昨年から続くコロナ禍により、『さっぽろ雪まつり』はリモート開催(来場禁止)、『十日町雪まつり』は開催中止と、各地で長年続く雪まつりにも影響を及ぼしている。そんななか、雪だるま職人としにゃんさん(@mokomoko_2015)は、“一人雪祭り”と称し、SNSで見事なクオリティーの雪像を次々と発表。『ゴジラ』「『となりのトトロ』のネコバス」など多彩な作品があるなかでも、『鬼滅の刃』の十二鬼月の下弦の伍・累の雪像には「心が震えた」などの賞賛の声が寄せられ、14.5万いいねを獲得。同氏はなぜ、このような作品を作るようになったのか。自ら“職人”を名乗る同氏の「雪像」造りの矜持とは?

【写真】『鬼滅の刃』の累が雪像に…“雪の白さ”でゾッとする雰囲気が原作キャラにソックリ

■気温や天候で雪質が変化 それに見合うモチーフを選んで制作

――SNSで発表された雪像作品が注目を集めていますが、いつ頃からどのようなきっかけで始められたのですか?

【雪だるま職人としにゃん】雪が積もったときに、いろんな創作物がニュースやSNSで報じられるじゃないですか?それを見て、「面白そうなので自分でもやってみよう」と思いました。2015年からなので、作り始めて5年ほどです。

――「雪像を作ろう」と思っても、ここまでのクオリティーの作品はなかなか作れないと思います。以前から何か造形物を制作されていたんですか?

【雪だるま職人としにゃん】そうですね。今はあまりしてませんが、石粉粘土でアニメキャラや、牛乳パックやダンボールでお面を作ったり。羊毛フェルトもやったことがあります。

――その経験が今のベースになっているんですね。SNSでも話題になった『ネコバス』についてお伺いしますが、これはどのようなきっかけで制作されたのですか?

【雪だるま職人としにゃん】もともと『ネコバス』はお気に入りのキャラで、これまでにも何度か作っていたんです。今回作ることにしたのは、ちょうど軒下に積もった雪がネコの形のように見えたもので、「これは!」と思い再度作ることにしました。制作は約6時間くらい。外出から戻ってきた家族は、軒下に巨大なネコバスがいたので驚いておりました(笑)。

――積もった雪の形から「ネコバス」をイメージされたんですか!すごい発想力ですね。

【雪だるま職人としにゃん】形もそうですが、その日の天候や気温にあわせたモチーフを手がけるようにしてます。例えば気温が高く雪質がざらつきそうな場合は、『ゴジラ』のような表皮が粗くてもよいものを、細く折れそうな箇所がある作品なら、気温が低くすぐ凍り付いて固まるような日を選んでます。
 それとモチーフ選びの際、雪で表現できるポーズや表情であることが前提となります。重心が前よりだと倒れやすいし、細すぎたり薄いものでは強度が不足してしまいますので、その点も考慮してます。

――雪の質までみて制作物を決めるとはまさに“職人”ですね。『ネコバス』制作で、こだわったところはどんなところですか?

【雪だるま職人としにゃん】雪灯篭のようにローソクを灯せるよう、窓や目、それと行き先表示「す」の部分、左右に乗せたネズミを作りこみました。あと、体の丸みとひげの表現、多数ある足の制作に時間がかかり、苦労しました。

■とけるまでのわずかな時間でも、見る人に感動を与えられるのが「雪像」の魅力

――今冬の制作物で大きな話題となったのが、『鬼滅の刃』十二鬼月の下弦の伍・累でした。14.6万いいねというすごい反響でしたが、ご自身はどう受け止めていらっしゃいますか?

【雪だるま職人としにゃん】ツイッターでは、桁違いの「いいね」や、数多くのコメントをいただき、またこれをきっかけに過去の作品も見直してもらう機会となりました。これまでやってきた「一人雪祭り」が一気に知れわたったように感じ、多くの方々に興味を持っていただけたことに感謝しております。

――本作はどのようなきっかけで制作されたんですか?

【雪だるま職人としにゃん】テレビやネットなどで毎日のように『鬼滅の刃』の話題が出ていたこともあり、「今シーズンは、鬼滅のキャラを作ってみるか!」と思ったことですね。
 アニメで累を見たとき、雪のシーンがあったからかもしれませんが、自分の中では真っ白な雪のイメージを強く感じたキャラクターであり、この複雑な髪型をどうやれば表現できるかを試してみたいという思いから制作することにしました。

――確かに、髪型や着物など、細かいところの表現が大変なキャラクターですね。

【雪だるま職人としにゃん】そうなんです。着物を着てますので、平面になってしまわないよう、しわの雰囲気を出したり、クモの足のような髪型をうまく表現できるよう制作しました。あとは髪で見えませんが左目に「下伍」の文字も入ってます。髪の部分は曲げた部分で折れたり、折れるのを気にして太く野暮ったくなったり、顔も表情が写真だとわかりにくかったりで、バランスのよい状態になるまで苦労しました。
 2日間に分け、1日目に首から下で5時間、2日目に残り部分と仕上げ5時間、計10時間くらいかかりましたね。

――それだけの時間を費やしても、雪はいずれとけてしまいます。雪ではなく、ほかの素材を使って作品を残していくというというやり方もあると思うのですが、なぜ「雪」での制作にこだわられているのですか?

【雪だるま職人としにゃん】粘土やダンボール細工などをやってみましたが、やはり雪の造形が自分にあっているのだと思います。寒いなか何時間も外にでて、その日の天候や雪質にあわせた作り方を考え、降り積もった雪を形にしていく。いずれはとけてなくなるものですが、そのわずかな時間の中で、見た人に喜びや感動を与えられる。そういった魅力が「雪像」にはあると思います。今はSNSで世界中に発信できる世の中ですので、多くの方々に見て楽しんでもらえればうれしいですし、自分自身、純粋に雪で作ることを楽しんでいます。

――今シーズンはコロナ禍で「雪まつり」の中止を発表するところが増えています。こんな状況下だからこそ、ご自身がSNSで発表される作品を楽しみにされる方も多いと思います。最後に、メッセージをお願いします。

【雪だるま職人としにゃん】全国的にも有名な「雪祭り」はもちろん、私の地元で毎年開催される「雪像コンテスト」も、今年は見送りとなってしまい、多くの人に「雪像」を生で見ていただく機会が失われたことは大変残念に思います。
 そんななかでも、私の作品を楽しみにされている方もいらっしゃいますので、週末には何かしらの作品をアップし、SNSを通じて皆さまに楽しんでいただければ幸いです。
 あといずれは完成品だけでなく、制作工程も紹介できればとも思っています。動画撮影や、写真撮影についても、よりうまく撮れるように勉強していきたいと思います。
 創作活動も数年にわたり、作品もだいぶ増えましたので、いずれは作品集なども出せれば楽しいかなと考えています。