女優の満島ひかりが江戸川乱歩の世界に挑む、『シリーズ江戸川乱歩短編集IV 新!少年探偵団』が、NHK・BSプレミアムで23日(後7:00~7:29)から3夜連続放送される。“ニッポンミステリーの父”江戸川乱歩。満島は「自分のカラーを貫いて、みんなに愛される」乱歩に、強い憧れを抱いているようだ。

【写真】ドラマ『Woman』高橋來くんと親子ショット

 これまで3シリーズ9本映像化してきたが、新シリーズでは、乱歩が子どもたちに向けて書いた「少年探偵シリーズ」から、「怪人二十面相」「少年探偵団」「妖怪博士」を映像化。満島は、2016年放送の第2弾以来となる明智小五郎を演じる。

――2018年12月に放送された第3弾以来、2年以上ぶりの「シリーズ江戸川乱歩短編集」はいかがでしたか? 第4弾の手応えは?

【満島】このシリーズは、せりふや朗読の一言一句を、江戸川乱歩が書いた作品そのままに映像化しています。書き言葉を話し言葉にする難しさはありますが、その決まりごとのおかげで品が保てているし、どんなにハネても着地できる番組になっています。

 女である私が演じる、男の明智小五郎の髪が長いままだったり、口紅を塗ってみたり。周りの目を恐れずに何にも捉われない、“明智宇宙”を遊んできました。今回の明智は、これまで作品ごとに変化していた扮装を3作共通にして、シンプルに登場しますが、相変わらず一番怪しい感じです。3人の監督たちの発想も三者三様まるで違っていて、怪人二十面相に対するアプローチの仕方もそれぞれで面白かったです。

 第1回「怪人二十面相」(23日放送)の佐藤佐吉監督は、「(怪人二十面相がまるで違った人に変装できるのは)骨格矯正が上手なんだと思う」と話していて、第2回「少年探偵団」(24日放送)の渋江修平監督は、「1人が20通りに化けているのではなくて、20人いる」という解釈。第3回「妖怪博士」(25日放送)の古屋蔵人監督は、かっこいい怪人二十面相を演出していました。

 撮影した順番でいうと、第2回が最初だったのですが、少年探偵団の少年たちを演じているのが全員“おじさん”なんです。だいぶ変化球から撮影が始まりました。ほかの2本は、年相応の子どもたちが演じていますが、小林少年を演じた高橋來くん(※高ははしごたか)とは、彼が4歳の頃にお母さん役で共演しているので、愛しい気持ちがあふれすぎないように気をつけました。

――タイトルにある「新!」なところは?

【満島】今回初めて少年探偵団が出てきて、明智小五郎に仲間がいるというのが新鮮でした。怪人二十面相という宿敵が現れて、一番興奮しているのは明智。演じていても楽しかったです。いままではわりと、コアな大人のツボにハマる感じになっていたのですが、今回は少年探偵団が出てくるということで、子どもも楽しめる、ということを少し考えながら作っていました。シリーズ初参加の古屋監督も、だいぶ違う風を運んできてくれた気がします。

■自分の宝物を開放できるような作品に

――もともと江戸川乱歩の作品は好きだったんですか?

【満島】私は、エドガー・アラン・ポー(アメリカの小説家)の作品を先に読んでいて、「名前をまねしている人」として江戸川乱歩を知りました。初めて読んだのは小学校3~4年生の頃、「赤い部屋」だったと思います。もともと父と母が2時間のサスペンスドラマをよく見ていた影響で、ミステリーの犯人当てが好きだったのと、それまで読んでいた児童文学とは違った文体、聞いたことがないような日本語がたくさんあって、興味を持ったんだと思います。

――江戸川乱歩作品のどんなところに魅力を感じますか?

【満島】乱歩の作品は、魑魅魍魎、エロティックで、ちょっと気持ちが悪いところもあるんだけど、好きな人は多い。マイノリティと言っていいものが、マジョリティに愛されている。それは私自身が目指すべきところでもあるな、と思うんです。自分のカラーを貫いて、みんなに愛される。「少年探偵団」シリーズは、これなら子どもでもわかるんじゃないかという上から目線ではなく、子どもたちに大人の世界の面白さを見せてくれている感じがする。そういうところも乱歩の魅力だと思います。

――江戸川乱歩にシンパシーを感じているみたいですね?

【満島】はい。江戸川乱歩みたいに自分のイメージの道を進んじゃってる人の世界に触れると、「君は君でいいんだ」と言ってくれているような気がするんです。『シリーズ江戸川乱歩短編集』も、江戸川乱歩の世界に守られて、私たちの個性と空想を全開にして歩むことができるから楽しい。個性を出せ、と言われて個性出すのは結構難しくて、いろんなものの影響を受けて生きているので、あれ? これ誰かのものまねみたいになっちゃっているんじゃないか? と悩む時もありますけど、できるだけ自分の中からスパークするもので関わっていきたいと、誰よりも私が思っているし、それができる作品。みんなが自分の宝物を開放できるような作品になっていたらいいな、と思っています。

■満島ひかり
1985年に鹿児島県で生まれ、沖縄県で育つ。1997年に音楽ユニット「Folder」でデビュー。2009年の映画『愛のむきだし』で鮮烈なインパクトを残し、その後も俳優・音楽・執筆・ナレーションなど、唯一無二の存在で活躍。「シリーズ江戸川乱歩短編集」には2016年から主演としてかかわり、今回は第4弾となる。