1985年の発売から今年で36年を迎え、未だ多くの子どもから大人にまで人気が高いシルバニアファミリー。シルバニア人形を使って、独自の世界観を作り上げて投稿しているTwitterアカウントはどんどん広がりを見せている。そんな中でも、見ている人に懐かしさと癒しを与えて、どこかほっこりとした気持ちにさせてくれる2つのシルバニアアカウントに注目。なぜこのような作品を作ろうと思ったのか、シルバニアのどういったところに魅力を感じているのか、それぞれの投稿者に話を聞いた。

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■内装や家具、間取りにいたるまで緻密に制作 シルバニアで“昭和の生活様式”を再現

 シルバニアファミリーを使って、昭和の生活様式を再現した「シルバニア団地」を制作して投稿しているKanaFettさん(@kanafett)。もともと昭和レトロな家が好きで憧れがあり、「レトロな雰囲気や懐かしさ、温かさを感じさせるお家にしたい」と思い制作を開始。間取りなどをすべて一から作り、特にお風呂場には力を入れていて、浴室のタイルは細かく切ったケント紙を一枚一枚貼っているという。

「昔からなぜか、花柄のテーブルやオレンジのランプなど、いわゆる昭和レトロなデザインに惹かれていました。私の実家は『ザ・昭和』な空間ではありませんでしたが、お風呂場はタイル貼りでステンレス風呂でしたし、置いてある家具や母が経営していた美容室など、所々で昭和を感じさせるものに触れながら育ってきたこともあり、無意識にそういったピースの一つ一つが心に残っていたのかもしれません」(KanaFettさん)

 KanaFettさんは「シルバニア団地」以外にも、シルバニアハウス『緑の丘のすてきなお家』の昭和テイストの家へのリメイクも行っている。「温かい昭和感が素敵」「これはもう親戚のおばさんち」「子供の頃を思い出して懐かしい」といった声が寄せられているこちらの作品も、内装や家具は手作りで、間取りもかなり緻密に制作しているそう。

「ミニチュア制作が初めてで慣れないことも多かったですが、和室は畳から作って、台所やお風呂場以外はあえてモダンな造りにしました。書斎にはたくさんの本、子ども部屋にはたくさんのおもちゃを作って置いて、遊び心のある空間にしました」(KanaFettさん)

 このほかにも「純喫茶なまけもの」など古き良きノスタルジックな作品をたくさん制作しているが、“自分がときめくもの”や“自分自身が見ていて幸せになるもの”を作ることを大切にしている。そんなKanaFettさんにとってシルバニアは「自分の可能性を広げてくれるおもちゃ」だという。

「シルバニアの建物や人形たちを見ていると、色々な想像が次から次へと湧いてきて、それを形にしたくなってくる。『この人形にはこういう仕事をしていてほしい』『この建物だったら、どう改造して何のお店を作ろうか』など、頭の中に浮かんだ世界を具現化していくことで、自分の可能性がどんどん広がっていく気がします。シルバニアの可愛さや親しみやすさ、遊びやすさがそうさせてくれるのかもしれません」(KanaFettさん)

■シルバニア×モルカー×猫の“かわいいの渋滞”で「物語の広がりが生まれる」

 シルバニア人形とパペットアニメ『PUI PUIモルカー』(テレビ東京ほか)の人形、そして飼い猫を使って、微笑ましい写真を投稿しているシルバニアファミリーのエモいくるみりすの赤ちゃんさん(@sylvanian_acorn※以下エモりすさん)。シルバニア人形とモルカーのぬいぐるみが力を合わせて飼い猫の背中をよじ登ろうとする写真は大きな反響を呼んだが、シルバニアとモルカーを組み合わせてみようと思ったきっかけは、シンプルに『PUI PUIモルカー』にハマったことだった。

「『シルバニア=可愛い』を司る脳の辺りが刺激される感覚があったので、『シルバニアが好きな人は絶対にモルカーも好きだと思う』と感じました。『PUI PUIモルカー』の放送後は、アニメ内での人間の行いから『人間は愚か』というワードがTwitter上で飛び交うのですが、それを見たときに『運転手が仮にシルバニアだったら、また違ったストーリーが生まれるかも…』とも思いました」(エモりすさん)

 シルバニアもモルカーもとにかく可愛くて仕方がなく、こんなにも心温まる可愛いものを世に送り出してくれたクリエイターや企業の方々には感謝しかないとエモりすさんは語る。そのうえで、シルバニアとモルカ―の2つが合わさったときの“魅力”や“癒しの力”はより一層大きくなると実感したそうだ。

「私は可愛いもので気ままに遊んで、その様子を写真に収めているだけなのですが、それがまた誰かの『可愛い…』という感情に繋がるのは、とても嬉しくて幸せなことです。今回はシルバニアの世界とモルカーの世界が合わさることで、倍以上の物語の広がりが生まれたと感じました」(エモりすさん)

 ほかにも、「ジェイソンになったシルバニアの赤ちゃん」や「ぼっちで給食を食べているリスの赤ちゃん」など、エモりすさんの作品には、ただ可愛いだけではなくちょっぴりブラックなものもある。

「日々の生活の中で、ふと寂しくなったり悲しくなったり、そんな感情や出来事があったときに、何か外に出したいという気持ちが『あ、こういう写真を撮ろう』という思いに繋がります。ぼっちで給食を食べているくるみりすの赤ちゃんの写真は、私自身の経験からきています。『どうしても給食が食べ切れず、掃除の時間が始まっても食べることを強いられていた幼少期の悲しみ』を表したのがこの1枚です」(エモりすさん)

 エモりすさんは、Twitterアカウントを開設してから全国各地にシルバニア友達ができ、ときには海外の方からメッセージをもらうこともあるそう。年齢も性別も国も越えて、知らない人と仲良くなれたのはシルバニアのおかげだという。

「『シルバニア』という共通の趣味を通じて、さまざまなバックボーンを持った方々と親しくなれたことは、私にとって本当に貴重で、何ものにも代え難い経験になっています。その人達に可愛がられているシルバニアと、その人達が暮らす街に思いを馳せる時間も楽しいですね」(エモりすさん)