新型コロナウイルスの影響により昨年から公開が延期となっていた映画『のさりの島』が、5月29日より東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開される。

【写真】映画『のさりの島』場面カット

 オレオレ詐欺の旅を続ける若い男が、熊本・天草の寂れた商店街に流れ着く。老女の艶子は、その若い男を孫の“将太”として招き入れる。あたたかいお風呂、孫が好きなおいしい料理、そしてやさしいばあちゃん。若い男はいつの間にか、“将太”として艶子と奇妙な共同生活を送るようになり、やさしい“嘘”の時間に居場所を見つけていく。ひょんなことから昔の天草の8ミリ映像や写真を集めて商店街の映画館で上映会をする企画に“将太”も巻き込まれていく、というストーリー。

 主演は、映画『his』(20年、今泉力哉監督)、主演映画『佐々木、イン、マイマイン』(20年、内山拓也監督)で、第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞、大河ドラマ『青天を衝け』(21年、NHK)、映画『くれなずめ』(4月29日公開、松居大悟監督)など話題作への出演が続く、藤原季節。ふと“嘘”の日常に溶け込んでしまう、さまよえる若者を好演している。

 オレオレ詐欺の男を孫として迎え、奇妙な同居生活を送るつかみどころのないお茶目な老女を演じるのは、70年代テレビドラマ「赤い疑惑」シリーズや映画『黒い画集 あるサラリーマンの証言』などで知られ、20年1月に亡くなった原知佐子さん。本作が遺作となった。

 本作は、19年にミニシアターファンの心を捉えてヒットした『嵐電』(鈴木卓爾)に続く、「北白川派」(学生と映画のプロフェッショナルとが一緒になって制作される京都芸術大学映画学科の劇場公開映画制作プロジェクト)の最新作。

 「第81回アカデミー賞」外国語映画賞受賞作品『おくりびと』の小山薫堂がプロデューサーを務め、故郷天草を舞台に天草市全面協力のもと撮影。ドキュメンタリー映画監督出身でもあり、海外でも高い評価を得た『カミハテ商店』(12年)の山本起也監督がメガホンを取った。