女優の大竹しのぶが主演する舞台『フェードル』が10日、東京・Bunkamuraシアターコクーンで開幕した。

【写真】舞台で熱量を持って演技を披露する大竹しのぶと林遣都

 8日から開幕予定だった同作は、7日に東京都などに発令された緊急事態宣言を受け、主催者及び関係者で協議した結果、観客や出演者m関係者の安全を第一に考え、開催計画を見直し。2日遅れの、きょう10日に開幕となった。

 コメントを寄せた大竹は「初演の時に毎回感じた大きな濁流にのみこまれるような大胆で、スリリングな2時間。またあの体験ができると思う喜びでいっぱいです。この状況の中での幕開けは、正直に言って不安でもあります。それでも来てくださるお客様のために一回一回を、一生懸命演じるだけです」と心境を明かす。

 続けて「うねる様な、湧き上がるエネルギーを同じ空間で共有できたら、それが明日への活力になるのなら、劇場のあるべき意味が伝えられたという事になります。劇場は今、絶対に必要なのかと問われれば違うかもしれません。それでも私たちは幕を開ける事を選びました。万全の対策でお待ちしていますとしか言えませんが、あとは舞台の上で必死に生きるのみです。頑張ります」と決意を示した。

 林遣都は「無事に幕が上がるか分からない状況の中で、初日を迎えられたことを幸せに感じます。大竹さんが高めてくださった士気のもと、細心の注意を払いながらけいこを重ねてまいりました」と振り返ると「演劇の力を信じ、情熱に満ち溢れ、純粋にお芝居と向き合い続ける今回の座組の皆さんと過ごしたけいこ期間は、僕にとってかけがえのないものとなりました。観に来てくださる方一人ひとりに感謝し、大切に演じていきたいと思います」とコメント。

 演出の栗山民也氏は「とにかく、火傷しそうな芝居です。初日を終えての実感です」と舞台に込められた熱意を明かす。そして「コロナの荒涼とした時代の中で、この熱いという皮膚感覚は、とても貴重ですてきなものです。人間って、なんて乱暴で繊細で、でも最後まで強く愛してしまう生き物なのでしょう。その世界の、そこにいる人間たちの限りない不条理の美しさを見つめてください」と呼びかけた。

■『フェードル』ストーリー
 舞台は、ギリシャ・ペロポンネソス半島の町トレゼーヌ。行方不明となったアテネ王テゼ(谷田歩)を探すため息子イッポリット(林遣都)は国を出ようとしていた。

 一方、テゼの妻フェードル(大竹しのぶ)は病に陥っていた。心配した乳母のエノーヌ(キムラ緑子)が原因をききだすと、夫の面影を残しつつ、夫には失われた若さと高潔さに輝くイッポリットへの想いに身を焦がしていると白状する。

 苦しみの末、フェードルは義理の息子に自分の恋心を打ち明ける。しかし、イッポリットの心にあるのはテゼに反逆したアテネ王族の娘アリシー(瀬戸さおり)。イッポリットはフェードルの気持ちを拒絶する。そんな中、テゼが突然帰還して…。