新型コロナウイルスの感染拡大により、不要不急の外出自粛などが現在も継続されている。それにより、昨年は“コロナ太り”という言葉も生まれた。そんな背景もあり、「2020年、今年売れたものランキング」ではプロテイン粉末が8位にランクイン。プロテイン市場としても、5年前と比較してその市場規模は約770億円(見込み)と、3倍以上に大きく伸長している。かつてはボディビルダーやプロアスリートのだけものだったプロテインが、今では一般消費者にまで認知が拡大。昨今の市場の変化や開発秘話、今後の展望などを、株式会社 明治でザバスを担当する外崎将昭さん(栄養マーケティング二部)に聞いた。

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■健康食品へのネガティブイメージで発売当時は苦労も

――1980年に誕生した『ザバス』ですが、ブランドコンセプトを教えてください。

【外崎さん】ブランド名の『ザバス(SAVAS)』は「Source of Athletic Vitality and Adventurous Spirit」の頭文字から取ったもので、「すべてのアスリートの競技に挑む力とあふれ出る冒険心の源であり続けたい」という意味が込められています。

――ターゲットはやはりアスリートですか。

【外崎さん】当初は、目標に挑み続けるアスリートたちをサポートするためのブランドとして開発されていましたが、現在ではアスリートからジュニア世代、一般のスポーツ愛好家まで幅広い方をターゲットにしたブランドとなっています。

――明治からプロテインブランドを開発することになったきっかけを教えてください。

【外崎さん】前身の明治製菓には健康食品の部署がありました。そこで、「明るいイメージのスポーツ食品ブランド」を立ち上げようとしたのがきっかけです。というのも、当時は“健康食品”というと、病気予防や病気につながるネガティブなイメージがありました。しかし、健康食品は身体にいいものなので、もっと明るいイメージにできないかと考えた結果、「ザバス」が誕生したのです。

――発売当初に購入していたのはどんな人ですか?

【外崎さん】アスリートを中心にお買い求めいただいておりました。一方で、当時はアスリートにもプロテインが浸透していなかったため、国体やマラソン大会などで普及活動やサンプリングをして認知拡大のための普及活動をしていました。

■プロテインが一般家庭にまで浸透し“身近な存在”へ

――「ザバス」がこれまで開発や認知度拡大のために取り組んできたことは?

【外崎さん】イメージと品質の両面で改善に取り組んできました。筋肉増強剤のようなイメージを払拭するべく、マラソン大会でのサンプリングや部活動での栄養指導などを続けてきました。また、誰にとってもおいしく飲めて、ダマにならず溶けやすい品質に改良を続けています。

――プロテイン市場は5年前と比較して3倍以上に成長していると伺いました。

【外崎さん】健康意識の高まりの中で、プロテインが「アスリートだけのものではない」と理解・浸透したことによるものと考えています。かつてはプロテインというと筋肉増強剤のようなイメージで、トップアスリートが摂取するものと認識されていました。これが近年では、多くの一般の方が日常的に摂取するようになってきています。シニアの健康寿命の延伸や女性のボディメイクなど、年齢性別問わず多くの方にとってプロテインは“身近な存在”になってきていると考えています。

――特にシェアが広がっている層はありますか?

【外崎さん】女性の購入が増えている点に注目しています。コロナ禍での「コロナ太り」などをきっかけに、体形を意識される方が増えています。そのような中、健康的な身体づくりに取り組む女性ユーザーが増えていると考えています。

――コンビニやスーパー等、販売店舗や商品展開も拡大していっていますね。こういった広がりについてどう感じていますか?

【外崎さん】多くの方の健康課題の解決に役立つ食品として、認知され始めたと感じています。また、女性が購入されている姿を見ると、プロテインが男性だけでなく多くの方に受け入れられて、より身近な存在になっていると考えています。

――粉末はもちろん、飲料、ヨーグルトなどスーパーやコンビニでも豊富な商品ラインナップが取り揃えられています。市場の高まりとともに伸びている商品はありますか。

【外崎さん】特にソイプロテインの伸長が顕著です。大豆由来のソイプロテインは腹持ちがよくダイエットには最適といわれています。こちらも働き方改革で在宅が進む中で、今後も市場拡大が続くものと推測しています。

■「粉っぽい」「味がおいしくない」を払拭する開発努力も

――製造上でのこだわりを教えてください。

【外崎さん】安心・安全には常にこだわっています。

――これまで大変だったことはありますか。

【外崎さん】「おいしさ」と「溶け」を両立させるのには苦労しました。味の開発は試行錯誤の連続で、原料に合うフレーバーの研究・調査を数限りなく繰り返しています。現在の美味しいプロテインも数々の失敗から生み出されているんですよ。

――2020年にはリニューアルをされていますね。どんな点が改良されたんでしょうか。

【外崎さん】ザバス独自の造粒技術「均質顆粒化製法」によって、ダマになりにくく、溶けやすいプロテインが完成しました。

――「均質顆粒化製法」とは?

【外崎さん】水に溶けにくい微粉を減らし、それぞれの原料特性に合わせて溶けやすい大きさの顆粒に均質化するものです。長年のプロテイン研究を通じて発見した独自の造粒技術です。

――容器も変わった点があるとか。

【外崎さん】従来の缶容器を、環境に配慮したバイオマスプラスチック配合容器に変更しています。新容器は従来比で約40%軽量になっている他、保管のしやすさ、容器の持ちやすさ使いやすさ、フタの密封性などさまざまな点で改良がされています。

■さらなる成長をイメージ「すべての人の健康課題を解決する商品へ」

――ブランド誕生から40年経ちますが、発売当初から変えていないことはありますか?

【外崎さん】「アスリートを裏切らない」という精神は発売当初から不変です。栄養設計へのこだわりも変わっておりません。

――プロテインのトップブランドとして市場をけん引している御社ですが、課題としていることはありますか。

【外崎さん】さらなる女性ユーザーの拡大です。「プロテイン女子」という言葉も聞くようになりましたが、やはりまだまだ男性ユーザーのほうが多いため、より女性の方々の手に取っていただけるように、女性向けの商品ラインナップを増やしていきたいと考えています。

――商品開発として、取り組んでいきたいことは?

【外崎さん】プロテインは薬ではなく“食品”です。毎日おいしく飲めるように、さらに「おいしさ」と「飲みやすさ」を追求した商品開発に取り組んでいきたいです。

――今後の展望を教えてください。

【外崎さん】ますます拡大するプロテイン市場においても、今後も「ユーザーを第一」に、ニーズにあった商品を展開していきたいと考えています。

――最後に、これからもプロテイン市場は拡大していくと思われますか。

【外崎さん】日本は今後も少子高齢化が進み、多様性を認め合う社会になっていくと思います。そのような環境の中でプロテインは、トップアスリートのためだけのサプリメントというステージから、トップアスリートから一般の方まで多くの方の健康課題を解決する商品へとステージを変え、今後も市場拡大を続けていくだろうと考えています。