世界中に大きな影響を与えた名匠・黒澤明監督と三船敏郎さんが初めてタッグを組んだ映画『醉いどれ天使』が舞台化されることが17日、発表された。三船さんが演じた松永を桐谷健太、志村喬さんが演じた真田を高橋克典が演じる。演出は、バイオレンスからコメディー、特撮まで多岐にわたる映像制作を手掛ける三池崇史氏が担当する。

【写真】三船敏郎さん&志村喬さん&黒澤明監督の3ショット

 戦後の混沌とした時代に生きる人々の葛藤をいきいきと描き、1948年4月に公開された本作。黒澤監督の力強く斬新な世界観と、三船さんの荒々しくも繊細な演技が、いまでも世界中で愛され続けている。さらに映画公開から約半年後、ほぼ同じキャストとスタッフが集結し、舞台作品として上演された記録が残っている。当時の映画界は、大規模な労働運動が起こり、多くのスタッフや俳優が窮状に陥っていたため、彼らを救うために黒澤監督を中心に劇団が編成され、『醉いどれ天使』の全国巡業が行われたと言われている。

 近年、三船プロダクションが長年ねむっていた舞台台本を偶然発見し、現代にも色あせることのない普遍性を持ち、いまを生きる人たちにも強く訴えるメッセージ性を受け継ぐために舞台化が始動。闇市を支配する若いやくざ・松永(桐谷)と酒好きで毒舌な貧乏医師・真田(高橋)のぶつかり合いが描かれる。

 キャストは、桐谷と高橋のほか、松永と同郷で彼に思いを寄せる幼なじみのぎんを佐々木希。松永を見守る芯の強い女性を演じて、今作ならではとなるラブストーリーを盛り上げる。さらに、松永の兄貴分・岡田を高嶋政宏が演じ、立ち姿だけで周囲を震え上がらせるような存在感を発揮する。

 東京公演は明治座にて今年の9月3日から20日。大阪公演が新歌舞伎座にて、10月1日から11日まで上演される。

■キャストコメント
・桐谷健太
醉いどれ天使、、、黒澤明監督と、新人で初主演だった三船敏郎さんの黄金タッグ。
東京に出てきて間もない頃、色んな人に目がギラついてるねと言われたあの頃、ひとりのおっちゃんに『お前の眼光は往年の三船敏郎みたいやな』と言われ、ちょっぴりうれしく思ったことを覚えています。
そこから時も経ち、こうして三池監督とタッグを組めることを、うれしく、本当にありがたく思います。戦後の闇市で不器用ながらも情の深い漢(おとこ)たち。この時代の漢を演じ、生きることは、とてつもないパワーとエネルギーが必要です。無事に生きて帰れるか分からないですが(笑)、全力で入り込んでいきます。見届けていただけたら幸いです。

・高橋克典
4年ぶりに舞台に出演することとなり、うれしさや怖さも含めて楽しみです。
そして日本映画史に残る黒澤明監督『醉いどれ天使』という作品の舞台に参加させていただけることが光栄です。今回演出の三池監督とは映画『サラリーマン金太郎』以来にご一緒させていただけることもうれしく、三池監督の世界観で“人間味の溢れる男たちの葛藤”をどう演じていくのか今後始まる稽古を楽しみに台本と向き合っています。また桐谷健太くんとはがっつりと共演したことがないので、こちらも楽しみであり一緒に素晴らしい作品を作り上げていきたいと思っております。

・佐々木希
今回『醉いどれ天使』の舞台のお話をいただいた時は、本当に驚きました。舞台の出演が約6年ぶりでしたので、正直怖さもあり悩みました。ですが、台本を読ませていただき、人間の綺麗な部分だけを描いているのではなく、もがきや葛藤する姿など人間味溢れる人々の物語にとても引き込まれました。それと同時に、この世界を三池さんがどのように演出してくださるのだろう…と考えると楽しみに変わり、自然と参加させていただきたいという気持ちが高まっていきました。気さくながらも真っ直ぐに松永を支え寄り添う“ぎん”という女性が愛おしく、そんな女性を演じることが今から楽しみで仕方ないです。

・高嶋政宏
僕がもっとも敬愛する映画の神様のおふたり、黒澤監督と三船敏郎さん。
この世界を仰天させた空前絶後のゴールデンコンビの大進撃の始まりの記念すべき作品「醉いどれ天使」。この作品の舞台化へのオファーをいただいた時、喜びのあまり、思わず家で叫んでしまったことは言うまでもありません。
僕が初めて見たのは高校生の頃。当時、VHSが擦り切れそうになるほど何度も何度も見ました。あの衝撃はいまだに忘れません。その衝撃の作品の舞台化に出られるなんて!と今から興奮してはいますが、冷静に、そして、この興奮のエネルギーはそのままにお客さんが楽しんでもらえる舞台になるよう精進します。