俳優の岡本健一が3日、都内で行われた『第55回紀伊国屋演劇賞』の贈呈式に出席。新国立劇場公演『リチャード二世』における、リチャード二世の演技が評価されての受賞となったが、ユーモアを交えながら、演劇に対する思いを語った。

【集合ショット】鈴木杏ら受賞者とともに登壇した岡本健一

 2009年の『ヘンリー六世』を皮切りに、足かけ12年におよぶ、シェイクスピア歴史劇上演シリーズの集大成に位置づけられた同作。コロナ禍での公演ということもあり、上演時期や観客数などの調整も経た上で迎えた舞台だったが「これはもう、自分がリチャード二世の役をやるとなった時に、集大成だと思って、衝撃的な作品をお届けしたい。確実にみんなの心を打つように、伝説的なものをなんとか残したい。今まで言ってなかったですけど、賞をもらいたいと思っていました」と笑顔を見せた。

 岡本は続けて「そのためには何をしたらいいのかと考えた時に、12年間同じカンパニーでやってきて、自分の中で演技をするということに飽きてしまってというか、役作りとか演技プランを立てるのが面倒くさくなった。演劇的じゃなくいきたいなと。そのためには、やっぱりせりふを覚えないといけないし、その作業は大事なんですけど、けいこをしないとダメだとひしひしと感じました。『素で出ていけばいいや』は不可能で、とにかくけいこしかなかった」と力説。

 そのために、ほかの共演者よりも4時間ほど早く入って、朝げいこに励んでいたようで「ひたすらやり続けていて、そうするとやっと、何も考えなくて舞台に立てるなと。幕が開いても、これが面白いのかどうかって、わからなかったんですけど、お客さんが見てすごく喜んでくれていて、間違っていないなと感じました」としみじみ。「演劇っていうのは、実際の生のお客様に届けるということで、一緒に時間を共有することが演劇の醍醐味だなと。より毎公演大切にしていかないといけない」と言葉に力を込めた。

 受賞後のスタンスについては「作品が変わると、またゼロから作り直さないといけない。けいこもしなくて、ものすごい演技をしたいんだけど、なかなかそうはいかないんですよね」とにっこり。「演劇というのは、劇場で一緒に共有した人たちだけの特別な時間が流れていて、何ヶ月もかけて、ほんの2時間のために集まって、みんなの記憶にだけ残る。それが究極にぜいたくな感じがして。これをもっとずっと続けていきたいなと思っています」と決意を伝えていた。

 個人賞はそのほか、シアターカンパニーJACROW代表の中村ノブアキ氏、劇団俳優座の眞鍋卓嗣氏、松岡依都美、鈴木杏が受賞した。