松竹ヌーヴェルヴァーグを生み、差別や犯罪など、社会の歪みと闘い続けた熱き映画監督、大島渚(1932年-2013年)。彼の最大のヒット作である『戦場のメリークリスマス』(1983年)と、最大の問題作と言える『愛のコリーダ』(76年)を美しく蘇らせた『戦場のメリークリスマス 4K修復版』が16日、『愛のコリーダ 修復版』が30日より、全国で順次“連続”公開される。この度、大島渚監督を父に持つドキュメンタリー監督の大島新と、『戦場のメリークリスマス』に出演、音楽も手がけた坂本龍一の娘でミュージシャンの坂本美雨の対談の一部を紹介する。

【動画】『戦場のメリークリスマス 4K修復版』予告編

 父としての大島渚について新は「基本的に親バカで子煩悩だったと思う。ただ人を緊張させるタイプなので小さい頃は父に緊張していた」と話し、「革新的に見えるところがあるが、実は家では保守的。外では学歴社会なんてくだらない!と言いながら、間違いなく僕には良い大学に行って欲しいタイプだったと思います(笑)」と明かした。

 また、『戦場のメリークリスマス』でヨノイ大尉役を演じた坂本龍一の作品について美雨は「父の作品はやっぱりコソコソ見ないといけない気がしていた」と、10代の頃に移住先の米ニューヨークで、両親に隠れて『戦メリ』を観たという。そんな二人のお気に入りシーンは、俘虜(ふりょ)たちがセリアズに賛美歌を送るシーン。

 新は「これまで何度も観てきましたが、年代ごとに感想が変わります。いま『戦メリ』公開時の父と同じ51歳なのですが、改めて桁違いの映画だと思いました。演技や撮影の方法などどこかデコボコとしていて変な部分があるのに、確実に胸を打たれてしまうんです」。

 美雨も「賛美歌のシーンは私も大好きです。教授(=坂本龍一の愛称)の曲ではなく古くから伝わる歌が使われているのですが、何回見ても涙が出てしまいます」と振り返った。父親の作品はすべてにおいて「自分の父親」と思って見ていないと話す美雨は、対談中に坂本龍一を「教授」と呼び、新がツッコミを入れる場面も。「そうなんです(笑)。『戦メリ』も含めて、父の仕事は客観的に見てしまって、父としてではなく教授、坂本龍一として見てしまいますね」と話し、新も「分かります」と偉大な親を持つ子同士ならではの共感を寄せていた。

 この対談の全容は劇場で販売されるパンフレットに収録される予定。