昨年3月に原因不明の病で倒れて1年、車いす生活を余儀なくされている知花ちなさん(@chihana_china)。現在、地元の佐賀に住み、Twitterで「病と車いすと共に勝手にヘルプマーク普及タレント」として情報発信を続けている。彼女と病気とのかかわり、またTwitterでの情報発信や車いす生活を通じて発見できたことについて語ってもらった。

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■朝起きたら突然、身体に力が入らず…病名不明で「精神的なもの」と診断

知花さんは、上京して芸能活動をした後、地元・佐賀でフリーのマルチタレントとして活動。その後、参加した劇団の公演を数ヵ月後に控えていた矢先に病で倒れ、活動ができなくなってしまったそうだ。「ちょうどコロナの時期とかぶっていたので、『活動できないのはコロナのせいだ』と思っていました。でも昨年末から周りが少しずつ動き出して、コロナのせいにできなくなり、今の状態と向き合わなければと思いました」と話している。

――最初に病で倒れた時のことは覚えていますか?

【知花さん】突然でした。前日は職場の仲間と焼肉パーティーをやっていたんですが、その翌朝、起きたら身体に力が入らず、動けなくなっていて。病院で点滴を受けたりしたものの、「そのうち戻るかな」なんて思っていました。

――それまでに予兆はあったんですか?

【知花さん】その前からお腹の調子が悪くて、食べたらすぐお腹が下ることが続いていて。一昨年の夏頃に初めてお腹を下して、お盆の間に体重が4~5キロ落ちたんです。それで消化器系の病院で下痢止めをもらい、様子を見ているところでした。倒れてから、胃カメラや大腸カメラなどいろいろな検査を受けたんですが、原因が見当たらないそうです。一旦「過敏性腸症候群」と診断されましたが、「それにしては体重が落ちているし、違うかもしれない」と。

――正式な病名がわかっていないんですよね。その後、Twitterでは「右足が回復せず、麻痺が…」とも書かれていましたが。

【知花さん】最初は「体力が落ちて動けなくなった」という見解でしたが、入院後にリハビリをしていたら、どうも右足だけ力が入りづらいこともわかりました。自分でもたくさん調べましたが、どうしても病名はわからなかった。神経内科で診てもらった時も、検査上は異常はないが末梢神経障害が明確に出ている謎の状態とのことでした。消化器についても足についても、「精神的なものかも」と言われたんですよね。

――病名や原因がわからないのは、つらいですよね。

【知花さん】そうですね。今年の3月で、消化器の発症から1年半、足については1年が経ちました。原因もわからないため、薬は対症療法のみ、リハビリも今より機能が落ちないようにする内容がメイン。試行錯誤が続いていて、何を信じて治療すればいいのかわからなくて…。本当に精神的なものが原因なら、「ある朝起きたら治っている」というケースもあると聞いたので、「明日は治っているかもしれない」と信じて起きるのを楽しみにしていました。でも、そんなことも起こらなかったから、だんだん起きるのも嫌になってきましたね。現段階では病名の断定もできないまま、消化器も足も治癒まで長期になるとしか伝えられていなくて、悶々としています。

――そんな大変な状況にいる知花さんですが、Twitterでの発信は励みになっていますか?

【知花さん】はい。たくさんの方々からエールをもらえますし、自分が病気であると公表したことで、予想以上にパワーをもらっています。皆さん、親身になってメッセージを送ってくださるので、Twitterをはじめ、SNSってありがたいなって思います。

――いつから始めたんですか?

【知花さん】この病気に関しては、最初に倒れた日です。その時はこんな状態になるとは思っていなくて「まぁ、頑張るよ。すぐ治るさ」くらいの気持ちでいたけど、それが今日まで続いています。最初は、こんなことを発信して大丈夫か自分でも心配していたんですが、思った以上にマイナスのコメントって来ない。ありがたい思いと同時に、驚きもありました。

――「車いすで坂を登っている動画」など、前向きで明るい投稿が多いですね。

【知花さん】どうせ発信するなら、車いすや病気のことを隠すより、さらけ出していこうと思って(笑)。「今の状態が続いてつらいですね」とも言われるけど、つらいと思えばつくづくつらくなるし、何も生まれませんからね。確かに、車いすになってから過ごし方は変わりましたが、誰かの助けがあれば案外できないことってないんですよ。周りからは「かわいそう」と思われたり、珍しがられるかもしれないけど、悔しいことはないです。だって、それが私だし。一人で買い物したり散歩したり…自分の中では、病気になる前の日常と変わっていないです。

――病気を受け入れられなくて、モヤモヤすることはないんでしょうか?

