ニッポン放送の深夜に、新たな風が吹く。1967年10月2日の放送開始から、今年の秋で55年目を迎える同局の『オールナイトニッポン(ANN)』が、29日から新たなブランド『オールナイトニッポンX(クロス)』(月~金 深0:00~0:53)を立ち上げ、パーソナリティは月曜から順にENHYPEN(エンハイプン)、YOASOBI、フワちゃん、ぺこぱが担当(※金曜は週替り)。盤石ともいえる深夜1時からの『ANN』、3時からの『ANN0』のパーソナリティ陣に加えて、さらに魅力的なラインナップとなるが、ANNブランドのプロデューサーで、同局コンテンツプロデュースルーム所属の冨山雄一氏は「radikoの普及もあって、スマホの中のさまざまなコンテンツや24時台のテレビ番組がラジオのライバルという意識があります」と語る。

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 今回の新枠について、冨山氏は「今までのメディア環境からここ数年は、SNSの普及や動画コンテンツの拡充など、ラジオを取り巻く環境も大きく変わりました。そうした中、『ANN』と『ANN0』はこの数年、いろいろトライをしていきながら、本当に強力なラインナップで放送をお届け出来ていると思っています。ただ、盤石すぎるがゆえに、『ANN』のアイデンティティである、世の中がまだ知らないしゃべりに魅力がある人を発掘するというチャレンジがしにくくなっていたのも事実です。今のパーソナリティの中でも、Creepy Nutsのお2人や佐久間宣行さん、ファーストサマーウイカさんなどANN0をきっかけにその魅力に気づいて頂いた方も多いかもしれません。『ANN』『ANN0』の11番組がこの2年は、ほぼ不動の状態になりつつあったので、『ANN0をもうひとつ作りたい』というのが出発点でした」と説明した。

 『オールナイトニッポンX』は、SHOWROOMが手がける動画アプリの「smash.」と完全連動し、ラジオ番組をベースにしながら、音声と動画をリアルタイムとアーカイブで楽しめるような形となるが、そのベースとなったのが、一昨年11月に行われた企画『ニッポン放送×SHOWROOM コラボ放送局』だった。「24時間SHOWROOMで生配信を行いながら、ラジオも随時絡んで行って1冊の本を作るという企画でした。その時にラジオもネット生配信も、けっこうボーダレスだなという感覚になって、動画のプラットフォームと全面的に組んでやってみたいなという想いになりました。ミクチャの動画配信を行っている『ANN0』がベースとして固まっていたので、新しい枠でトライしたいということで、今回の形になりました」。

 今回のパーソナリティ陣の起用は、どうやって決めたのだろうか。「スマホの中でどうやって『radiko』や『smash.』をクリックしてもらうかを考えた時に動画として一瞬見ただけでも引き付ける魅力も必要ですが、ラジオとして音声としてどれだけ面白いものができるのかも、もちろん大切です。そういった両軸を成立させられるという基準で選んでいったところ、YOASOBIさん、フワちゃん、ぺこぱさんは、僕らが求めているラジオ的な面白さっていうところと映像的な訴求を両方満たして下さると感じました。グローバルに活動する7人組ボーイグループのENHYPENさんはラジオのスキル面では未知数ですが、ティーンの方々に絶大な人気があり、今までのニッポン放送もラジオも知らないという方々に聴いていただける機会にもなりますし、動画としての爆発力に期待しての起用となりました」。

 ENHYPENは韓国を軸に活動しているため、基本的にはリモートでの出演となるなど、さまざまなハードルもあるが「ちょっと前までだと放送局からでしか放送が出来ないという固定観念があったのですが、この1年、コロナ禍で生放送をどうやって維持するかと向き合ってきた結果として『どんな形であれ、音声が届けばそれがラジオになる』という考え方に変わったので、その流れの中で“海外”から“リモート出演”という新しいチャレンジが生まれたと思います。」とコメント。「日本人メンバーNI-KIさんは、13歳で韓国に渡って、アイドルを目指してやってきて、デビューして、世界的なアーティストになる階段を今上がっている。そんなNI-KIさんが定期的にラジオで話すということは、同年代はもちろん、幅広い方にとってリアルドキュメントとしての魅力的なトークを楽しんでいただけるのではないかと考えています」と期待を寄せる。

 

今回の新枠によって、ANNブランド間での交流も加速していきそうだ。冨山氏が「『オールナイトニッポンX』を発表する前に、記者会見の事前予告で『#ANN新ブランド』と入れたところ、このハッシュタグを使って、たくさんの方がパーソナリティの予想をしてくだっていて、リスナーのみなさんといい関係が築けているのではないかと感じました」と話すように、パーソナリティとリスナー、そしてラジオ局の関係が非常に良好な印象を受ける。最近では、音声SNS『Clubhouse』も話題となったが、冨山氏はラジオとの違いとして「Clubhouseは、そのままダイレクトに伝わるという意味で“素材そのままの味”だとしたら、ラジオはパーソナリティとリスナーのやり取りはもちろん、ディレクター・作家・AD・ミキサーたちがどうやったら音声のコンテンツを最大化できるかを考え続けてきた“老舗の味”だと考えています」と例を上げて説明する。

 「この方法が正しいと言うつもりは全くなく、その都度、どういう音声のコンテンツが世の中に求められているかをずっと考えている集団ではあるので。パーソナリティ、スタッフ、リスナーと一緒に作っていくメディアだと思うので、そういったところを長きに渡って支持していただいているのではないかと感じています」

 今月10日には深夜27時から放送している『オールナイトニッポン0』の会見が行われ、木曜日に新パーソナリティ・マヂカルラブリーが就任し、金曜は霜降り明星と交代する形で三四郎が担当することになった。冨山氏は「ANN・ANN0に関しては数か月、熟考した改編となりました」と振り返る。「霜降り明星さんのスケジュールを考えて、ANN0の時間帯を続けることが厳しいとなった時に、ANNのどの番組も終了という選択肢がなくて…。番組終了という判断になりそうだった時に、図らずして、現場のディレクターたちから『どうにかして霜降り明星を続けてほしい』という内容の長文のメッセージがきました。ラジオは1回終わると、次を始めることが難しくなるので」。そうした中でANNを担当する三四郎と時間が入れ替わることになった。「三四郎の2人は、ニッポン放送になくてはならないパーソナリティです。ANN0で4年、そしてANNで2年、そして今回ANN0に“凱旋”(番組での本人談)となりますが、これからもいろんな取り組みをさせていただければと思います。」

 さまざまなジャンルのパーソナリティがズラリと並ぶ『ANN』ブランド。この春から始まる新生活で、新たにラジオを聴くという新規リスナーに向けて、冨山氏は「いろんな分野の方に担当してもらっていますので、必ずひとつは『面白いな』と感じてもらえる番組があると思います。radiko、動画配信など、どういった形でもいいので、1回触れていただく機会があれば」と呼びかける。豪華リレーが連日続く『ANN』ブランドの各番組が、この春からどのような化学変化を起こすのか期待が高まる。

■『オールナイトニッポン(ANN)』ブランド各曜日のリレー
月曜:ENHYPEN→菅田将暉→ファーストサマーウイカ
火曜:YOASOBI→星野源→Creepy Nuts
水曜:フワちゃん→乃木坂46→佐久間宣行
木曜:ぺこぱ→ナインティナイン→マヂカルラブリー
金曜:週替り→霜降り明星→三四郎
土曜:SixTONES→オードリー→週替り(毎月最終土曜:水溜りボンド)