時にはチーム、時には個人と、さまざまなバリエーションで芸人たちが笑いを生み出していく、日本テレビ系バラエティー『有吉の壁』(毎週水曜 後7:00)。番組をきっかけに数々の名物キャラクターが生まれたが、そのひとつとして挙げられるのは、きつね扮するKOUGU維新だ。きつねの2人は、いかにして“KOUGU維新”へと化けたのか。「この取材の直前はKOUGU維新の役柄としての取材だったので、格好はKOUGU維新ですが、きつねとしてお答えさせていただきます(笑)。最初に確認しておかないと、混乱しちゃいますから」と茶目っ気たっぷりに切り出してくれた。

【画像】何回めくっても飽きない!KOUGU維新の日めくりカレンダー

■誕生のきっかけはトム・ブラウンみちお? マンガ好きの経験がキャラ作りに生きる

 親方様のもとに集った命宿りし工具たちをテーマに、プラスドライバ(きつね:大津広次)、平やっとこ(きつね:淡路幸誠)を筆頭にキリ(トム・ブラウン:布川ひろき)、鉄槌(トム・ブラウン:みちお)、紙やすり(四千頭身:石橋遼大)、巻尺(空気階段:水川かたまり)、砥石(ワタリ119)、丸鋸(パーパー:ほしのディスコ)、マイナスドライバ(パンサー:向井慧)がメンバーとして活動している。最初は、プラスドライバと平やっとこの2人だけでの活動だったが、誕生のきっかけについて、大津がこう振り返る。

 「『一般の壁』という企画の中で、おそらく地上波の放送には残らず、Hulu完全版での放送になってしまったネタで、トム・ブラウンのみちおさんとサイコスリラー映画『ソウ(SAW)』パロディーをやったんです。それで小道具を作っていて、針金を切るものがなかったので、工具を買いに行ったんですね。そして、3000円位のニッパーを買って、高いなっていう印象があったんです。実は、カレーを擬人化して、KOUGU維新のようなことをやろうと思っていたんですけど、それはちょっと違うってなって、工具の思い出が蘇ってきたという感じですね。なので、みちおさんのおかげです(笑)」

 小学生の頃には『魔装機神サイバスター』を描いており、大人になっても漫画喫茶でバイトしながら漫画を読みふけっていた大津にとって、キャラクター作りは身近なものだった。「いろいろと漫画を読んできた経験が生きてきているのかもしれないです。漫画って、バトルパートの後に、ちょっとだけ日常パートに入るじゃないですか。あそこが好きなんですよ。ちゃんとそのキャラクターが好きな人のためにある、あのシーン(笑)。『ヒロアカ』(『僕のヒーローアカデミア』)も、バトルと日常をガッツリ分けて描いていますよね。大げさな表現ですが、そういう部分に影響を受けているのかもしれないです」。かくして、工具に命が宿った。

 「ブレイクしそうなキャラクター」を、MCの有吉弘行、佐藤栞里、壁芸人たちが見守る中で披露する「ブレイク芸人選手権」は、視聴者として眺めていると、和気あいあいとした雰囲気が伝わってくるが、芸人とっては実力が試される緊張の現場だ。大津が「有吉さん、佐藤栞里ちゃん、そして芸人のみなさんの視線が集まっている中でネタをやるのは、本当に独特な雰囲気です」と語ると、淡路も「回を重ねていく度に、どんどん変わってきているので、最初の頃のコンセプトでネタをやってもウケなくなってきていて、その辺りの温度感が本当に難しいです」と指摘する。初見では、なかなか伝わりにくい世界観、奇抜なメイクゆえに「これはもうお笑いじゃない」と不安もあったが、初めて披露した際に見事にウケた。

■3回目の壁を乗り越え大ブレイク きつねが抱く『有吉の壁』愛「自分たちの人気はどうでもいい」

 チョコレートプラネットの松尾駿からも「おもろかったよ」とお墨付きをもらった初回に続いて、2回目も順調にクリアしたが、そこで立ちはだかったのが“3回目の壁”。2人は、どうやって乗り越えたのか。「新メンバーに入ってもらいました(笑)。『有吉の壁』は、チーム感がすごくあって、有吉さんというデカすぎる壁をみんなで乗り越えようぜっていう感じなので、いろいろなコラボもしやすい環境ということも助かりました」(大津)「新メンバーを迎えたことで、実際に、さらに火がついた感じがありました」(淡路)。見事に乗り越えた“KOUGU維新”の前に見たこともない光景が広がっていく。

 まずは、10月末の『バズリズム2』(深1:29)での初パフォーマンス。音ネタを得意としてきたきつねが、大化けした。淡路が「僕らにとっての『M-1』は『ミュージックステーション』なんで…って、インタビューでも冗談っぽく話していたんですけど、まさか本当になるとは。言霊ってあるんだなと感じました」とかみしめるように語る。12月24日には、ついにオンラインミュージカル『最初で最後のミュージカル KOUGU維新±0 ~聖夜ヲ廻ル大工陣~』(Huluストアで有料配信)まで開催。大津は「11月後半から12月にかけては、KOUGU維新のウェイトが大きくて、日常生活に占める割合も、睡眠以外はKOUGU維新かみたいな感じでした」と声を弾ませる。

 売れっ子タレントの象徴とも言える、日めくりカレンダー『日めくりKOUGU維新の毎日メンテナンス』(講談社)も、1月15日に発売。淡路が「日めくりカレンダーを出させてもらえるまでいけるとは…。きつねじゃ出せないものを表現できていますね」と感慨深く語ると、大津が「きつねが化けて出ているような感じですね」とニヤリ。撮影もノリノリだったようで、大津が「僕は自分のインスタグラムの写真を、写真家の方に撮影してもらっているのですが、最初は恥ずかしかったのが、だんだんと撮られることにも慣れてきての日めくりカレンダーだったので、違和感なく撮影に臨めました」と振り返った。

 「漫画化までいけたらうれしいですね」と夢見る2人だが、根底にあるのは『有吉の壁』を広めたいという思いだ。「正直、自分たちの人気などはどうでもいいというか、自分たちがやりたいことを存分にやらせてもらっている『有吉の壁』という番組で、これからも面白いものを作っていきたいという一心です。みんなで笑いを削っているという感じなので、KOUGU維新が注目を集めることで、番組が盛り上がっていけば、一番うれしいです。そのためにも、これからも化けられるものを増やしていきたいですね」。“KOUGU維新”に化けたきつねの挑戦は、これからも続く。