女優の芳根京子が、SF作家のケン・リュウ氏の短編小説『円弧(アーク)』を実写映画化した『Arc アーク』で主演を務めることが9日、発表された。芳根は、不老不死で、17歳から100歳以上を生き抜くひとりの女性の人生を演じる。公開は6月25日。

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 原作者のリュウ氏は、2011年に発表した短編『紙の動物園』で、その年の最も優れたSF・ファンタジー作品に与えられる3大賞として知られる「ネビュラ賞」「ヒューゴー賞」「世界幻想文学大賞」の3冠を制覇するという史上初の快挙を達成した。

 本作の舞台は、そう遠くない未来。放浪生活を送っていたリナ(芳根)は、師となるエマと出会う。彼女のもとで“ボディワークス”という仕事に就くが、それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術する仕事だ。エマの弟・天音はこの技術を発展させ、ついに「不老不死」を完成させる。リナは不老不死の技術を受けた世界初の女性となり、30歳の姿のまま永遠の人生を生きていくことになるが…。

 本作の映像化に挑んだのは、『蜜蜂と遠雷』(19年)で知られる石川慶監督。キャストは、リナを演じる芳根のほか、エターニティ社の責任者・エマを寺島しのぶ。エマの弟で天才科学者・天音を岡田将生。物語の重要なカギを握る人物を、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫とベテランキャストたちが脇を固める。

■キャストコメント
・芳根京子
はじめにこのお話を聞いた時、あまりの難役にどうして石川監督は私にリナを託してくださるのか、うれしさもありましたが、疑問、不安、恐怖が大きく即答することができませんでした。お時間をいただき、正直に自分が思ってることをお伝えしました。

監督は真っ直ぐ向き合ってくださり、私の不安を取り除き、そして「最高のスタッフを集めました」と言ってくださいました。監督から背中を押してもらい、この世界に飛び込ませてもらいたいと決意しました。“生きている”ことに対して無意識、というか、当たり前、というか、それが日常になっていたものが、この作品と出会って特別なものと思えるようになりました。

タイトルの“Arc”からも、人生の始まりと終わりは一直線上の対極ではなく、弧を描いた隣同士だと感じました。もしも自分のこれからの人生の選択肢の中に“人生を終えない道”があるとしたら、自分はどういう選択をするだろうかと、この作品に出会わなければ出てこない発想・想像力をたくさん膨らまして、自分の人生をより一層濃いものにしてくれました。見てくださった方も、自分の人生を今までとは少し違う角度の視点から感じられるような、新しい発見のきっかけになっていただけたらうれしいです。たくさんの方に届きますように。

・寺島しのぶ
台本を読んだとき、内容がよくわからないけれど全ては監督の頭の中にあるのだなと思いました。私はそこに飛び込み、ただ身を委ねました。不思議な作品になっていると思います。永遠に生きるとは…。そう遠くない未来、世界はそうなっているかもしれません。

・岡田将生
後悔のないように必死に生きる姿は、やはり尊くそして綺麗でした。生きること、死ぬこと。命とは何か。それくらい壮大なお話で、命がめぐるように僕たちもこの世界で必死に回っている感覚に陥りました。

多分僕はこの脚本、この映画の本質を今も100%は理解できていません。この脚本を理解するのにとても苦労したことを覚えてます。しかし、石川監督なら絶対大丈夫。安心して身を任せられると思いました。石川監督の演出はとても独特で、監督とキャストだけで何度もリハーサルをし、撮影の仕方も他の現場と異なる感じで、カメラの前にいることを忘れるほど集中して現場に立っていた感覚でした。

・風吹ジュン
『Arc アーク』は近未来のお話ですが、死生観を問うような面白い脚本でしたので、石川監督にお会いするのを楽しみにしておりました。小林薫さんとの共演も…。監督に“Arc”ってなんですか?って聞いたことがありました。「弓のような形」と答えてくださいました。でも見えているのはもしかしたらほんの一部で、大きな丸が隠れて居るのでは。それはきっと亡くなっても、何かは続いていて円周を一回りしたらまた“Arc”の線につながってる?そんなイメージが湧いてきました。見終えたときに幸せを受け取れる不思議な力がある作品です。

・小林薫
近未来の世界に不老不死。どんな映画になるのか、どんな仕上がりになるのか、まったく見当がつきませんでした。
ただワタシの役は自然に歳を取った老人でしたので、役にすんなり入ることができましたが、コロナがじんわりと広がりつつあった3月初頭の撮影で風邪をひいてしまいまして、ビビリましたね。共演の風吹さんから濃縮のビタミンをいただきましたらこれでケロっと治りまして、ホント風吹さんには感謝しております。

・石川慶監督
不老不死をテーマにした物語は古今東西あれど、ケン・リュウが提示するテーマはまったく新しいものでした。そこにあるのはありきたりな不死への警笛ではなく、不死を得た新しいカラダに僕らの価値観がついていけるのかを強く問うてきます。アンチエイジングが発達した今、ストップエイジングは必ずしも遠い未来の話ではないのです。この大きなテーマを背負う主人公を、芳根京子さんがまさに体当たりで演じてくださいました。役とともに本当に生きることができる芳根さんと、この映画を作れたことは自分にとって大きな幸運です。ほかに寺島しのぶさん、岡田将生さん、倍賞千恵子さん、風吹ジュンさん、小林薫さんら名優たちが、一見荒唐無稽に見えるこの物語に大きな説得力を与えてくださいました。ぜひ劇場まで足を運んでいただけたら幸いです。