【知花さん】正直、おなかの調子も悪いし、足は動かないしで、今も受け入れられない気持ちはあります。ただ、今まで「車いすであること」「片足が動かないこと」を理由にやっていなかったことも、やってみたら意外とできるもんだという発見がありました。なので、モヤモヤを抱えるよりは、やりたいことを積極的にやってみたいと思っています。受け入れられない気持ちは、ちょっと忘れちゃえ! みたいな(笑)。実際、忘れられてアレもコレも楽しめると、やるじゃん、私!という気持ちになれますね(笑)。

――周りの方々の反応はいかがですか?

【知花さん】車いすに乗っていることで、大きな嫌がらせを受けたことはないですし、それよりも気遣いしてくれる方のほうが何十倍もいらっしゃいます。ほとんどの方が理解してくださいますし、車いす姿を見られることも私は全然平気です。とくに子どもたちがよく見てくれて、声をかけてくれるんです。子どもはすごくストレートだから、「あのお姉ちゃん、なんで椅子に乗って動いてるの?」ってお母さんに聞くんですよ (笑)。子どもにとっては純粋な疑問だし、そこから「脚が不自由な人がいるんだ」「歩くのが大変な人がいるんだ」と知ってほしい。親御さんは「そんなこと言わないの」「見ないの」なんて言ってくれるけど、私は全然平気だし、もっと私たちのことを知ってほしいです。あまり気構えずに、気軽にコミュニケーションが取れたらうれしいですね。 

――知花さんと同じように、病気に悩む方に伝えたいメッセージはありますか?

【知花さん】私自身も突然こうなって驚いたし、悲しかったし、この状態になったことを受け入れるのはなかなか難しいことでした。病名もわからない日々が続いて、候補に上がるのは聞いたことない難病ばかり。今でも悶々とすることはありますが、病名がわかったからと言って病気のつらさが劇的に変わるわけじゃない。だったら病名にこだわらず、つらいことだけに囚われず思いきってやりたいことに挑戦してみる。外出したいならキツくても外に出てみる。それで病状が悪化しても自分で決めたことだから後悔はしない。外に出られたことがハッピーだし、出られた自分をエラいと褒める。そんな日々を続けていたら、病気はつらいけど、まあまあ充実した日々過ごせてるじゃんって思えるようになりました。

――なるほど。

【知花さん】病気を抱えた人は抱えてない人と比べて、常に疾病と戦っていてそれだけで周りより強い人だと思います。なので、つらい状況の中でも自分だけは自分の味方でいて欲しいなと思います。私は自分のことを前より甘やかして、べた褒めしてます(笑)。

――そうした考え方も大事ですね。

【知花さん】もちろん、病気や障害を抱える前と今じゃ前の方がいいのですが、今の私はたくさんの幸せを敏感に感じられるようになりました。毎日温かい家に家族と一緒にいて、美味しくご飯を食べて、1日楽しく活動して、ぐっすり眠る。当たり前のことだけど、いかに当たり前が一番幸せなのか身に染みてます。病気を抱えなければ、なかなか気づけなかったことですね。

――車いすについてはいかがですか?

【知花さん】車いすを使って外に出てみたら、意外と何でもできると思いましたし、一気に活動範囲が広がりました。車いす姿を人に見られたくない人もいると思いますが、案外周りの皆さんは温かくて、私は窮屈な思いをしなかったです。「障害を抱えていても、こうやって過ごせるんだ」と思えたので、思い切って外に出ることは大事です。この状態になったからには、周りの皆さんに思い切って甘えることも必要なのかなと思います。車いす姿を見られたくないから、歩けない姿を見られたくないからと自分を障害者というしがらみに雁字がらめにしているのは、他でもない自分だったりします。環境や他人のバリアフリーもとても大事なことですが、自分自身へのバリアフリー化を最初に行うことができれば、あとはどうとでもなっちゃいます!

――もともと芸能活動されていた知花さんですが、今後やりたいことは?

【知花さん】今のメインはこの状態を良くすること、病院に通うことですが、それと同時にSNS上で病気のことやヘルプマークに関連したことを発信したいです。コロナが落ち着いてきたら、舞台やイベントに車いすでも杖でも、また立ちたいと強く思ってます。特に、疾病や障害に関与したヘルプマークの普及イベントをやってみたいと思いますし、今の置かれた状況を逆に武器にして、積極的に表舞台に立ちたいと思っています。

――パリコレに参加する車いすのモデルにも応募しているとか。

【知花さん】はい。『日本障がい者ファッション協会パリコレプロジェクト車いすモデル』に応募していて、その一次選考に通過しました(※取材時点)。車いすの人だって、オシャレしていいんですよ。洋服屋に行くと、段差や狭さで試着室に入るのが大きな壁になって、「もういいや」と諦めてしまう。私も以前はそうだったけど、今は諦めずにオシャレも楽しんでいこうと思っています。