クオリティの高さと興行的な成功で、ピクサー・スタジオの名を世界に知らしめたピクサー初の長編アニメーション『トイ・ストーリー』(1995年)から25周年。ディズニー&ピクサー最新作『ソウルフル・ワールド』が、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」で独占配信中だ。

【動画『ソウルフル・ワールド』新予告編

 ピクサーは、『トイ・ストーリー』の“おもちゃの世界”、『モンスターズ・インク』の“モンスターの世界”、『ファインディング・ニモ』の“海の中の世界”、『インサイド・ヘッド』の“頭の中の世界”、『リメンバー・ミー』の“死者の世界”など、多くの魅力的なキャラクターを誕生させ、ユニークで面白くて感動的な物語に世界中の人々を誘ってきた。『ソウルフル・ワールド』で描くのは、誰も見たことのない“生まれる前の魂<ソウル>の世界”。

 「ピクサーで作る全ての作品は、僕たち作り手の人生が反映されたものになっています。たとえ、出てくるのがモンスターであっても、魚であったとしても、それは、僕たち自身のことなんです。自分たちが体験したことがもとになっていることが多いのです」

 と、語るのは、本作のピート・ドクター監督。前作『インサイド・ヘッド』(2015年)では、感情を擬人化し、彼らの視点からストーリーを語るという大胆な発想から、“頭の中の世界”を創造し、色鮮やかな心躍るような世界を生み出した。

 『インサイド・ヘッド』は、ドクター監督の娘エリーが11歳になった頃、急におとなしくなり、不機嫌になってしまい、親として感じた切実な思いや戸惑いが出発点になっていた。『ソウルフル・ワールド』は、ドクター監督自身の「自伝的な作品」だという。

【あらすじ】ニューヨークでジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師ジョーは、夢が叶う直前にマンホールに落下してしまう…。彼が迷い込んだのは、ソウル<魂>たちが地上に生まれる前に「どんな自分になるか」を決める世界だった! そこでジョーが出会ったのは、やりたいことを見つけられず、“人間に生まれたくない”と何百年もソウルの世界に留まっている《22番》と呼ばれるソウル。夢のために地上での人生を取り戻したいジョーは、《22番》に協力を求めるが…。

 ドクター監督は、「『インサイド・ヘッド』が終わった後、三十数年(ピクサー・アニメーション・スタジオにアニメーターとして入ったのは1990年)、アニメーションを作ってきたけど、なぜ自分はここにいるのか、残された時間で自分は何をするべきか、もしかしたら、ほかにやるべきこと、できることがあるのではないか、と悩んだ時期がありました」と、打ち明ける。

 つまり、日常の中で<人生のきらめき>を見失ってしまった、と。それは、そのまま『ソウルフル・ワールド』のテーマになっていく。プロデューサーのダナ・マレーが補足する。

 「私も、人生の中で何をしたらいいんだろう、これからどこへ行ったらいいんだろうと悩むことがありますが、そうした気持ちが《22番》に反映されていると思います。誰もが《22番》のように、自分は生きる価値があるのだろうか、と悩むことがありますし、素朴な疑問として、お子さんも感情移入できるキャラクターになっていると思います」(ダナ・マレー)

 ジョーのキャラクターにもドクター監督の私的な体験は入っているという。「何かにとても情熱を傾けている人に対して、たとえその全てに共感ができなくても、わくわくさせてくれることはあると思います。ジャズに思い入れがない観客にとってはジョーに感情移入ができなかったとしても、彼の情熱だけは感じられるようにしようと心がけていました」と、ドクター監督。

 劇中でジョーと《22番》は、それぞれ“人生で最も重要”なものに気づくが、ドクター監督の悩みは解決したのだろうか。

 「『ソウルフル・ワールド』を作ったということは、アニメーションを作るべきだ、ということかもしれないね。実は、僕の親やきょうだいは音楽に携わっていて、僕のアニメーションに対する愛はどこから生まれてきたのか、自分でもわからなかった。生まれる前のソウルの世界で、アニメーションを見つけていたんだね(笑)。そして、たとえ、情熱や興味を持てるものがなくても、普通の日々のちょっとした瞬間にも美しいものはたくさんあります。普段僕たちはそれを見過ごしていますが、その見過ごされた小さな美しいものたちこそが人生を作っている、そうしたことをこの映画を通して伝えたいと思いました」

 ドクター監督が小さい頃から音楽に親しむことのできる環境で育ってきたことも本作に生かされている。グラミー賞にもノミネートされたジョン・バティステ作曲と編曲のジャズ音楽、さらにトレント・レズナー&アッティカス・ロスによるテーマ曲など、音楽ファンにとっても見逃せない作品になっている。