「男はつらいよ」シリーズや新作映画『キネマの神様』(8月6日公開)などの山田洋次監督が「美しい入江の一軒家に集う家族が、憂鬱な時間を重苦しく過ごすうち、突如思いもかけぬ出来事が立ち上がり、未来が豁然と開けてくる――この映画には思想がある」と賞賛のコメントを寄せたフランス映画『海辺の家族たち』が、14日よりkino cinema横浜みなとみらい、kino cinema立川髙島屋S.C.館、kino cinema天神ほか全国で順次公開がスタート。

【動画】30年以上前の貴重な映像を使用した青春時代シーンの本編映像

 南仏マルセイユ近郊の海辺の家に、父との最期の日々を過ごすために集まる3人の子どもたち。それぞれが胸に秘めた過去と向き合う時間を、漂着した難民の子どもたちが思わぬ希望に変えていく──。

 本作の監督を務めたのは、自身が生まれ育った南仏マルセイユを舞台に、労働者階級や移民など社会的に弱い立場の人々の人生を温かな眼差しで見つめ続け、〈フランスのケン・ローチ〉と称えられるロベール・ゲディギャン。本国で半年以上のロングラン上映を成し遂げた大ヒット作『マルセイユの恋』や『幼なじみ』、『キリマンジャロの雪』などで高く評価され、ベルリン国際映画祭や、ヴェネチア国際映画祭、審査員も務めたカンヌ国際映画祭の常連でもある名匠だ。

■「難民」を描いた理由

 監督は、本作に登場するジョゼフとアルマンドとアンジェラの3兄妹について「彼らの全員が、過ぎ去りゆく時代、変わりゆく世界を敏感に察知する、そんな人生の時期にある。彼らが切り開いてきた道が、徐々に閉ざされてゆく。それらの道は絶えず維持してゆかなければならない…あるいは新たな道を切り開く必要がある」と語る。

 そんな兄妹たちが未来を切り開くきっかけとなったのが、難破したボートから逃れ生き延びた難民の子どもたちとの出会い。子どもたちを引き取ったことで兄妹たちは仲間意識を取り戻していく。

 「私はこの出会いを信じる。“グローバリゼーション”には、必然的に未来とつながる何かがある。大げさな言い方になるが、今日、難民について語ることなしに映画を作ることはできない、と私は考える。私はあえて、“難民”という言葉を選んだ。原因が気候変動だろうと、ほかの理由だろうと、あるいは戦争のせいだろうとかまわない。彼らは安全と、住まいを求めてやってきている。3人の子どもたちがやってきたことで、もしかしたら入り江は蘇るのではないか。アンジェラ、ジョゼフ、アルマンドは3人の子どもたちを育てるためにそこに留まり、レストランと山腹のコミュニティと自分たちの世界観を生きながらえさせる努力をするつもりだ。そして何人かの人々のつながりを保ち、それにより平和を保とうとする」と、この映画の中で何を描きたかったのかを明らかにしている。

■貴重な青春時代シーン 本編映像解禁

 また、3兄妹に父親を加えた4人の若かりし頃の回想シーンの本編映像がWEBで解禁された。4人で車に乗り込み、窓を開け放し音楽を流しながら楽しそうにはしゃぎながら海への道を走る。港に到着し、“遊泳禁止”、”違反者は起訴”の注意書き看板を目にした4人は、ふざけ合って次々にお互いを海の中へと突き落としていく。最終的には全員海の中へと飛び込み、楽しそうに遊ぶ4人の若い姿が眩しく目に映る。

 実はこのシーン、各俳優にそっくりの若い俳優が回想シーンを演じている訳ではなく、正真正銘、30年以上前に本人たちが演じた映像。ロベール・ゲディギャン監督の『Ki lo sa?』という、1986年に製作された作品(日本未公開)から抜き出された映像で、マルセイユで同じ俳優を使って長年映画を撮り続けてきたロベール・ゲディギャン監督ならではの貴重な映像となっている。このことからも映画人生40年の集大成と呼ぶにふさわしい作品となっている。