一年前の春、2020年コロナ禍となった多摩川沿いの町で暮らす人々の、些細で尊い人生に光を当てたオムニバスストーリー、Huluオリジナル『息をひそめて』(全8話)が23日より一挙配信開始となった。

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 第1話:増田妃登美(夏帆)は祖父の食堂を引き継ぎ、緊急事態宣言前までは順調に客足を伸ばし、町に定着しつつあった定食屋さんで活き活きと接客をする。第2話:大学生の高岡七海(石井杏奈)は帰りたい場所もなくひとり学生寮に留まり、多摩川河川敷で出会った中学3年生の筒井涼音(長澤樹)を学生寮に誘う。

 第3話:ごみ収集員の宮下心平(村上虹郎)と会社員の松崎妃美(安達祐実)はマッチングアプリで出会い、心平の部屋のシャワーが壊れていたことからふたりで近くの銭湯へ。第4話:三隅夕河(蒔田彩珠)は大学進学を控えるも、父・雅人(光石研)との窮屈な日々の暇つぶしにUber Eatsの配達員を始め、好きではなかった生まれ育った町に思いをはせる。

 第5・6話:リモートワークになった十和田淳(三浦貴大)と皐月(瀧内公美)の夫婦は24時間顔をつき合わせる生活で1ミリ単位で徐々にズレが生じ始める。第7・8話:高校3年生の諏訪珠美(小川未祐)と高校教師の水谷光生(斎藤工)は合唱部の部活動を通して、建前で生きる今までの自分自身と向き合い始める。

 2021年きょう現在、いまだ終息の兆しが見えづらい私たちの暮らしと重なり、フィクションとノンフィクションの境目が曖昧になるほどに、登場人物の誰かに自分自身を重ね合わせることができるよう、日本のドラマ・映画を支える個性豊かな俳優陣や次世代を担う若手たちが、“いま”を生きる市井の人々の姿を時に繊細に、時に力強く演じている。

 そんな本作は、8編を通してコロナ禍になり“変わったこと、変わらなかったこと”をテーマのひとつとして描いている。コロナ禍の物語を制作するにあたり、まずはこの一連の影響で変わったことと、変わらなかったことにしっかりと目を向けて制作する必要があると考えたからだ。マスクをつけた生活が日常になり、リモートワークが増え、家族や友人に会えなくなり、学校の休校や部活動の中止、飲食店の変化に着目。その中で、コロナ禍での変化はマイナスな変化ばかりではないことも見えてきた。

 その一つが、第4話で描かれる、町中で多く目にするようになったUberEatsの配達員の姿。この新たに変化した光景を見ているうちに、変化したことで救われている町の人々も少なからずいるのではないかと考え、物語のひとつに配達員として働く女の子を描くことになった。

 監督を務めた中川龍太郎(31)の知り合いで配達員をしている大学生の女性にストーリーの下書きを作ってもらい、配達員として働く人たちにもリモート取材で体験談を聞き取りし、普段使っているバックの中身や所作を見せてもらって細かな演出に落とし込み膨らませた。

 そのほかの物語もすべて身近な実話をもとに緻密な取材を重ねて作られている。第1話の飲食店の店主と客の会話と距離感は制作スタッフの実際のやりとりに着想を得ており、第2話では学生寮の大学生に取材を重ね、メディアで報じられるネガティブな印象だけではない「もっと人に会いたいと思うようになった」などポジティブな一面も映し出し、第3話ではコロナ禍にマッチングアプリで出会った男女の実話のエピソードを元にし、家庭ごみが急増し激務に耐えるごみ収集員を主人公の職業にした。そして2020年3月29日に桜に雪が積もった印象的な出来事をこの物語のラストの光景に重ね合わせた。

 第5・6話の24時間ずっと一緒にいることで生じる夫婦のちょっとしたズレは、夫婦・家族では多くの人が感じたあるあるがちりばめられている。そして、第7・8話は部活動の大会・発表会が軒並みに中止されていく様に、学生はもちろん、指導者の先生も、部活動に青春を捧げたことのある大人たちも感じたやり場のない気持ちを炙り出している。

■各話タイトル/出演者
第1話「人も場所も全ては無くなる」/夏帆、斎藤工
第2話「帰りたい場所が、ずっとなかった」/石井杏奈、萩原利久、長澤樹
第3話「君が去って、世界は様変わりした」/ 村上虹郎、安達祐実、横田真悠
第4話「この町のことが好きじゃなかった」/蒔田彩珠、光石研
第5話「たまに遠く感じる、君のことが」/三浦貴大、瀧内公美
第6話「あなたの速さについていけないことがある」/瀧内公美、三浦貴大
第7話「誰のために歌うの?」/小川未祐、斎藤工
第8話「この窓から見える景色が、僕の世界だ」/斎藤工、夏帆

■『息をひそめて』視聴ページ
https://www.hulu.jp/hold-on-look-ahead