『人気者で行こう!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)のコーナーとしてスタートし、2005年から特番として放送。いまや正月の風物詩として、高視聴率を記録している『芸能人格付けチェック!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が、今年も本日1月1日に放送される。同番組の一番の注目といえば、2009年の初登場以来、個人連勝記録を62まで伸ばし続けているGACKT。前人未到の連勝記録への重圧から、GACKTは、体重の減少や体調不良などの症状があらわれるとストレスを明かしているが、制作側はどのようなスタンスで“出題”に臨んでいるのか。知られざる“GACKT包囲網”について、同番組のチーフプロデューサー森和樹氏に聞いた。

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■一流芸能人であれば、さすがに違いがわかりますよね?というスタンス

 一流芸能人たちがチームを組み、味覚や音感など6つのジャンルの格付けチェックに挑戦、間違えるたびに一流→普通→二流→三流→そっくりさん、最後には“映す価値ナシ(画面から消滅)”とランクがダウンしていく『芸能人格付けチェック!』。高視聴率の秘密は、1本約100万円はくだらない高級ワインと1本5,000円前後のワイン、日本三大和牛のひとつ「神戸牛」の究極部位とスーパーで売られている牛肉など、一流芸能人ならわからないはずがないと思われる問題に苦戦するゲストの姿を見守るドキドキ、ハラハラ感だろう。

「元日という1年に一番、テレビの前に家族が集まる日の夜、食事をしながら、みんなが知っている一流芸能人がいろんなチェックに挑戦し、成功するのかしないのか。一流から二流に落ちて、最終的には消えてしまうのか。それを観る楽しみに加え、味覚以外の絵画、盆栽、四重奏(音楽)など、視聴者でも年齢問わずチェックに参加できるところが人気を得ている大きな要因かなと思います」(チーフプロデューサー 朝日放送テレビ 森和樹氏/以下同)

 その問題についてだが、森氏は「ゲストのみなさんや視聴者のみなさんを騙してやろうという思いで考えることは一切ない」とキッパリ。

「番組が始まったきっかけがそうだったように、『一流芸能人であれば、さすがに違いがわかりますよね』というスタンスで、毎回、放送作家やスタッフでアイデアを出しあっています。例えば、何億円もするバイオリンと100万円のバイオリンは、それだけ値段に差があれば、きっと音色にも違いがあるだろうから、『一流の人なら聞き分けられますよね』というスタンスです。ですから問題作りは、難しさより、楽しさがありますね」

■“番組 対 GACKT”の意識はまったくない

 問題作りの楽しさについては、森氏が話してくれたこんな話からもわかる。問題は、全員が明らかに正解するものだと番組としては盛り上がらない。そうではない絶妙なところをチョイスしているとのことなのだが、そのために、事前にスタッフが何回もリハーサルとチェックを実施。それが実に楽しそうなのだ。

「一流でもなんでもない僕ら一般人がやってみて、実際、どうなのかを必ず試しています。このリハーサル自体がもう『格付けチェック』そのものになっていて、例えば、僕は牛肉が大好きなので、絶対当ててやろうと思って、自信満々にうんちくまで語って答えたのに、間違えてしまって、大いにショックを受けるわ、悔しいわ、恥ずかしいわ(笑)。スタッフだけでやっても盛り上がるのだから、それを一流芸能人たちがやって面白くないわけがないだろうと。問題に関しては1年中、『何かないかな』とアンテナを立てて探しています」

 本番となる収録現場では、スタッフは「ライブショーを見ているみたいに、ドキドキ、ハラハラしながら、出演者と同じように喜んだり、悔しがったりしている」そう。

 現在、個人連勝記録を62まで伸ばしているGACKTに対して、正解発表を待つ部屋を他の出演者と分け、金色の〈GACKT部屋〉を設けているのも、そういう番組のライブ感を大切にするための策。GACKTが部屋に入った時点で他の出演者も視聴者も正解・不正解を確信してしまい、緊迫感が薄くなってしまうことを防ぐためだという。

