お笑いコンビ・アンジャッシュとして活動し、芸歴は28年。「児嶋だよ!」のイジられネタでブレイクし、“ポンコツキャラ”として愛される児嶋一哉だが、ここ最近、その人気にますます拍車がかかっている。昨年は、ドラマ『半沢直樹』(TBS系)での名演技が高評価を獲得し、開設したYouTubeチャンネルの登録者数は、わずか9ヵ月で約90万人が集まっている。3月20日には、自身の半生を綴った初のエッセイ本『俺の本だよ!!』を発売するなど、まだまだ飛躍は止まらない。芸人の中でも不思議なポジションを確立する児嶋だが、本人は現在の立ち位置をどう受け止めているのか。

【写真】「え、かっこよすぎて無理」BTS風メイクを公開したアンジャ児嶋

■スタイリッシュを目指すも次々に失敗「根は“イタイやつ”」

――エッセイ本『俺の本だよ!!』(世界文化社)が発売されました。芸人さんの多くがエッセイ本を出していますが、意外にも児嶋さんは初なんですね。

【児嶋一哉】そうなんです。「俺のエッセイなんて読みたい人いる?」と思ったんですけど、これまでのことを振り返るいい機会をいただけました。

──想像以上に波乱万丈な半生で、コンビへの想いも語った内容です。現在の状況を「節目」と感じているところは?

【児嶋一哉】たしかに、去年の騒動の直後は怖くて眠れない日々が続きました。でも芸人仲間とか、周囲の人たちがイジってくれながらも、支えてくれてるんだなというのを感じるので、今はだいぶ落ち着いています。後で振り返ったときに、「あのときは大変だったなー」と思うのかもしれませんね。

──「イジられキャラ」のイメージが定着していますが、コンビを結成した当初は想定していなかったとか?

【児嶋一哉】やっぱり僕らの世代はとんねるずさん、ダウンタウンさんといった、面白くて見た目もカッコいい芸人さんがたくさんいて、その方々に影響を受けましたからね。その前はジャニーズに入るもんだと思ってましたし…。根っこでは二枚目でいたい…イタいやつなんですよ(苦笑)。

■「天然でバカ」は魅力、仲間からのアドバイスで気づき

──アンジャッシュの「すれ違いコント」のネタも、昔ながらの泥臭い芸風とは一線を画すスタイリッシュさがありますよね。

【児嶋一哉】このネタは、消去法で編み出した苦肉の策だったんです。シンプルなボケとツッコミの芸って、確固たるキャラとセンスがないとウケは取れないんですよ。だけど、僕ら2人にはそれがない。だったら、台本で勝負しようということで生まれたネタでした。ほかの芸人がやっても面白く成立してしまうから、当時はよく、「君らよりうまい芸人がやったらもっと面白くなる」って言われていましたよ。

──スマートな芸人に憧れていた児嶋さんとしては、「ポンコツキャラ」「イジられキャラ」として扱われることに葛藤は?

【児嶋一哉】たしかに、ネタでは何となくシュッとしたツッコミをしているわけだし、最初は受け入れ難たかったです。だから、ネタ番組でそこそこ評価されて、少しずつバラエティに呼ばれるようになった頃も、スカしたツッコミみたいなのをしていたんですよ(笑)。でも、結果を出せずに仕事がどんどん減っていきました。

──吹っ切れたきっかけは?

【児嶋一哉】芸人仲間が、「コジは天然でバカなのが面白いんだから、普段のままでいけばいいんだよ」と言い続けてくれて、「そんなもんかな?」と気負わずにいられるようになったんです。その頃から、MCの方も絡みやすくなったからか、どんどんイジってくれるようになって、またそれがウケた。それには理由があって、僕が追い求めていた“理想の自分”は、本来の自分とかけ離れていたんだなと思いましたね。

──自分がイジられて笑いが起きることについては、どう感じていましたか?

【児嶋一哉】結局、笑いが起きる現場が好きなんです。カッコつけて沈黙されるより、イジられても周囲が楽しそうにしていれば、そのほうが絶対にいい。番組に貢献している実感もできますしね。だから今は、どんどん受け入れています。

■「キャラがないから、どんな役にもハマる」“素”でいることの大切さ

──プロ雀士の資格を持っていたり、ヨガを極めていたり、俳優としても評価が高かったりと、いろんな“武器”をお持ちです。

【児嶋一哉】麻雀は好きでやってたことなので、完全に仕事のためだったかというとそれも違うような…。ヨガもそうですけど、無理やり興味のないことをやっても、薄っぺらさがバレるだけなんですよね。

──俳優業については? 昨年も『仮面ライダーゼロワン』から『半沢直樹』まで、実に幅広い作品に出演しています。オファーが引きも切らない理由はなぜでしょう。

【児嶋一哉】芸人が役者で呼ばれるのには、2パターンあると思っています。1つは、すごくキャラの強い人が、そのインパクトを求められるパターン。もう1つは、キャラがないから、どんな作品にもすんなりハマるパターンで、僕は完全に後者なんです。芸人としては前者のほうがうれしいけど、後者のような、作品の邪魔をしない存在だったことが、いろんな作品に呼んでいただけてる理由だと思います。

──昨年YouTuberデビューをして、登録者数はうなぎ上り。テレビ以上に“素”が出るメディアだけに、児嶋さんの人柄そのものが愛されているんだなと感じます。

【児嶋一哉】YouTubeの視聴者は優しいコメントばかりで、僕に過保護すぎるんですよ(笑)。最近はテレビでも、僕のYouTubeネタを取り上げてイジってくれることも増えました。YouTubeだけ、テレビだけと、完全に活動が振り切ってしまうわけではなく、両方が何となくリンクしている感じが理想的な流れだなと思っています。

──幅広い活躍を実現していて、もはや「脱ポンコツ」な流れがきていますね。

【児嶋一哉】いやいや、「脱」は無理だと思うなあ(笑)。出川哲郎さんや狩野英孝みたいなポンコツキャラで扱われてる方って、根っこでは二枚目でいたいタイプなんですよね。それなのにイジられてしまう、っていうところに面白さがあるんです。僕もそのラインだと思いますよ(笑)。

──児嶋さんに、NGの仕事はあるんですか?

【児嶋一哉】いやー、ほとんどないですね。企画の内容で「僕よりもっと面白くできる方がいるのでは…」と思うことはありますが、「芸人だからこれはやらない」という意識は一切ありません。演技の仕事も、こんなポンコツがやっているというギャップは多少意識しますけど、ただ好きなことをやっているだけ。だけど心の芯の部分では、芸人であり続けたいという想いがあるんです。だからどんな場面でも、もし笑いが起きるならば、不本意だっていうことはないですね。