錦戸亮が2ndアルバム『Note』をリリースした。2019年10月に自主レーベル「NOMAD RECORDS」を設立し、1stアルバム『NOMAD』を発表。昨年10月には日本武道館でオンラインライブを行うなど、着実に活動を積み重ねてきた。先行配信曲「オモイデドロボー 」「Silence」「キッチン」を含む本作『Note』 は、前作同様、すべての楽曲の作詞・作曲・プロデュースを自ら担当し、アーティストとしての個性をさらに強く描き出しているが、本人は「自分の音楽性なんて、まだまだ恥ずかしくて言えない」と語る。今回のインタビューでは アルバム『Note』の制作を中心に、独立から1年半における心境、環境の変化について語ってもらった。

【動画】錦戸亮の2ndアルバム「Note」リリースコメント 「オモイデドロボー」&「Silence」MVも

――2020年は予定していた活動が滞ることも多かったと思いますが、振り返ってみるとどんな1年でした?

「なんやったんやろう?」って思ったりもしますけど、それは僕だけじゃなくて、みんなそうですからね。落ちててもしょうがないし、「“どうしていこうか”というところにシフトチェンジしないとな」って思ってました。生きているといろんなことがあるというか、「しょうがない」の一言に尽きますね。

――実際、錦戸さんは活動を止めることなく動いてましたからね。 8月にアリーナクラスの会場(東京・大阪)で9公演ものファンミーティングを開催し、10月には日本武道館での無観客2daysライブを開催。1日目は弾き語り、2日目はバンドセットでしたが、手ごたえはどうでした?

出来るだけクオリティを上げようと思ってましたね。目の前に(アーティストが)おって、爆音と光のなかで見るライブと違って、家でリラックスして観てもらうわけで、いつもよりクオリティが高くないとあかんなと。2日間やるってなって、「1日ずつセットリストを変えてみる?」とか、いろいろ決めていって。最終的には自分でやるって決めたわけですから、後はやるしかないですよね。まあ、気が付けば終わってましたけど(笑)。

――ニューアルバム『Note』の制作も同時に進行していたと思います。収録曲は、前作『NOMAD』以降に制作した曲が中心ですか?

ほぼそうですね。前に作った曲も2曲(「Tokyoholic」「スケアクロウ」)収録されています。

――今回も作詞・作曲・プロデュースをすべて錦戸さんが担当。前回との違いは何かありますか?

前作のときは、まず曲を一生懸命作って、それを出す前にツアーをやったんですよ。本番数日前まで出来てなかったんですけど、走り続けないといけなかったので。2枚目に関しては、(コロナ禍の自粛期間中は)在宅で時間があったはずなんですけど、なかなか動けなかった時期もあって。タイムリミットを設けてもらって、それに合わせて何とか間に合ったという感じです。前作との違いは、ないといえばないですね。「今作ったら、こういう歌になりました」というか。

―― 「Tokyoholic」は東京へのストレートな想いがつづられていますが、歌詞にあるようなことを実際に感じたことがあったということですか?

1ミリもなかったらその言葉は選ばないでしょうね。東京で一人暮らしを始めたのが20歳のときだから16年目か。未だに東京に「行く」なのか「帰る」なのか。大阪に「行く」なのか「帰る」なのか。なんかふわふわしていて、僕の本当の拠点を決めるのは僕ではないし、決めたとしても住んでいるのは東京。なにをどこでするか。作った当時ほど思っているかはわかりませんが、根っこの部分にそういう気持ちはありますね。昔は“港区出身”とか言いたかったですけど(笑)。今は大阪出身でよかったなと思っています。

■アルバム制作では“弾き語り”を意識 曲の題材は会話もヒントに

――そのときに感じてることがそのまま曲になっている、と。曲の題材に困ることもない?

いや、めっちゃ困ってます(笑)。一人の人間の生活のなかで音楽を作って、それをアウトプットするのはすごく難しいなって。

――インプットも心がけてますか?

本を読んだり映画を観たりということもそうですけど、たとえばこういう会話でも何かを感じることもあると思っていて。何気ないところから何を拾えるか、というのが大事なのかなと。

――なるほど。アルバム『Note』はシンプルなバンドサウンドが中心ですが、アレンジはどうやって決めてるんですか?

曲の作り方としては、まずギターを弾きながら歌って、アレンジを考えてますね。たまにピアノ弾いたりもしますけど、ギターの方が多いかな。

――まずはギターと歌で成立させる。

武道館で弾き語りをやったとき、「全曲、弾き語りでやれるようにしたいな」と思ったんですよ。アルバムを作るときもそれは意識してたし、もしかしたら前作との違いはそこかもしれないですね。

――音楽的なスタイルも固まってきた?

