現在オンエア中の『バイク王』のCM「ミニ店長登場」篇で、つるの剛士扮する店長と会話をする、眼鏡をかけたオタク風の青年。放送がスタートすると、SNSやネットでは、「菅田将暉に似ている」「なんか強烈なキャラ」と大きな話題になった。この青年を演じるのは、新進気鋭の俳優、タカハシシンノスケ。個性的な風貌の彼は、これら反響をどう受け止めているのか。本人に話を聞いた。

【写真】「意外すぎ!」「同一人物⁉」CMのオタク男子、驚きの素顔

■「象に踏みつぶされたみたいな菅田将暉」、ひとり歩きする反響に驚きと喜び

 ロン毛にチェックのシャツ、大きなフレームの眼鏡でニヤっと笑うオタクっぽい青年――。バイク買取サービス『バイク王』のCMがオンエアされると、そのインパクトある風貌に、SNSなどで「あれは誰?」「菅田将暉かと思った」と話題となった。演じるのは、28歳の俳優、タカハシシンノスケ。普段は、小顔で長身のおしゃれな雰囲気が印象的な男性で、CMのオタク男子とはかけ離れたイメージだ。『バイク王』のほか、楽天カードのCM『楽天カードマンVS財布の大金不安マン』でも個性的なキャラクターを演じている。

 タカハシは、「かなり反響がありました」と照れくさそうに笑うと、「家族からも『観たよ』と言われ、何年も連絡を取っていなかった小学校の同級生からも連絡が来たりしました」と語る。ドラマの撮影現場でもスタッフから声を掛けられるようになるなど、予想以上の広がりに驚いているそうだ。

 本人は、積極的にSNSを活用しているわけではないという。周囲の人間から「なんかバズってるぞ」と言われて検索してみると、多くのツイート、タカハシに言及する記事が出てきた。そんな状況に「インターネットミームになっている…」と他人ごとのように楽しんでいたという。

 しかし、時間が経つにつれ「バイク王のCMに変わった顔の奴が出ている」「象に踏みつぶされたみたいな菅田将暉」のようなコメントも目にするようになった。まるで自分がひとり歩きしているような状況に、不思議な心持ちになった時期もあったそうだ。

 一方で、『バイク王』のオフィシャルページで紹介してもらえたこともあり、多くの人に自身の名前を知ってもらえた。そのことで、映画『さつきのマドリ』(葛里華監督)や『街の上で』(今泉力哉監督)など、俳優としての活動にも興味を持ってくれる人が増えた。客観的にその状況を見ていたタカハシは、「こういう繋がりはインターネットならではだと思うので、嬉しいですね」と笑顔を見せる。

 タカハシが俳優という仕事に興味を持ったのは、キアヌ・リーヴス主演の映画『マトリックス』のメイキングを観て、「映画作りって面白そうだな」と思ったから。だが、両親や高校の教師に反対されて、一時は断念。そのまま大学に進学し、普通に就職活動をしたものの、俳優の道を諦めきれず、養成所に通いフリーで俳優、モデル活動を始めた。

 その後、裏方の仕事を学ぶことも俳優業に役に立つと思い、映像制作会社に入社するも「やっぱりプレイヤーをやりたい」と再び役者に戻る。舞台やインディーズ映画に出演していたところ、現在の所属事務所と出会い、現在に至るという。

 『バイク王』のCMについて、オーディションで監督からは「オタクっぽく」というオーダーがあったという。これまでもかなりキャラの強い役を演じることが多かったタカハシは、自身で用意した眼鏡を小道具に、引き笑いや語尾を上げるようなしゃべり方で、強烈なキャラクターを作り上げた。

 「僕は中学生ぐらいから見た目がずっと変わっていなくて、昔から散々『マイケル・ジャクソン』とか『さかなクン』ってイジられてきたんです(笑)。僕自身も容姿へのコンプレックスがあったのですが、俳優業を始めてから、それも強みにしていけばいいんだと思って、より振り切れるようになりました」。

 俳優としては、「どんな役でもやれるような幅広い役者になりたい」とビジョンを語ったタカハシ。そのためには「しっかりとした土台を培わなければ」と真摯に向き合う。一方で、アパレルブランドのモデルや、知り合いの音楽イベントでDJをやるなど、多彩な一面ものぞかせる。「あくまでも主軸は俳優ですが、いろいろなことをやることで、フレッシュな気持ちになれるし、情報も収集できるので、視野は広く持ちたいです」。

 これまで今泉監督や、ふくだももこ監督ら、映像業界で高い評価を受けている演出家と現場を共にしてきた彼。憧れる監督はたくさんいるそうで、「行定勲監督、そして三島有紀子監督、三木聡監督の作品には、いつか絶対出たい」と目を輝かせる。「海外で仕事をしたいという思いもあります」と未来への展望も明かした。

 CMのオタク的な表情から、映画で見せるユニセックスな佇まい、さらにスタイルの良さを生かしたモデル活動など、作品ごとにまったく違った表情を見せるタカハシ。今後大きな飛躍を遂げる匂いがプンプンと漂ってくる。

(文:磯部正和)