1月に放送されるスペシャルドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で約2年半ぶりにドラマに出演する真野恵里菜。06年にハロー!プロジェクトに所属し、12年までアイドルとして活動。『SPEC』シリーズ(TBS系)などに出演し、女優としても注目を浴びた。18年にプロサッカー選手の柴崎岳と結婚を機にスペインへ移住したが、同年主演映画も公開になるなど、女優として活躍の場を広げている。拠点をスペインに移した真野に、今後の芸能界への思いを聞いた。

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■「主婦に向いていない」移住決断に迷いも… 異文化生活で“他人を許せる”ように

━━結婚がきっかけとはいえ、女優として仕事が増える中でスペインへの移住を決断するのは勇気が必要だったのではないですか?

【真野】そうですね。ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)を卒業してから、思い描いていた以上に女優として多くの作品に出演させていただけていたので、このまま突き進みたいなという思いは確かにありました。

━━どのようにしてその思いに折り合いをつけられたのでしょうか?

【真野】15歳からハロプロの研修生として活動してきて、ずっとマネージャーさんが一緒にいて身の回りのことをしてくれていたので、世間のことをあまり知らないし、人として足りない部分もたくさんあるなって感じていて。当時27歳だったのですが、お芝居を続けるんだったら、もっと人生経験を積んで、自分の世界観を持てるようになりたいって思ったし、アイドル出身というと軽く見られがちなので、経験を積むことで説得力のある人間になりたいって思ったんです。事務所の社長にも「自分の人生だから自分で決めていいよ」って言っていただけたので、とにかく新しい環境でいろいろ経験して成長して、その先、私を使ってくださる方がいてくれて、戻れる場所があったら、お応えしたいと思って決断しました。

━━スペインで暮らし始めて2年が経ちますが、変化はありましたか?

【真野】元々けっこう強がりで、何事に対してもすぐに「大丈夫です」って言っちゃうタイプだったんです。でも、言葉も文化も違うスペインで暮らすようになって、夫と、わからないことはわからない、大変なことは大変、としっかり言葉にすることで家族としてコミュニケーションをとっていこうって決めたんですね。そうしたら、次第にわからないことがいっぱいあったって恥ずかしくないんだって思えるようになって、誰に対しても、強がることなく自分をさらけ出せるようになって、自分の中で1つ心が解き放てたような気がします。

━━広い世界に出て、心も広くなったんですね。

【真野】許容範囲が広がったと思いますね。自分の中でこだわりが強いと、他人に対してイライラしたりしちゃうじゃないですか。でも、まったく違う文化風習の中で生活していて、人それぞれなんだなって実感したことで、いろいろ許せたり、受け入れられたり、認められたり、肩の力を抜いてラクに生きられるようになった気がします。

━━スペインでは基本、主婦業を?

【真野】はい。結婚する前は、自分は主婦に向いていないと思っていたんですけど、やらなければならない環境になると、人間って意外とできるものですね(笑)。やってみなければわからないことってたくさんあるなって思いました。

■結婚したことでみくりの言葉を実感「こんなに頑張って家事をしても誰も褒めてくれない(笑)」

━━1月には『逃げるは恥だが役に立つ』(以下、逃げ恥)のスペシャルドラマが放送されますが、主婦業を経験したことで演技に役立ったと感じている部分はありますか?

【真野】前回の撮影の時は、結婚願望すらなかったですから、バツイチで、子どもがいて、元ヤンキーというやっさんの人生がまったくわからなくて。演じながら、自分は実生活ではお母さんは無理だな~って思っていたんです。でも今回、私はまだ子どもはいないですけど、結婚生活を経験したことで、シングルマザーのやっさんがどれだけ大変か、どれだけ頑張っているかが以前よりわかるようになったし、やっさんってしっかりしていたんだということを一層強く感じました。あと、妻という立場になってから台本を読んで、みくりが言っていることがすっごく実感できています。私もそれまで自分が仕事をして、お金をいただいて生活していたので、今、こんなに頑張って家事をしても誰も褒めてくれないとか、家事労働はお金が発生しないとか、感じていますから(笑)。

━━収録はコロナ禍だったと思うのですが、大変ではなかったですか?

【真野】スペインは4月くらいに感染者が1日1万人超えになって、2カ月半ロックダウンになったんです。夫は練習もできないし、2人で家に籠って、先が何も見えない中で、私にとって唯一の希望が、夏か秋に予定されていた『逃げ恥』の撮影でした。でも日本も感染が拡大し、撮影が本当に行われるのかどうか。行われたとしても、スペインから私が参加できるのかどうか。私が帰国することで何か影響が出てしまったら…という心配もありました。幸い、空港でPCR検査を受けて、陰性が確認されてから2週間自主隔離をして、撮影に参加することができました。

━━柴崎選手は出演に賛成してくれましたか?

【真野】『逃げ恥』が好きだったらしくて、スペシャルドラマの出演依頼を受けているって話をしたら、ビックリして、「それは帰ろう!」って言ってくれてくれました(笑)。

━━久しぶりの撮影現場はいかがでしたか?

【真野】お芝居の現場は2年半ぶりだったので、まず、「台本ってこんな感じだったっけ?」とか、「セリフってどうやって覚えていたんだっけ?」から始まって(笑)、現場に入るときもめちゃくちゃ緊張しました。でも、続編ということで、スタッフは知っている仲間たちだったし、新垣さんはじめ、みなさんが「おかえり~」って温かく迎えてくださって、それでス~ッと仕事モードになれました。

■今後も日本と行き来、負の感情が渦巻く作品に挑戦したい「嫌なおばさんの役とか(笑)」

━━今後はどんなふうに芸能活動をしていきたいですか?

【真野】やはり一番はお芝居がしたいです。自分と違う誰かを演じることで自分の中に気づかなかった面を発見したり、気持ちがパッと入れ替わったりするのがすごく楽しくて。何より、大勢のスタッフや役者さんたちと1つの作品を作ることは楽しいし、一番好きなことなので。今はコロナ禍で大変な状況が続いていますが、呼んでいただけるのであれば、可能な限り日本と行き来して、お仕事をしていきたいですね。いつそういう日がきても大丈夫なように、私自身は見た目に気を遣って、磨き上げておかなきゃなって思っています(笑)。

━━では、最後に、今後、女優としてやってみたい役は?

【真野】10代20代前半は、非現実的な世界の作品が多くて、それはそれですごく楽しかったんですけど、これからはリアルな世界を描いた作品に携われたらいいですね。私は明るい話も好きですけど、嫉妬だったり、負の感情が渦巻くような、人間の芯の部分や本物の感情が描写されたドラマも好きなんです。例えば、ママさん世代のご近所さんとのやりとりをシビアに描いているような作品とか、見ている人の感情をイラつかせて、揺さぶるような、嫌なおばさんの役とかものすごくやりたいです(笑)。

(取材・文/河上いつ子)