人気グループ・NEWSの加藤シゲアキ(33)が、昨年11月19日に発売し、「第164回直木三十五賞」の候補作品にノミネートされた長編小説『オルタネート』(新潮社)が、5日までに10万部を突破したことがわかった。発売から2ヶ月弱、異例のスピードで達成となった。

【書影】加藤シゲアキの長編小説『オルタネート』

 加藤自身、文学賞にノミネートされることは初であり、アイドルが直木賞の候補作に選ばれるのも、もちろん今回が初めて。この快挙に対し、あらゆるメディアからの取材が殺到。即座に3万部の重版(4刷)を決定したが、その後も勢いはとどまることなく、2021年早々に1万部の追加重版となり、このたび累計10万部(5刷)を超えた。

 加藤は今作について「かつて『生徒』だった頃の光景が薄れないうちに書かなければと思っていました。創作なのに、これは間違いなく僕の物語です」と語っているが、事実、反響は若年層にとどまらず、作品を読み終えた書店員からも「夢を追う若者たちはもちろん、夢を持つ大人たちに紹介したい」「もう一度、若いことに戻ったような感覚」「自分だけのたいせつな物語になりました」など、世代・性別を問わず多くの共感を集めている。

 本作の舞台は、高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった現代。調理部部長で品行方正、しかし、あるトラウマから人付き合いにコンプレックスを抱える蓉(いるる)。母との軋轢(あつれき)を機に、絶対真実の愛を求め続けるオルタネート信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、かつてのバンド仲間の存在を求めて大阪から単身上京した尚志(なおし)。出会いと別れ、葛藤と挫折、そして苦悩の末、やがて訪れる「運命」の日。3人の未来が、人生が、加速する――。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描いている。