カリスマホストとして広くメディアにも登場し、現在では実業家としても活躍するローランド。発言や生き様がたびたび話題になる彼の源は、どんなところにあるのか。その一端が描かれたのが、著書『ローランド・ゼロ』だ。「天才ではない」からこそ、生まれたローランドという存在、現在の経営者としての考えとは? 昨年末に、自身がプロデューサーを務めるブランドで起きた問題についても語った。

【写真】GACKT&ローランドによるブランド設立会見「女性を一流に」

■「そこそこ頑張る超一流」と「めっちゃ頑張る二流」、その勝者は?

 ローランドが監修し、伝説のホスト漫画『夜王』の井上紀良が作画を務めた著書『ローランド・ゼロ』(宝島社)。物語では、ホストの帝王と呼ばれるまでになったローランドがホストを目指した理由や、ホスト業界での苦悩などが、フィクションとノンフィクションを交えて展開される。帯に書かれた「俺は天才じゃない。凡人代表なんだ」の言葉の意味とは――。

――ローランドさんの哲学が詰まった自叙伝的な本作。フィクションとノンフィクションが混ざったような内容になっているように感じました。

【ローランド】そうですね。僕は以前サッカーをやっていましたが、漫画では小説家を目指しています。最初はもっと自分に寄せた方がいいのかなと思ったのですが、これまで何度もメディアで紹介されていて、「もうそんなの知ってるよ!」と言われる可能性もある(笑)。だったら、ノンフィクションとフィクションをミックスして、僕のことをすでに知っている人も楽しめた方がいいかなと思ったんです。

――「僕は天才じゃない。凡人代表なんだ」というメッセージも印象的でした。

【ローランド】夢は叶わないと思って諦める人が多いと思いますが、言いたかったのは、誰でも勝てるし、「お前のその夢を諦めるに値する理由なんて、本当にねーぞ」ってこと。才能がないって理由くらいじゃ、諦めるには値しない。本書でも、自分は才能のない人間に描かれていますし、実際にいまの自分も才能なんてないと思っています。

――才能、あるように見えますが…。

【ローランド】そう言ってくれる方もいますが、実際結果が物語っている。サッカーを本気でやってもプロにはなれなかったし、ホストとしても、本当に才能があればすぐに売れていた。僕は才能なんてないって断言できます。でも、ほかのホストには負けない自負があるのは、努力すればほとんどのことは後天的にカバーできると思っているから。

――諦めずに努力することが大切?

【ローランド】もちろんそうです。「そこそこ頑張る超一流」と、「めっちゃ頑張る二流」がいたら、「めっちゃ頑張る二流」の方が勝つんです。もちろん「超頑張る一流」がいたら勝てませんが、そんな人は地球上にほとんどいない。人は、数少ない超一流を見て「無理だ」って思いがちですが、そこは割り切って、努力してほかの勝てる奴らに勝ちに行く方がいい。そういうことも伝えられたらなと思って本を作りました。

――現在はホストの第一線から引いて、実業家として活躍していますが、また別の場所で勝負を挑んだということ?

【ローランド】社長業に移行できたのは、ホストとしてやり残したことはないという気持ちを持てたからだと思います。夢が叶う・叶わないを抜きにして、めっちゃ頑張った、やり切ったと思えば未練もなくなり、次にいける。そこをやらないでダラダラと夢とも言えない夢を追いかけていると、もったいないなと思います。僕はただ超頑張っただけですが、誤解を恐れずに言うと、誰にも負ける気はしない。そんな気持ちになれたから、次の道に進めたと思います。

――新たな道に進んでいても、コロナ禍で経営するホストクラブ『THE CLUB』を閉店しつつ、毎月家賃を払い続けているなど、ホストという仕事に愛を感じます。

【ローランド】自分のステップアップとして、経営の道に進んだわけで。社長業をやっているからといって、ホスト業界に愛情がないわけではないんです。いま自分がこうしていられるのは、ホストのおかげ。その気持ちは今後も変わらないです。

■メディアに登場する理由、「名前を売って『看板』で勝負するしかない」

――以前テレビ番組で、「知名度を上げなければなにを言っても聞いてもらえない」と、あえて注目を集める発言をしていたと話していました。メディア露出などで知名度が上がったことで、やりたいことができるように?

【ローランド】将来経営者になりたいということを見越して、ブランディングしていた部分はありました。僕は頭が良くないし、学歴があるわけでもない。そこで勝負するのは無理なので、知性がなくても勝つ方法を考えたんです。それが「看板」。エリートにできないところで戦うには、名前を売って看板で勝負するしかない。現役ホストのときから、いかに知ってもらうかというのは意識していました。「無名のバカ」なんて誰も相手にしないけれど、「有名なバカ」だったら、「無名の天才」とも戦えるかもしれませんしね。

――ローランドさんはすごく地頭が良い方に思えますが。

【ローランド】それはないですよ。最近英語の勉強をしているのですが、やっぱり難しくて…。多少頭の回転は速いかなとは思いますが。経営者になったのも、ただ社長って呼ばれたかっただけ(笑)。社長って呼ばれて、でっかいオフィスで偉そうにしているのっていいじゃないですか(笑)。

――先日、プロデューサーを務めるブランドで起きた問題の際も、すぐさまキッパリと謝罪をされるなど、理想の経営者のように感じました。

【ローランド】それについては、責任者、経営者がどうこうではなく、人として格好悪い生き方をしたくないというのが根本にありました。ミスは誰にでもあると思うけれど、自分に期待してくれた方々やファン、顧客を失望させてしまったわけで、そこで潔く謝れなかったら、超格好悪い。まあ自分自身に失望したくないという部分も大きかったです。

――謝罪することの怖さはなかったのですか?

【ローランド】もちろん、別の方法はあったかもしれません。それによって、守れる仕事もあったかもしれない。でも、僕はお金があっても、立場があっても、格好悪いと思われたらつらい。格好いいって、お金じゃ買えないんです。それなら、自分のミスをしっかり認めて、これまでの仕事を失っても、そこからまた始めた方が自分にはいいと思ったんです。

――格好いい生き方を貫くからこそ、多くの人が憧れるのかもしれません。

【ローランド】残念なことに、握手会とかやっても男性の方が多いんですよ。どこかにかわいい子いるかなって探すんですけれどね(笑)。でも、男から格好いいと言われるのは嬉しいです。憧れというより、僕は凡人なので、頑張れば誰でも僕みたいになれるというモデルケースとして見ているんじゃないですかね。

――目立つことで叩かれることもあると思いますが、どんな声にも負けない強さに惹かれる人は多いのでは?

【ローランド】誹謗中傷に関しては、表に出る人間は誰でも悩むことだと思うし、僕も思う部分はたくさんあります。でも誹謗中傷に勝つ方法なんてないんだから、ハナから勝負しない。最初は気になるかもしれませんが、見なければ嫌な言葉なんて入ってこない。それを気にしていたら、僕はつまらない人間になってしまう。直接会って話をした人の言葉だけを信じるようにしています。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

【ローランド】これを読んでくれた皆さんは、残念ながらきっと天才ではないと思うんです。でも凡人の僕がここまで来られたのは、諦めの悪さ、あとはほんの少しの運と努力。自分が凡人だと思う人こそ、読んでほしいです。

(文:磯部正和)