女優の松井玲奈が13日、オンラインで自身2冊目の小説『累々(るいるい)』(集英社)の刊行記念トークイベントを開催した。

【写真】ツヤ感あるワンピース姿の松井玲奈

 2019年4月に『カモフラージュ』で作家デビューした松井。今作は昨年8月から集英社の文芸誌『小説すばる』に掲載している初の連載小説『累々』をまとめたもので、5編の「恋愛」小説集となっている。

 『累々』の構想が生まれたきっかけについて松井は「人の多面性を感じていた時期が長くあった。それを、うまく言葉に昇華できないなと思っていた時にSNSでパパ活をしている女の子たちのアカウントを見つけた。彼女たちが巧みに、いろいろなパパたちへの情や友人、家での生活をつづっているのを見た時にセンセーショナルに写った」と振り返る。そして「書きたいものとパパ活をしている女の子が持っているものにつながるものがあるなと思って、そこが出発点となって走り出した」と経緯を明かしていた。

 3編目の「ユイ」は、恋愛シミュレーションゲームをプレイするがごとくパパ活女子との逢瀬を繰り返す星野の物語で、これまで出会った誰とも違う、ある女子大生と出会う話。男性目線でパパ活を描くが、松井は「ユイちゃんという女の子は攻略したいのに、なかなか攻略できないみたいな。実際のゲームにもあるんです。すごくステキなキャラクターなのに、攻略対象外で、どう頑張ってもルートが出てこない(笑)。追加コンテンツになって、やっとその人のこと(ルート)が出てくるみたいなことが結構ある」と恋愛ゲームあるあるを交えながら語る。「規定ルートに乗れない人に出会ってしまったら、どうなってしまうのかを描けたら面白いなと思って書いてました」と口にしていた。

 また、松井の地元である愛知の書店員とのトークセッションも。女優としても活動し、執筆時間の確保の仕方を問われると松井は「同時並行が、なかなかできない人間。撮影の時は撮影に集中。全体のスケジュールを見て、書く日は書く日と決める。全く進まなくても、原稿と向かい合う時間を持つようにしています」と明かす。書いていて好きなシーンについては「会話劇は書いていて楽しいなと思う。でも、あまりにも会話が続き過ぎると、小説としての形が成り立たなくなる。書き進めて、はっと気付いて、『そろそろ地の文を入れないと』とか『このあたりに状況説明を入れよう』とかしながら。でも、会話を書くのは楽しいですね」と笑顔を見せた。

 文芸書としては異例の発売前重版するなど、2冊目の小説も話題に。今後、書いてみたいジャンルについては「次は長いものに挑戦したい。明確にハッピーエンドの話を書いてきていない。次は、明るくて前向きで誰かの背中を押せるようなポップな作品にできたら」と思いをめぐらせていた。

■松井玲奈『累々』 収録内容

「1 小夜」
「小夜と今年中に籍を入れたいと思う」。夕食の最中に告げられた、30歳の彼からの味気ないプロポーズ。23歳という自分の年齢が結婚に適しているのかどうか、小夜にはわからなかった。

「2 パンちゃん」
獣医の石川は、去勢手術をするたびに自分のモノが切られる夢を見る。そんなある日、友達以上恋人未満の女性とラブホテルへ行くことになり――。

「3 ユイ」
恋愛シミュレーションゲームをプレイするがごとくパパ活女子との逢瀬を繰り返す星野は、これまで出会った誰とも違う、ある女子大生と出会う。

「4 ちぃ」
美大生の彼女が、才能と人柄にのめり込んだハジメ先輩。すべてを賭けて好きになったその恋の末路は。

「5 小夜」
誰もがうらやむ幸福な結婚式の、秘密。