女優・新垣結衣と俳優・星野源が出演する、TBS系新春スペシャルドラマ『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』が、来年1月2日に放送される。脚本を担当するのは前作から引き続き、野木亜紀子氏。連ドラ放送時には、回を重ねるごとに右肩上がりの視聴率を記録し、最終回では平均視聴率20.8%を記録(※ビデオリサーチ調べ・関東地区)の大ヒット。『ムズキュン』や、『恋ダンス』など数々の関連ワードも話題となっただけに、野木氏は「『逃げ恥』は多くのファンの方にとても愛された作品。ファンを裏切るものにはできない」と大きなプレッシャーを振り返った。

【写真】みくり&平匡の久々2ショット

 2016年10月期放送の連ドラは社会のなかで居場所を失った主人公・森山みくり(新垣)と恋愛慣れしていない津崎平匡(星野)による“契約結婚”から生まれるラブコメディ。そして4年ぶりの新作では、結婚したみくりと平匡が2019年の冬から2020年春までを舞台に妊娠・出産に奮闘するさまを描いている。

 「だいぶ前から、那須田(淳)プロデューサーは続編をやりたくて仕方がなかった。でも原作も終わったし無理だろうと言っていたのですが、海野先生の連載が再開され、その時点で『逃げ恥』のドラマの続編という困難なことをこれからやらなければいけないんだなと思いました」。

 「原作を読み、なるほど、こうきたかというのも含めて、海野先生は今このときに必要なものを書かれる方だなと思いました。『逃げ恥』は多くのファンの方にとても愛された作品。その分、期待も大きいし、ファンを裏切るものにはできない。海野先生が続編を書いてくれたことも含め荷が重いなと…(笑)。みんなの夢を壊さないなかで楽しく見ていただけるものが作れたら」と執筆にかかった。

 そんななか新型コロナウイルスの影響で放送延期された連ドラの代わりに『逃げ恥』が再び火曜10時枠で再放送された。そこで新垣や星野らキャストがリモートで新たに撮影した“恋ダンス”が流れたことで「コロナ禍での不幸中の幸い。あれで結構盛り上がったというか、エンディングで現在の新垣さんや源さんが恋ダンスをしたことがシームレスに受け取られたような気がして。『これは大丈夫かな』と書く気持ちのハードルは下がりました」。そんなきっかけから、今のみくりと平匡を描くことを後押しされたという。

 今作では海野氏による原作コミック10巻と11巻をもとに、現在の時勢をリアルに反映させた。みくりと平匡が“家族”になる過程で起こる試練は時にシビアだけれど、登場人物たちは変わらず実にチャーミング。一緒に暮らしていても、苗字は同じになっても、違う人間同士。みくりは平匡の考えていることがわからず悶々としているし、平匡はすぐ一人で抱え込んでしまうところは、やっぱり連ドラから変わっていないように思える。だけど二人はコミュニケーションを重ねて家族として共闘していく。野木氏が目指したのは「ラブコメより先の話」だったという。

 “ムズキュン”が話題となった作品ではあるものの、今作で金子監督は「キュンを売りにしてはいけない」と自戒していたが…。野木氏は「元々“キュン”って『なんやねん』っていう(笑)。原作に“ムズキュン”という言葉は一回もでてこないんですよ」と笑う。

 「私は『逃げ恥』を、人間と人間のディスコミュニケーションの話だと思ってます。隣りにいても理解し合えない、別々の人間だから違うことを考えていて近づこうとしてもうまく行かない。その距離感が結果的にキュンとするとか、切なくなるんじゃないですか。それが結果的に『キュンキュンする』と言われることは構わない。ですが、連ドラの『逃げ恥』は“ラブコメ”ではあったけど、今度は妊娠・出産の話。だから“ラブコメ”ではなくなってくる。家族の話になってきます」。「キュン」の先にあるもの、「恋」の先にあるもの。少しだけ大人になったみくりと平匡の歩む“今”が描かれている。

■真面目な役柄を真面目に演じる役者のすごさ「“普通”が実はうまい」

 年齢を重ね、4年の月日を経たみくりと平匡を演じる新垣と星野。スタッフたちはみなクランクインの日にもう二人は“みくり”と“平匡”だったと声をそろえている。野木氏も「新垣さんも『私、みくりになれるかしら』と言ってましたけど、まぁ、みくりでした。変わらない二人はすごい。(『MIU404』で星野が演じた)志摩の後に平匡さんに会ったので、『志摩どこいったの!?』という衝撃で爆笑してしまいました。別人のようでしたね」とすっかりみくりと平匡となった二人との対面の様子を振り返った。

 野木氏は、新垣とは直近で2018年に連ドラ『獣になれない私たち』(日本テレビ)で、星野とは今年6月から9月まで放送された『MIU404』(TBS)や映画『罪の声』でタッグを組んでいる。2人とは多数の作品をともにしており、「それぞれ魅力は違いますが、2人共“普通”がうまい。それって実は難しいことだと思うんです」と力説する。

 「新垣さんは、あんなにかわいくてキラキラしようとすればできるのに、すごく“普通”の演技ができる。目線ひとつひとつだったり、細かいお芝居が本当にうまい方です。星野さんも以前は平匡だけ観てたから『平匡だよね』と思っていたけど、その後いろんなところで、仕事したり、『星野源です!』と歌っているのをみると、ポップスターがよく普通で素朴な役柄をを演じるなと(笑)。二人の持つ“普通力”は意外と、見過ごされがちだけど当時の『逃げ恥』にもかなり生かされていた、と思います」。

 以前、演出を担当する金子文紀氏もインタビューにて「本人は見た目がイケてて人気ある人だけど、(劇中で)やっていることはすごく地味」と話していた。みくりと平匡という“ごく普通の人”を演じることのできる新垣結衣、星野源という役者のもつ絶妙さが、そのキャラクターが愛され、続編が待ち望まれた理由なのかもしれない。