 そんなGACKTが今後の連勝記録をどこまで伸ばすのかが、今、番組の大きな見どころになっている。いまや「絶対に間違えない男」と称され、「1カ月前から胃が痛くなるほどのプレッシャーを感じている」と明かしているが、一方の制作者サイドはというと、「(出題に対しての)プレッシャーはまったくない」とこちらもキッパリ。

「GACKTさんの連勝を止めてやろうとか、逆に伸ばしてあげようという気持ちは全然なく、先ほども申し上げた通り、スタンスは番組スタート当初とまったく変わらず一緒です。GACKTさんに合わせてチェックを考えていることは一切ありませんし、他の出演者同様、フラットに見ています」

 それだけに、純粋にGACKTの博識ぶりに驚かされているという。

「初出演当初はここまで連続で正解を出される方だとは思っていませんでした。番組では、事前にチェック項目について出演者に一切お知らせしていないんですが、なぜあらゆるジャンルの知識を持っていらっしゃるのか。ただ、非常にストイックで、何事も極めようという思いを持たれている方らしく、本当に毎回、勉強されて番組に挑まれているんです。GACKTさんは番組と戦っているというより、自分と戦っているのではないかと思っていますし、僕ら制作サイドも“番組 対 GACKT”という意識は全く持っていません」

■『恥をかく』という出演者側の意識もこの15年で変化

 GACKTの他、毎回、さまざまな芸能人が出演するところも見どころだが、キャスティングに関しては、「視聴者の方と同じ、この人がどうなのか見てみたいというミーハー心」で選んでいるそう。

「僕が番組に参加する前、つまり番組が始まった当初は、『なぜ、わざわざ恥をかくために出演しなければいけないのか』と断られることが非常に多かったそうです。今もキャスティングには苦労していますが、以前に比べるとハードルは低くなっている気がします。番組としては、視聴者のみなさんに楽しんでいただけるよう、ふだんバラエティに出られない方にもお声がけして、マンネリにならないよう努力したいと思っています」

 ゲストにとって出演のハードルが下がっているのは、“格付けマスター”として司会を務める浜田雅功の力も大きい。芸能人の普段は見られない意外な表情や性格が露呈するのも番組の魅力だが、それもまた浜田の手腕といえるだろう。

「厳しい言葉で突っ込んだり、時には頭を叩いたり、本来なら絶対したらいけない人にそれができるのが浜田さんなんですが、実は、それぞれのゲストに本当に気を遣ってくださっています。本番前や休憩中に、気さくにみなさんに話しかけ、いい空気を作ってくれているんです。僕らスタッフが『こんな失礼なことをしてもいいですか?』って聞いたとしたら、絶対ダメって言われちゃうことも浜田さんだったら許される。浜田さんあっての『格付けチェック』だと思っています」

 本日放送される『格付けチェック』の見どころはというと、今回も浜田が大喜びする大波乱、衝撃のラストが待ち受けているとか。

「実は私が収録の前夜、途中まで全員が正解するという夢を見たんです。番組的に盛り上がっていない空気を感じて、怖くなって…というとこで目が覚めて。筋書きがないので、そうなる可能性もなくはないからすごく不安で、『正夢だったらどうしよう』と思って撮影に臨んだのですが、一瞬、『ちょっと、え? まさか? 正夢?』って思った瞬間がありまして(笑)。結果的には、毎年言えることなんですが、今回も、予想できない展開、いろいろなドラマが起きています。普段あんなにおとなしい人がこんなに喜ぶんだみたいな、ゲストのみなさんの意外な一面が見られますので、楽しんでいただけるのではないかと思います」

 過去最高の視聴率を記録した前回2020年版では、視聴者もスマホから参加できるという企画をお正月の放送では初めて実施し、好評を得て、今年もその企画は継続。“withコロナ”でむかえる初めてのお正月…明るい気持ちで新年を迎えたいという誰もが望む願望を叶えてくれるのは、やはり“テレビ”だ。

取材・文/河上いつ子