どうなんでしょうね? いろんなジャンル、新しいものも聴きますし、でも、普段聴いてるのはいつもプレイリストだったりもして。流行りものを追いかけてもいいし、好きなことだけをやってもいいし…。ただ、自分の音楽性なんて、まだまだ恥ずかしくて言えないですけどね。まだ(アルバムは)2枚目だし、とりあえずいっぱい作っていこうという感じです。

――でも、アーティストとしての活動が軸になってるんですよね?

独立してからやってるのは、アーティスト活動だけですからね。あとは「箸休め的にやれたらいいね」というところで、赤西(仁)とYouTubeをはじめたり。タイミングをみてお芝居もやれればなと思っています。

――なるほど。『Note』というタイトルについては?

アコギを弾きながら、歌詞を書いてるノートがあるんですよ。その中で全部作ってるという感じもあるし、それ以外にも音程という意味だったり、香水の匂いの変化のことをノートって言ったり、便利な言葉だなと。1枚目が『NOMAD』で2枚目が『Note』なので、次はどの“N”にしようかなって考えてます(笑)。まあ、たまたまですけど。

――(笑)。アルバムのリリースに先がけて『Note』の全曲紹介ミュージックビデオが公開されましたが、SNSなどを通して反応をチェックしてますか?

あんまり見てないですね(笑)。

――以前から「あまりSNSは見ない」って言ってますよね。

そうですね。ほっとくと全然アップもしないんで……。スタッフと「週1回アップする」って約束してたんですけど、してなかったです(笑)。SNSは便利ですけど、扱い方を間違うと危ないところもありますからね。何を言われても耐えられる精神力があればいいですけど、そういう強さを持ち合わせている自覚もなくて。まあ、ビビりなだけです(笑)。ツールとして使いこなせるのであれば、やればいいと思いますけどね。

■作品や演技の評価で「『応援したい』と思ってもらえるのが大事」

――アルバム全体を通してヒットさせるために考えてマーケティングすることが多い中で、アルバムではまずなにがやりたいか、を確立されている印象を受けました。

そこまで僕に器用さはないんでしょうね。そういうのは独立したときにいいやって考えたんやと思います。

――アルバムリリース後にはファンクラブ限定のリリースイベントも予定されています。「ライブをやりたい」という気持ちもありますよね?

もちろん。アルバムを出したら、ツアーをやりたいと思うので。そういう当たり前のことが当たり前じゃないということにも気づきましたからね。

――『Note』の曲をライブでやるイメージも出来てる?

いや、全然(笑)。曲順を考えたりもしてないし。たぶん、実際にやることになって、締め切りが迫ってくれば考えると思うんだけど、どうなるかもわからないし、あまり考え込んでもしょうがないので。ある程度、流れに身を任せるところもあるだろうし、逆らったことがいいと思えばそうするだろうし。そういう感じですね、今は。

――次作の構想についてはどうですか?

いろいろやりたいことはあるし、「こういうの、楽しそうだよね」というアイデアは僕とスタッフで共有してますけど、結局、自分で動かないと。現実的には「出来ることをやりながら」という感じですけど、どう実らせるかについて、工程を練らないといけないと思ってます。やりたいことをだけをやるのは違うと思うけど、自分がおもしろいと思えるものをどんどんやっていきたいですね。それがみなさんに届いたときに「おもしろい」と感じてもらえたら、それ以上幸せなことはないので。見合うようにがんばるだけだし、誰かに喜んでもらえたら、それが支えることにもなると思うんですよ。僕もたくさんの人に支えられてるし。

――赤西さんもそうですが、一緒にやれる仲間がいらっしゃるのはいいですよね。

仲間ですかね。仕事するとなったらそれこそ、あんなふざけたYouTubeでもやっぱり仕事という意識があるし、2人でダラダラ飲んでたら仲間とも思いますけど、やっているときはそう思わないかもしれないです。

――活動の幅もさらに広がりそうですね。独立して1年半になろうとしていますが、やりたいことが実現できている手ごたえもありますか?

うーん……。ムズいな、それ。「ある」とも「ない」とも言いたくない(笑)。もちろんやりたいことは出来てますし、やれることをやっているという感じはあるんですけどね。ただ、やりたいことをやるために応援してもらうんじゃなくて、僕がやったことを見て「応援したい」と思ってもらえるのが大事なので。たとえば地上波のドラマに出たとして、そのことで観ている人が達成感を感じたとしたら、僕としてはめちゃくちゃ恥ずかしいんですよ。

――出演したことでは喜んでもらうのではなく、作品や演技で評価してほしい、と。音楽も同じですよね。楽曲やライブを観て、どう感じてもらえるかが大事というか。

そうですね。そうじゃないと恥ずかしいじゃないですか。……上手く言えないですけど、自分のなかにはそういう気持ちがありますね。

(文/森朋之)