情報番組やバラエティ番組のMCとして活躍し、コスメやカラコンのプロデュース、アイドルのプロデューサー、そして最近ではYouTubeチャンネルを開設して幅広く活躍している指原莉乃。アイドル時代は“ネガティブ人間”として登場する機会も多かったが、20代前半から「え、良くない?」「私、全然ネガティブじゃないじゃん!」と良い意味で“強気”になれたという。時に傷つくこともある“他人からの言葉”を彼女はどのように受け止め上りつめてきたのか。コンプレックスについての考え方や、自身の立ち位置、YouTubeで発信する意義について話を聞いた。

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■すっぴん披露=再生数上昇の図式に悔しさ、「説得力のある人間になりたい」

――YouTubeチャンネルでメイク動画を投稿され、すごい反響がありましたね。

【指原莉乃(以下 指原)】ありがとうございます。私は美容で売っているわけではないので恥ずかしさもあるんですが、女の子たちがこうしたメイクの方法によって、コンプレックスが少し解消できたり、自信を持てたりすると良いなと思っていました。たくさんの方に見て頂けたので、みんなに寄り添えている気がして、すごく嬉しかったです。

――「奥二重や一重の人には~」とアドバイスがあったり、具体的かつ実践的、論理的で、すごくわかりやすかったです。

【指原】メイク動画について、再生数について、ありがたいことに色々と記事にも扱っていただけました。でも、タイトルに「すっぴん披露」と書かれているものが多くて。すっぴんを見せたから再生数につながった…という見え方になっているのが、私のなかでは悔しかった。これまでの動画でも普通にすっぴんは見せているし、「そこじゃねえんだよな」と思うけど、「だったら何か」と聞かれると、その先が上手く言語化できない。だから、自分自身がもっと説得力のある人になりたいんです。今後は動画の本当の意図との誤差を少なくできるよう、どうやって伝えていけば良いかを考えていきたいですね。メディアでいろいろ情報発信をしている人たち全員がもっと生きやすくなるよう、誤解や情報操作のない時代になったらなと思います。

――メイクによって、自身のコンプレックスを軽減・改善するという考え方もあります。指原さんはご自身のコンプレックスについてどうとらえていましたか。

【指原】外見的には、自分で働いてお金を使えるようになって、いろんなメイク道具を買うようになってから、「こうしたらもっと良いかも」とコンプレックスを見つけながらそれを直すメイクが楽しく、前向きになれましたね。「ここも足すと良さそう」とか、逆に「ここをもう少し引いたら良いかな」とか、全体のバランスを見て考えるのが私は楽しくて。

 また、内面的には、最初はネガティブな人間としてテレビに出ていたんですが、自分がどんどん“強くなっている”ことに気が付いたんですよ。ネガティブな自分を応援してくれていた人はどう思うだろう、これまで応援してくださったファンの方が減ったら嫌だなと思う部分もあったんです。実際、そんな私を好きじゃなくなった人もたくさんいるとは思うんですが、その分、もしくはそれ以上に強くなった私を応援してくれる人もいて。今はどっちかというと、素の自分でいることで好きでいてくれる人を大事にしようと思えています。

――強くなっていることを自覚されたのはいつ頃からですか。

【指原】20代前半ですかね。よく考えたら私、自分の人生がすごく好きなんですよ。好きな仕事をしているし、家族も素敵だし、素敵な友達もいるし、「え、良くない?」「私、全然ネガティブじゃないじゃん!」って気づいてしまって、そこから一気にポジティブというか、強気というか、良い意味でナルシストになれました。今思えばですが、そもそも昔は引きこもりで学校に行っていなかったわりに、変に自信家でしたし、自分の人生を嘆くことはなく、「こんな私が生かされるにはどこに行けば良いんだろう」とずっと考えていました。

■「自分が良くても、相手が良くても、見ている誰かが傷つくのは素敵ではない」

――今はコンプレックスや見た目の問題が社会問題化しています。指原さんはかつて他人からの言葉をどのように受け止めていましたか。

【指原】昔からいじられキャラだったこともあって、外見のことを言われるのも、昔は「自分は傷つかないから別にいい」と思っていました。でも、私がたとえば顔の特徴をいじられても、否定もせず笑っていたことで、誰かが傷ついていたかもしれない。自分自身も、いじりいじられで、誰かを傷つけていることがあったかもしれない。それは自分の若さや認識の甘さであって、自分が良くても、相手が良くても、見ている誰かが傷つくのは素敵ではないなと最近では思います。どうしてもスタジオなどでは、その場の雰囲気を重視して笑いをとったり、いじられたりということがあるので、それはすぐに解決できる問題ではないとしても、ちょっとずつ意識を変えていかないといけないと思います。

――ところで、ご自身のプロデュースしたコスメ「Ririmew(リリミュウ)」も4月15日より発売されましたね。

【指原】第一に「自分の好きなものを作りたい」という思いがあったので、それを皆さんに共有していきたい。これが手元にあったり、コスメをまとった自分を鏡で見たりしたときに、「素敵だから頑張ろう」と思えるようなもの、家事や仕事を楽しくできる力になるものを作れたらと思っています。

――コスメだけでなく、グループを卒業されてから、カラコンやアイドルのプロデュースなど、非常に幅広い活躍をされていますが、ご自身が明確に「突き抜けたな」と感じた瞬間はありましたか。

