蜂のアヴちゃん、ゆずの北川悠仁さんによる楽曲はもちろん、LiSAさんの活動に欠かせないギタリスト・PABLOさんが編曲で参加していたり。LiSAさん自身の“好き”が詰まった作品ですね。

【LiSA】10年の活動のなかで、“ウソをつかない”を大事にしてきたんです。発する言葉、楽曲、パフォーマンスもそうですけど、好きなものを注ぎ込んできたし、納得していないものは一つも出していません。その前の人生のなかでは、自分にウソをついたり、騙すようなこともしてきたと思う。たとえば恋人と一緒にいたとして、最初は「ずっとキレイでいて、完璧な彼女を演じてみせる」と思っているんだけど、本当は「胡坐かきたいな」と思っていたりとか(笑)。

――(笑)音楽活動においても、本当に自分が好きなモノを出せなかった?

【LiSA】そうですね。だから、『Letters to U』のときに「納得できないことはやらない」と決めました。それはずっと貫いてきたと思うし、適当に生きた日は1日もないですね。

――2月には、久々の有観客ライブ『LiVE is Smile Always~unlasting shadow~』も開催。ライブでファンの皆さんとつながってきたLiSAさんにとっては、特別なステージだったのでは?

【LiSA】去年1年、人前で歌う機会はなかったのですが、『レコード大賞』や『紅白歌合戦』、さまざまな音楽番組など、歌う場所はたくさんいただけて。自分の心と向き合いながら歌ってきたことで、ライブで歌ったときも、歌の表現が広がっているのを感じました。お客さんの温かさを感じられたことも本当にうれしかったし、「皆さんに引き出されるものがこんなにあるんだな」と実感できましたね。手拍子や身体の動きで反応してくれたんですが、これで声が出せるようになったら、以前よりももっとすごいライブができるんじゃないかなと思っています。

――未来に対する明るい展望が感じられた、と。この先も前向きに進んでいけそうですね。

【LiSA】そうですね。30歳になるまでは、大人になるのを恐れていたんですよ。先のことが思い描けなくて、とにかく目の前のことに必死に取り組んできた。でも、ここにきて、少しずつ未来のことに希望を持って考えられるようなってきました。「15周年は、武道館で15日間ライブをやりたい」とか(笑)。そんなふうに思える自分にビックリしていますね。じつはこの前、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)の収録があって。黒柳徹子さんは今87歳なんですけど、めちゃくちゃお元気だし、イメージがずっと変わらない。「印象を変えないで活動を続けられるかどうかは努力次第なんだな」と感じましたし、私もがんばろうと思います!

(文:森朋之)