5歳のときから芸能活動を開始し、NHK大河ドラマ『八重の桜』で綾瀬はるか演じる主人公・八重の幼少期を演じて注目を集めた鈴木梨央。ほかにも数多くの映画、ドラマ、CMなどに出演し続けている彼女だが、現在はテレビアニメ『遊☆戯☆王SEVENS』(テレビ東京系列)で声優にも挑戦し、見た目は小学生でも実年齢は37歳女性という難しい役を好演している。「今回ミミ役を演じたことで、自分の幅を広げられた」と話す彼女に、仕事のとらえ方や演じることの原点となったエピソードを聞いた。

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■「チョベリバ」「しもしも」バブリー語を連発、“明るい役”を演じて得られた収穫

――テレビアニメ『遊☆戯☆王SEVENS』では、声優として安立ミミ役を演じていらっしゃいます。ミミは、見た目は小学生だけど、実年齢は37歳という難しい役ですが、演じてみていかがですか?

【鈴木梨央】ドラマや映画での演技と違って、声だけでテンションを変えるというのが難しいです。ミミちゃんは天真爛漫で喜怒哀楽が激しい女の子なので、常に200%のテンションでいかないといけない感じも大変でした。キャピキャピしている女の子だったので、日常生活でも自分の声をちょっと高くして生活していました。

――ミミはバブリーなキャラクターでもあります。SNSで反響を見ていると、16歳なのに当時の言葉を使いこなしていてすごいというコメントも。印象的なセリフなどはありますか?

【鈴木梨央】「チョベリバ」とか「しもしも」とか、印象に残っているものはたくさんあります(笑)。わからない言葉があったときには、すぐに調べていました。平野ノラさんのバブリーなキャラクターも参考にさせていただきました。

――キャラクターを演じるうえで苦労した部分はありますか?

【鈴木梨央】アフレコをしていて、監督から「もっとコミカルに!」と何度か言われたのですが、“コミカル”を声色でどう表現するか試行錯誤しました。セひと言のセリフも、どうすればコミカルになるのか、とても考えました。

――たしかに難しそうですね。

【鈴木梨央】ミミちゃんは、切ないシーンであってもオーバーリアクションで。“笑いのある切なさ”を表現しないといけない役柄だったので、シリアスになりすぎないように雰囲気を出すのは苦労しました。「セリフを揺らすような感じで」とアドバイスを監督からいただき、すごく勉強になりました。

――これまでも吹き替えの仕事をされていると思いますが、今回の『遊☆戯☆王SEVENS』では今までと違った部分はありましたか?

【鈴木梨央】キャラクターの笑いが多かったり、動きがコミカルだったり、デュエルシーンに代表されるような叫ぶシーンも多く、こういった役は初めてだったので、慣れるまでは少し時間がかかりました。「おろろろろー」とか「え」に濁点がついているセリフなど「ん?これはどういうこと?」と、日々考えながら、楽しんで演じていました。

――今までにない役を演じてみて、学びになっている部分は?

【鈴木梨央】今まで私はドラマや映画でも影のある役どころを演じることが多かったんです。高校に入学して初対面の同級生に「こんなに話してくれるんだね」って言われたくらい静かなイメージが強いんだと自覚しました(笑)。今回、元気でキャピキャピしている役を演じたことで、自分の幅をちょっと広げられたかなって思います。

■「セリフの最後の語尾の部分まではっきりと言う」 ドラマとアニメでの演じ方の違い

――俳優の仕事をしていくうえで、鈴木さんは自分とは違う人間を演じることをどう捉えていますか?

【鈴木梨央】どんな役であっても、演じるということは、私の中で信じられないくらいパワーがわいてくるんです。常に演じる役の子の気持ちを考え、「この子だったらこういうときどういう気持ちになるのかな?どういうことを言うのかな?」と、普段の生活の中でも意識しています。自分とは真逆のタイプの役でも、それをちゃんと受け入れて表現して、たくさんの人に伝えることができたらと思っています。

――真逆のタイプの役を受け入れる方法は?

【鈴木梨央】台本を読み込んでいます。口調や動きやしぐさを想像して、その役柄を感じ取るようにしています。

――ドラマや映画などと声のお芝居で異なると感じる部分は?