【指原】カラコンのプロデュースをしたときですね。すごくお世話になっているスタッフさんに、イジリ半分本気半分で「いや、売れないっしょ! お前のカラコン、誰が買うんだよ!」と言われたんですよ。たぶん当時でも、私が美容について発信していることに気づいてくれている女性の方などはいっぱいいたと思うんですが、いじられキャラだった私を昔から知っているスタッフさんは「なんで指原が今、カラコン?」と思ったみたいで。でも、私は心の中で、良いものを作っていたこともあって「売れる」と確信していたんです。それが実際に発売され、いろんな方に応援してもらって、その結果、美容系のプロデュースもいけると思っていただけるようになって、そのスタッフさんからも「すごいね。印象変わったよ」と言われたのは嬉しかったですね。

――情報番組やバラエティのMC、商品やアイドルのプロデュース、YouTubeなど、マルチに活躍されている現状をどのようにとらえていらっしゃいますか。

【指原】私は今も変わらず「グループを卒業したら、ただの一人のタレント」ですし、今はバラエティが楽しいので、ずっとテレビでへらへら笑って騒いでいられたらなと思っています。それに、MCをさせていただくことが増えて、脳内で「この人だったらどうするだろう」と想定できる先輩がたくさんいるのは、すごいことだなと思います。(フットボールアワー)後藤(輝基)さんや、坂上(忍)さん、今田(耕司)さん、中居(正広)さんなど、いろんな人がパッと浮かぶのは、仕事に恵まれて、いろんな吸収をさせてもらっているからだと感じます。ただ、MCはあまり得意じゃないと思っているので、ひな壇の皆さんやゲストの方に支えていただきながら頑張っている状況ですが。

■YouTubeは応援してくれるファンにむけて…「気軽に話せる場がほしかった」

――SNSで何でも可視化されるため、アイドルは本当に大変な時代ですが、プロデューサー目線で今の時代に強いアイドルの条件とは。

【指原】SNSに強い子は、やっぱり今の時代、強いと思います。写真の撮り方のセンスやインスタグラムの雰囲気からして違う。同じことを伝えようとしてても、「文章の感じ」で印象はまるっきり違って伝わってしまうんです。自分がプロデュースしている子でも、自分の後輩でも、「もうちょっと“思い”を伝える文章を書けないのかしら」と思う子もいるし、逆に「短文でもこんなに伝えられるんだな」と感心する子もいるし。自分の気持ちをあらわすのが上手い子のほうが、人気が出る印象はあります。結局センスであり、天性のものかもしれないですが、文章の感じは人気をだいぶ左右するかなと。

――「文章の感じ」って、すごくわかります。何を読んだり見たりすれば身につきますか。

【指原】難しいですよね。私の場合、『ちびまる子ちゃん』の作者・さくらももこさんのエッセイが小学生の頃から大好きで、それで育ったと言って良いくらい、ずっと読んでいたんですよ。そういう面白エッセイを読んでいる子は強いなと思います。だから、例えば小学生くらいの子に何かを教える機会があったら、さくらももこさんとか面白いエッセイや文章に触れたほうが、感覚が磨かれるよと伝えたいですね。

――YouTubeの活動を取り入れている芸能人の方がたくさんいらっしゃいますが、「YouTubeで一念発起、ブレイク・活躍したい」と取り組まれる方が多い印象。でも指原さんの場合、テレビやその他の活動でも突き抜けていて、YouTubeにも力を入れていらっしゃいます。どういう力配分なのでしょうか。

【指原】YouTubeをやると言ったら、芸人さんたちから冗談で「どんだけ稼ぐねん!」って言われたりするんです。これ、後藤さんの声で再生されるんですけど(笑)。

――(笑)!

【指原】私も「いや、まだまだ頑張りますよ」と返しますけど、実際お金はもう十分すぎるくらい別の活動のところでいただいているので、満足はしているんです。お金はどうでもいいっていったら失礼になるし、もらえるものはもらいたい。今後誰かを助けたいってなった時にお金はあればあるほどいいしな、と。でもそれ以上に大事にしたいのは、私にはグループに所属していた時からのファンの方で、今でも私を「さっしー」や「指原」ではなく「莉乃ちゃん」と呼んでくれる人がいる。

そういう人たちに対して、私が今、番組で誰かの横で笑っていたり、進行していたり、「〇〇さんどうですか」と聞かれるよりも自分が聞くことの方が多くなっている状況で、私自身の気持ちを伝えられる機会が減っていると思ったんですよ。そこで、近況報告や、ハマっているもの、これが美味しかった、これが良かったという話を軽くできる場がほしいなというのが、YouTubeを始めたきっかけでした。だから、乗馬したいとかサッカーしたいとかいう気持ちと一緒で、スキマで仕事したいんですよ。日中ボーッとしている時間をYouTubeに使うことによって、時間配分も上手になってきたし、シャキッとしますし(笑)。趣味みたいな感じで、お仕事の比率を減らさずにスキマ時間をどんどん埋めていきたいんです。趣味に使う時間を私は仕事に使いたいって感じ。私は、美容と仕事以外の趣味がないので(笑)。

(取材・文:田幸和歌子)