文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞の2度受賞、手塚治虫文化賞マンガ優秀賞など輝かしい実績と数多くのファンを持つ漫画家・さそうあきら。映像化された作品も多く、なかでもクラシックへの深い愛情と造詣に裏打ちされた『神童』『マエストロ!』は、〈耳で観る映画〉と、高く評価されている。その2作品に続く、音楽をテーマとした3部作の最終作『ミュジコフィリア』(第16回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作)が井之脇海主演、山崎育三郎、松本穂香の共演で映画化され、今秋全国公開(京都先行公開)される。

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 京都の芸術大学に音楽へのコンプレックスを持って入学した主人公・朔が、ひょんなことから現代音楽の世界に身を投じ、さまざまな出逢いを経て自分の音楽を創りあげていく物語。

 自然のなかの「音」を理解し、モノの形や色が「音」として聴こえる特殊な才能を持ちながら、著名な作曲家の父と若手天才作曲家として期待される異母兄へのコンプレックスから音楽を遠ざけてきた主人公、漆原朔(うるしばら・さく)役に、長編映画初主演となる井之脇。

 朔と同じように自然にある音や物を理解し声で表現する能力を持ち、朔に想いを寄せる芸大のピアノ科生、ヒロイン浪花凪(なにわ・なぎ)役に松本。朔の異母兄で天才作曲家としての将来を期待される一方、父親の呪縛から逃れられないでいる貴志野大成(きしの・たいせい)役を山崎が演じる。松本、山崎ともに井之脇とは初共演となる。

 今回、ピアノ経験がある井之脇と山崎は撮影のために練習を重ね、特に物語のクライマックスでは兄弟が葛藤を乗り越えて心を通わせる見事なピアノアンサンブルを披露。松本は、その透明感あふれる瑞々しい歌声によって朔と凪のピュアなラブストーリーを盛り上げる。

 監督は、2010年『時をかける少女』で長編映画監督デビューし、『マザーズ』(中京テレビ)、『人質の朗読会』(WOWOW)などのドラマでも国内外多数の受賞歴を持つ谷口正晃が務めた。

 公開に先立ち、今月29日に京都でプレイベントの開催が決定。当日は映画に登場する新作音楽のコンサート+パフォーマンス、特別予告編初上映、および監督・原作・出演者のティーチインが予定されている。

■井之脇海(漆原朔 役)
 僕の人生のターニングポイントに、12歳の時に出演した映画『トウキョウソナタ』(2008年)があります。ピアノの才能を持つ少年の役を演じて、役者の楽しみを知り、役者を続けることを決心しました。そして今回、初主演映画がピアノにまつわる作品ということに、とても深い縁を感じています。

 初主演という不安やプレッシャーもありましたが、ピアノと一緒ならきっと乗り越えられると思って撮影に臨みました。僕が演じた漆原朔は、日常の中の様々なモノの形や色が「音」として聴こえる、音楽の才能を持った大学生です。朔の天真爛漫さと音楽への溢れる愛を、素敵なキャストの方々、そして”ピアノ”と共に、全てを出し切って演じました。楽しみに待っていてください!

■松本穂香(浪花凪 役)
 最初はすれ違ってばかりいた不器用な人たちが、音楽というものを通して自分だけの表現を手に入れ、心を通わせていく物語です。私は今回、ギターやダンスなど初挑戦が多かったのですが、凪という役を通して、表現することの楽しさを改めて感じました。

■山崎育三郎(貴志野大成 役)
 貴志野大成は朔の兄であり、天才と謳われた作曲家です。何事も完璧を求め、音楽に対しては特にプライドが高く、作曲に人生の全てをかけています。今回、日本の美しい文化の宝庫である京都での撮影は感動の連続でした。国宝のお寺の境内で指揮をさせて頂いたオーケストラ演奏シーンでは、驚くほど美しい絶景に息を呑みました。この作品で音楽の持つ力を改めて感じ、音楽が言葉を超える瞬間に立ち会うことが出来ました。

■谷口正晃監督
 最初から最後まで、俳優たちは己の身体を使って音楽を歌い、奏で、躍動し続けます。本物志向の奔放さは過剰かもしれませんが、とても愉快なことでありましょう。美しい京都の街を舞台にして描く若者たちの音楽への情熱。ぜひご覧ください!

■原作者・さそうあきら
 京都は伝統と革新が矛盾なく共存する場です。そこで僕が聴いてきた様々な音たちが「ミュジコフィリア」の源泉になりました。音楽が生まれ出づる瞬間の喜びを描きたい。そんな思いがこの映画から皆さんに伝わりますように!