【鈴木梨央】セリフの最後の“語尾”の部分を大切にしています。ちょっとオーバーに言うというか、最初の文字と最後の文字をはっきりと発音する。小声やささやきなどのセリフも、どこをたてるかを意識して、滑舌、声の張りや発声法などに、より気を付けています。

――『遊☆戯☆王SEVENS』には、有名な声優さんもたくさん出演されていますが、共演されてみていかがでしたか?

【鈴木梨央】マイク1本で声の近さや遠さを表現し、距離感を出しているのを目の前で見て、とにかく声優さん方の表現力のすばらしさに驚かされ、日々勉強させていただいています。

――声優さんたちからアドバイスをもらったりもしましたか?

【鈴木梨央】コロナ禍で個別に収録するようになって、たくさん話せる時間はなかったのですが、どうやって声を出しているのかお話を聞かせていただきました。お腹からの声の出し方はとても参考にさせていただいています。みなさんスニーカーでスタジオに入られていて、声の仕事は全身を使って表現するものなのだと実感しました。なので、私もいそいでスニーカーに替えました(笑)。

■性格も変わるほど“演技”に没頭、「外で遊ぶよりも演じることが好きだった」

――子どもの頃からずっとお仕事をされていますが、どういった姿勢で向き合ってきましたか?

【鈴木梨央】5歳のときにドラマを見て、「お芝居をしたい」って自分から母に話しました。それが親に対して私が伝えた、初めての願い事でした。それまでは人見知りで泣き虫で無口な私だったのに、オーディションに行って「この役をつかみ取りたい」と感じて、自分の性格も変わっていきました。やりたい事に出会えて、夢中になれるって素敵な事だと感じています。

――初めて役をもらえたときは、やっぱりうれしかった?

【鈴木梨央】最初の頃は書類選考で落ちたり、エキストラとしてドラマに出たりしていたのですが、「いつか役を取ってやる」という気持ちは強くなっていきました。そのときの思いは忘れないようにしています。大河ドラマ『八重の桜』のオーディションを受けたときは、「これに落ちたらもう辞めるよ」と母に言われていたので、受かったときは本当に涙が出てきて、とてもうれしかったのを覚えています。あの作品がなかったら、今お芝居をしていたのかはわかりません。

――それだけ演じるということは特別なものなのですね。

【鈴木梨央】小さな頃から家族と一緒にドラマをよく見ていて、「いつかテレビの世界に入りたい」と思っていました。でも、いざ入ってみると難しいことだらけで、オーディションで勝ち取らないと役がもらえないということも知って、そこからさらに「絶対にいつか!」という気持ちが強くなりました。家の中ではドラマのセリフをノートに書き写して、母や姉と演じて遊んでいるような子どもでした。外で遊ぶよりも断然、姉と演技して遊んでいるほうが好きでしたね(笑)。

――目標にしている役者さんは?

【鈴木梨央】本当にたくさんいて、共演させていただいた方は尊敬する素晴らしい方々ばかりで、みなさんのいいところを全て吸収したいなって気持ちです。

――小さい頃から、周りの役者さんたちの行動は観察していましたか?

【鈴木梨央】はい。篠原涼子さんとドラマで親子の役をやらせていただいたときに、私が虐待を受けている役だったので、待ち時間もまったくお話ができていなかったんです。でもクランクアップをして、役作りをする必要がなくなった後に篠原さんが「ずっと話したかった」と話しかけてくださったのは印象的でした。真摯に役に向き合うことの大切さを教えていただいた女優さんでした。

――現在は学生でもあると思いますが、何か熱中しているものなどはありますか?

【鈴木梨央】昔から歌が大好きで、ギターも練習しています。いつか自分で作詞作曲をしたいです。学校の作詞の授業で言葉の置き方とか表現の仕方とかを学んでいるので、今は作詞に熱中しています。

――学生生活の中で目標にしていることは?

【鈴木梨央】いろいろな資格をとって演技に生かしていきたいです。知らないことを知っていくことで演技にも深みや幅が広がるんじゃないかなと思っています。

――最後に、今後の俳優としての展望をお聞かせください。

【鈴木梨央】お芝居が大好きなので、どんな役にもどんな色にも染まれるような女優さんになりたいです。自分自身がライバルだと思っているので、今日の自分よりも明日の自分が勝てるように、日々勉強して努力していきたいです。