4月18日から放送スタートするWOWOW開局30周年記念『連続ドラマW 華麗なる一族』の主人公・万俵大介を演じる中井貴一と、大介の愛人・高須相子を演じる内田有紀が、ORICON NEWSの取材に応じ、『続・最後から二番目の恋』以来の共演となった感想や、同作への思いを語った。

【写真】中井貴一&内田有紀の撮り下ろし、『華麗なる一族』場面カットも

――中井さんと内田さんといえば、フジテレビで放送された『最後から2番目の恋』(2012年)、『続・最後から二番目の恋』14年)で共演した兄妹役が印象深いです。

【中井】はい、その作品以来ぶりです。最愛のかわいい妹が、突如、愛人になるわけですから(笑)。役者同志とは面白いもので、がっつり兄妹を演じると、その後もずっと妹のような感覚が抜けない。別の作品で共演することで払拭したいと思っていましたが、いきなり愛人になるとは思わなかったので、そのギャップを乗り越えるのが最初の作業となりました(笑)。今後は2人でどんな役もできると思います。

【内田】何でも?(笑) 私にとっては、貴一さんとご一緒する作品が、いつも女優としてのターニングポイントになっていくんです。『最後から~』の時も「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と慕いながらも、自分を変革して、高める努力をしないと太刀打ちできない現場でした。今回も自分の中で新しい挑戦がありました。共演すると必ずご利益がある。貴一さんの神社を建てたいくらいです。

【中井】神社?(笑) お賽銭は多めでお願いします。

【内田】(笑) それくらい神聖な気持ちで今回も演じさせていただきました。

――山崎豊子の傑作小説を原作にした『連続ドラマW 華麗なる一族』は、大阪万博(1970年)を間近に控えた日本の高度経済成長期、富と権力獲得の手段として、関西の政財界で閨閥(けいばつ)を張り巡らす阪神銀行の頭取・万俵大介を中心に、一族の繁栄と崩壊が描かれます。内田さんが演じる相子は、中井さんが演じる大介の愛人ということですが、ただの愛人ではない。万俵家の家庭教師兼女執事。万俵家の縁談を司る閨閥作りを担い、その政治力で大介を手懐けている…すごい女性ですね。

【内田】相子は学生時代にアメリカに留学し、そこで結婚・離婚を経験するなど不遇な人生を歩んできました。それが、万俵家に家庭教師として入り込み、政略結婚のアイデアを出して大介を味方につけると、水を得た魚のように万俵家を仕切っていきます。悪女だと思う方もいると思いますが、私は悪女を演じている感覚はありませんでした。相子にとって大介さんは自分を認めてくれて、居場所を与えてくれた恩人。政略結婚を成立させて、大介さんの望みを叶えていけば、自分の居場所も守れるし、大介さんにも愛してもらえる、その一心で生きている女性だと思いました。歪んだ愛情かもしれませんが…。

――現代の感覚では、妻と愛人が同居するなんてありえないことですが…

【中井】大介にとっては、相反するものを持っている(妻の)寧子(麻生祐未)も、相子も、両方必要だったんでしょうね。いまの価値観で言ったら、男尊女卑に見えるかもしれないけど、作者の山崎豊子さんは女性。山崎さんが書かれたこの物語は、果たして男尊女卑なのか、女尊男卑なのか、むしろ、ジェンダーレスってこういうこと?というか。万俵大介が最終的にどうなるか、ぜひ、最後までご覧いただきたいですね。

■最大の魅力は「普遍的である」ということ

――原作小説の書き出しに出てくるレストラン「ラ・メール ザクラシック」 がある志摩観光ホテル(三重)や、昭和3年築の学士会館(東京)などの歴史ある建物でのロケや、万俵家や阪神銀行の重厚感あふれるセットでの撮影はいかがでしたか?

【中井】今回、志摩観光ホテルに実際に滞在をし、ホテルのシェフが作った料理をいただいて、撮影しました。それだけ周りがお膳立てしてくれた現場には、感謝しかないです。ぜいたくな時間を過ごさせていただきました。感染症対策もあって、スタッフの皆さんはいつもの何倍も大変だったと思います。それでも誰一人として手を抜かない、何ならいつも以上に丁寧に作っている。照明、撮影、美術、衣装、俳優もですが、本当にプロしかいなかったです。それが、2021年版の『華麗なる一族』にはしっかりと出ていると思います。

【内田】全く同感です。ここまでお膳立てしたんだから、ちゃんとやるしかないでしょう、と言われているような現場でした。それだけに追い込まれるような、いままで感じたことがないような不思議な緊張感がありました。自分だけ置いていかれるわけにはいかないし、ここで頑張らなければ後で絶対に後悔するな、と思って精一杯やらせていただきました。私もクランクアップの時、「皆さんがプロフェッショナルだったおかげで、私も精一杯演じることができました。本当に感謝しかありません」とあいさつしたんですが、現場の方たちは「ボスがそうですから」と(「ボス」とは中井さんのこと)。貴一さんのプロフェッショナルな姿勢が、現場全体に伝わっていくとおっしゃっていました。作品によって何か不思議な力に導かれているような感覚になる時がありますが、まさにこの『華麗なる一族』がそうでしたし、貴一さんとご一緒させていただく現場は必ずそうなるんです。

【中井】5000円あげよう!

【内田】(笑)

――山崎さんの『華麗なる一族』はこれまでに3度、映像化されています。1974年に映画とNETテレビ(現在のテレビ朝日)で連続ドラマ、2007年にTBSで連続ドラマとして放送されました。2021年の今、また映像化されることをどう思いますか?

【内田】出演のお話しをいただいた時は、コロナ前だったんですが、昨年のパンデミック以来、いままで通りにいかないことが増えて、これからどうしていったらいいのか、暮らし方、仕事の仕方、家族のあり方を考える時間が以前よりも増えている中で、今回の『華麗なる一族』が放送されます。万俵家の人たちがどのような選択をして、どうなっていくのか、その時代に与えられた社会的背景を生きる人間として、自分はこうしてみようといった道筋が見えてくるかもしれないなと思っています。

【中井】なぜ、今、『華麗なる一族』なのか。それは「普遍的である」ということなんでしょうね。万俵家の一族の中に人間の欲望のすべてが詰まっている。だから、家族の話なんですが、社会に置き換えることもできる。「自分は○○と立場が似ているな」「万俵大介って○○さんみたい」と、いろいろ当てはめたり、投影したりできる。このドラマが企画された時は、コロナ禍のことは予想もしていなかったわけなんですが、高度経済成長期の『華麗なる一族』と、コロナ禍の今の時代がどこかシンクロしているように思えるのも、普遍的だからなんでしょうね。

■番組情報
『連続ドラマW 華麗なる一族』
WOWOWプライム/WOWOW4K/WOWOWオンデマンドで4月18日スタート、毎週日曜 後10:00(全12話※第1話無料放送)

原作:山崎豊子『華麗なる一族』(新潮文庫刊) 

出演:中井貴一 向井理 藤ヶ谷太輔 吉岡里帆 松本穂香 要潤 工藤阿須加
美村里江 笹本玲奈 福本莉子 / 麻生祐未 高嶋政伸 / 萬田久子
田中麗奈 加藤雅也 石黒賢 石坂浩二(特別出演) 内田有紀