『この恋あたためますか』(TBS系)で連続ドラマ初主演を務めた森七菜。映画『天気の子』では声優を、映画『ラストレター』では主題歌にも挑戦。連続テレビ小説『エール』(NHK総合)にも出演を果たすなど快進撃を続けている。2月には映画『ライアー×ライアー』で松村北斗(SixTONES)とのW主演を控えているが、森七菜といえば純粋無垢な役どころも多く、“清純”のイメージが強い。だが、本人は普段の自分とギャップを感じることもあるという。「恋愛作品の“キュン”は作りこまれたもの」だと実感したという森七菜にその真意を聞いた。

【写真】”金髪ギャルJK”姿を披露する森七菜

■高校時代は地元と東京の二重生活に苦悩「学生と女優、2つの人生をいっぺんに経験」

――実写映画初主演となる今作で、地味な女子大生(湊)とギャルJK(みな)の2役に挑まれましたが、決まった時はどんなお気持ちでしたか?

【森七菜】「W主演の1人を私が務めていいんですか?」と、映画の顔に選ばれたことにとっても驚きました。原作は中学生ぐらいの時に読んでいて、それ以来ずっと私の中で特別な作品だったんです。だから、お話を頂いて運命的なものを感じましたし、「湊とみなを演じさせて頂けるなんて夢のよう!」とワクワクしたのを覚えています。

――主演を務めるにあたり、意識されたことがあれば教えて頂けますか。

【森七菜】「どうやったら観客の皆様に湊とみなに寄り添ってもらえるか」を考えて撮影に挑んでいました。鑑賞中に湊やみなに感情移入することができたら、一緒にドキドキしたり悩んだりできるじゃないですか。それって凄く大事なことだなと思うんです。あと、松村北斗さん演じる“透”と小関裕太さん演じる“烏丸くん”の2人のキャラクターの魅力を引き出せるように意識して演じていました。もちろん私が何もしなくてもお2人はカッコ良いのですが(笑)、湊やみなと一緒にいることで、より魅力的に見えたらいいなと思って。とはいえ、私自身キャストの皆さんやスタッフさん、監督に助けられてばかりでしたけど(笑)。

――自分の役だけではなく、周りのキャラクターをどう魅力的に見せるかというのは、いつも意識していることなのでしょうか?

【森七菜】今まではあまり意識してなかったかもしれません。今回は主演映画で初めてのラブストーリーだったので、「私が魅力的に見せなきゃ!」という責任感を感じたというか。そこは監督と色々相談しながらやっていました。

――本作ではギャルのJK役も演じてらっしゃいますが、森さんご自身はどんな高校生活を送っていましたか?

【森七菜】大分の高校に通いながら、お仕事がある時は東京に行って、お仕事が終わるとまた地元に帰って…という生活を送っていました。地元では高校の友達とカラオケやご飯に行ったり、河原でお花見をしたり朝からファストフードを食べに行ったり(笑)。振り返ってみると、凄くキラキラした高校時代だったなと思います。

――昨年上京されたそうですね。 

【森七菜】高校を卒業したタイミングで上京しました。地元から東京に通っていた頃は2つの人生をいっぺんに生きているような感覚があって、大分では友達や周りの人達が気兼ねなく話してくれますが、お仕事で東京に行くと大人として扱われるというギャップに苦しんだことも正直あったんですね。でも、普通の人生では絶対に経験できないことが沢山ありましたし、そのおかげで成長できたと思います。

■“キュン”を伝えるため作りこみが大切 「角度やライティング、台詞回しなど細かく調整」

――本作とドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)で本格的なラブストーリーに挑戦されてみていかがでしたか?

【森七菜】“キュン”って意外と作り込まれたものなんだということがわかりました。それこそ、先ほどお話しした“魅力的に見せたい”という思いを監督もキャストもスタッフさんもみんなが持っているので、角度やライティング、台詞回しなど細かく調整しながら誰もがときめくような“キュン”を作っていくんです。全員が作品に愛を込めているからこそ、“キュン”がより観客の皆様に伝わるんじゃないかなと、今回改めて感じました。

――これまで純真無垢という森さんのイメージに合った役が多かったように思いますが、ご自身と役とのギャップを感じたことはありますか?

【森七菜】ありますね。ですが、どんな役でもできるだけ自分の中にある要素から役に近いものを引き出して演じるようにしています。もちろんそれだけじゃなく、参考になりそうな作品を観てお芝居に取り入れることもあります。本作の場合は役のキャラクターが自分にはない部分も多かったので、原作をひたすら研究して寄せる努力をしていました。

――ちなみにご自身のことを客観的に見てどういう性格だと思いますか?

【森七菜】“気にしない人”だと思います。気の向くまま行動することも多いですし、寝たら色んなことを忘れるので、我ながら良い性格に生まれてきたなと思っています(笑)。

――森さんは映画やドラマ、声優など数々のオーディションを勝ち抜いてこられましたが、中でも印象に残っているオーディションはありますか。

【森七菜】ひとつひとつに思い出がありますが、受からなかったオーディションが強く印象に残っています。例えば、その日初めて会った人と一緒にお芝居することもあって、最初に台詞の掛け合いがうまくいかないとガラガラっと自分の中で何かが崩れてしまうんです。きっと未熟だからだと思うんですけど。その瞬間に「ああ、もう今日はダメだ…これは落ちたな…」と勝手に思い込んで、オーディションの帰り道で悔し涙を流したことが何度もあって(笑)。

■何度も涙を流したオーディション「それでも女の子達の“バチバチ”は痺れる!」

――それでもまた次のオーディションに挑むというのは、かなりメンタルが鍛えられそうな感じがしますね。

【森七菜】単純にオーディションが好きなんですよね。「バチバチにやろうぜ!!」という気持ちでいつも挑んでいます(笑)。初対面の人達と一緒に受けて、その中の一人だけが合格するのって凄く痺れるというか。一発勝負みたいなところもありますし、自分に鞭を打つような感覚にもなるので、ある意味“刺激”を求めているのかもしれませんね。

――昔から勝負事がお好きだったりしますか?

【森七菜】いえ、ケンカも争いごとも昔から大嫌いです(笑)。ただ、オーディションは平和的な戦いですし、同世代の女の子達が闘志を燃やしているのがいいんですよね。自分が落ちた役に受かった子とまた別の作品のオーディションで会ったりすると、これまた楽しくて「次は負けないぞ! 私のほうがこの役に合ってるんだから!」みたいな(笑)。

――これからはオーディションではなく「森さんにこの役を演じて頂きたい」というオファーも増えると思いますが、今年20歳を迎えるにあたって、目指す俳優像はありますか?

【森七菜】視聴者や観客の皆様、そしてお仕事で関わるスタッフや監督の方々から“信頼される俳優”になりたいです。というのも、とある現場で「最初は正直『なんだこの小娘は?』と思っていたけど、君が主演を務める理由がわかったよ」と言われたことがあったんですね。それが凄く嬉しくて、他にも「なんだこの小娘は?」と思っている人がいたら、「なんだこの小娘は!」に変えてやろうと気合いが入ったんです。これから沢山色んな経験を積んで、いつか「この原作のこの役を森七菜が演じるなら安心だね」とか「森七菜が演じるなら絶対に面白いよね」と思ってもらえるような俳優になれたらいいなと。そこを目標に頑張ります!

(取材・文/奥村百恵 )