NHKで放送中の連続テレビ小説『おちょやん』(月~土 前8:00 総合/前 7:30 BS4K・BSプレミアム※土曜日は1週間の振り返り)。第9週で、4年ぶりに道頓堀に帰ってきた千代が、まず驚いたのは、芝居茶屋「福富」が、喫茶店を併設した福富楽器店に商売替えしていたこと。舶来の楽器だけでなく、楽譜やレコードも取り扱い、ショーケースには連続テレビ小説『エール』に登場した「コロンブスレコード」のレコードも。そんな「福富」の一人息子・富川福助役の井上拓哉にインタビューした。

【写真】福富楽器店でミルクセーキを飲む千代

――今回『おちょやん』に出演することが決まったときのお気持ちは?

【井上】今回で5回目の“朝ドラ”の出演になりますが、福助は僕にとって今までで一番大きな役。これまでの4回は短い期間での出演だったので、今回の話を聞いて驚きましたね。まずトランペットを演奏することに驚き、そして長く出演させていただけることになりそうだというのにまた驚きました。10代から大人になり年を重ねていくのを演じることができるのは、うれしいことだし大きなチャンスだと思っています。最初は全く実感がありませんでした。ほんまに自分が福助を演じるんだとようやく実感したのは、撮影が始まってからなんです(笑)。

――福助の印象、自身との共通点・異なる点などは?

【井上】僕の演じる福助は千代のライバル芝居茶屋の跡取りなのですが、トランペットに夢中で、口だけで行動に移さない男。第一印象は、ダメな男だなと(笑)。ただなんとなく憎めないというかほっとけないキャラクターで、ダメっぷりは自分にも似ているところがあると思います(笑)。自分で自分の悪口を言いたくないですが、僕にも適当なところがあって。友人には適当な部分があるけどなんか憎めないよなと言われることもあります。そういった人間性は意外にも福助と似ている共通点なのかなと台本を読んで感じました(笑)。

 それよりも大変なのがトランペット。これまで楽器はやったことがなかったので、ある意味、役作りよりも大変です。5ヶ月間、毎日練習していますが、最初は音すら鳴らなくて。音が出るようになったら、また次の壁が立ちはだかって…。何度も投げ出したいと思ったのですが、次第にもっと上手になりたいという欲が出てきて、楽しさに変わってきました。今回初めて共演させていただく千代役の杉咲さんが「トランペットはどうですか?」と聞いてくださって、「かなり難しいです」と答えたら、ご本人もやってらっしゃったみたいで。「すごく分かります」と言ってくださったんです。もう共感してくださっただけで報われるというか、とてもうれしかったですね。

――ここに注目してほしいという点は?

【井上】やはりトランペットの演奏でしょうか(笑)。自分で自分のハードルを上げていますね(笑)。でも毎日、トランペットには触っています。やはり慣れるのが大事なので。自宅で吹くときは、音が大きいのでミュートにしていますが、ミュート外したほうが感覚的にもなじむと思うので、近所の高速道路脇の森みたいな人気のない場所で吹いているんです。そこだと大きい音を出しても気兼ねしないので、のびのびと吹けています。でも、たまに自転車が通ったりするので、そのときは演奏を止めて携帯触るふりをしたりしています。小心者ですよね(笑)。音に色気を出すようにと言われていますが、これがなかなか難しくて。色気というのは出そうといって出せるものではないですから。色気を出そうという意識はしないでおこうかなと思います。台本と真摯(しんし)に向き合い、役に真摯に向き合っていくことで、年を重ねた福助にも音にも色気を出せるようになれたらいいなと願って
います。

――視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

【井上】『おちょやん』の台本を最初に読んだときに、ほんまにおもろいなと思ったんです。大阪らしい人情も出ているし、切ない場面でも面白くて、すばらしい作品になると思います。僕自身もこれまで“朝ドラ”に4回出演させていただいていますが、今回の福助役でようやく視聴者の皆さんに長い期間見ていただける最高のチャンスだと思っています。福助の今後の成長ぶりをぜひ見届けていただけたらと思っています!