現在放送中のドラマ『ルパンの娘』(フジテレビ系)で、深田恭子演じる主人公・華の母親役・悦子で強烈キャラを発揮している小沢真珠。劇中には「役立たずのブタ!」と叫ぶなど、昼ドラ『牡丹と薔薇』(2004年・フジテレビ系)を彷彿とさせるシーンも。『牡丹と薔薇』以降は“悪女”を演じていないにもかかわらず、去年の『悪女が似合う女優ランキング』(オリコン調べ)でトップ3にランクインするなど、15年経ってもそのイメージは健在。その後も色々な役柄に挑戦していながら、“悪女”レッテルに張られる苦悩はなかったのだろうか。小沢に聞いた。

【ランキング表】小沢真珠抑えた、「悪女が似合う女優」1位は?

■「君しかいない!」渡部篤郎による熱い演技指導、深田恭子は「強さと癒しを兼ね備えている」

――『ルパンの娘』ではコミカルでヒステリックな悦子役を演じていますが、撮影はいかがですか?

【小沢真珠】悦子のシーンに関しては、渡部さんにアドバイスをいただくこともかなり多いです。もっとテンションを上げたほうがいいというアドバイスや、お母さん(悦子)しかシーンの中で弾けられる人がいないから「任せたよ!君しかいないんだ!」って(笑)。

――作品を通して、チームワークの良さも伝わってきます。先日、深田恭子さんのお誕生日にインスタグラムにアップされていた“美人親子ショット”も印象的でした。

【小沢真珠】恭子ちゃんとは、前作よりも合間に会話をすることが増えて、より家族みたいな雰囲気の現場になっています。恭子ちゃんは本当にやさしいのに芯は強くて、みんながお芝居しやすい環境を作ってくれているんですよね。強さと人を癒す力を両方持っていて、すごいなと思います。

――今回のドラマでもパロディシーンが登場しますが、小沢さんと言えばやはり『牡丹と薔薇』のイメージが強烈でした。去年の『悪女が似合うランキング』でも、3位にランクインされていました。

【小沢真珠】バラエティ番組でも求められることが多いので、10年以上やり続けていますからね(笑)。途中、やらないほうがいいのかなと悩んだ時期もあったのですが、結局やったほうが盛り上がるので、最近は求められたらお応えするようにしています。

――やらないほうがいいと迷われたのは、どういった理由だったのでしょうか?

【小沢真珠】あまりやりすぎると、本当にそういう人だと思われてしまうかなと。でも、やり方によっては全然大丈夫なことが分かったので、そんなに気にしなくなりました。

――吹っ切れたきっかけのようなものはありましたか?

【小沢真珠】結果、作品になった時におもしろくなっているのを見ると、それが答えなのかなと。イメージがどうとかを飛び越えて、楽しいことだと思えるようになりました。なんか、“やりますよ宣言”をしているみたいに聞こえるかもしれませんが、そういうわけではないです!(笑)

■『牡丹と薔薇』は思いっきり楽しんでアドリブも「悪女役はかなり得」

――放送当時、悪女のイメージを持たれて困ったことはありましたか?

【小沢真珠】最初は一瞬怖がられたんですけど、その後どんどんコメディのようになっていったんですよね。だから、周りから引かれるというよりはツッコんでもらえるキャラクターになっていて。私自身も楽しんで演じていましたし、大阪でロケをした時もみなさんが「おもしろかったよ」と声をかけてくださいました。だから逆に、話しかけてもらいやすくなった感じです。

――香世のお芝居は、どのように作り上げていったのでしょうか?

【小沢真珠】オンエアと脚本が同時進行だったので、脚本家の中島丈博さんがどんどんおもしろいことを思いついて書かれるんです。基本一語一句間違えてはいけない世界で、セリフに忠実じゃなきゃいけないのですが、途中から楽しくなって脚本以外のこともやったりしていました(笑)。

――役と自分のイメージのギャップに苦しむことはなかったですか?

【小沢真珠】なかったですね。逆に「全然違うんだね」と言われることが、おもしろかったです。そこまでやさしくしていないのに、「意外とやさしいね」とか言われたり、かなり得していると思います(笑)。

――1993年のデビュー以来、もちろん悪女だけではなくあらゆる役柄を演じられてますが、ターニングポイントとなったのはやはり『牡丹と薔薇』でしょうか?

【小沢真珠】そうですね。それまでクセのない役が多かったので、ずっと悪女を演じたい願望はあったんです。でもなかなかそういった役がこなくて。『牡丹と薔薇』は想像を超える悪女だったので、事務所の方や周りの方も「大丈夫?」って気を遣ってくれたんです。でも、自分としてはぜひやりたかったし、お芝居の違う引き出しを開けたかったんですよね。

――悪女を演じたい願望があったんですか?

【小沢真珠】それ以前は、自分の殻を破れる役がなくて一番モヤモヤしていた気がします。まだ若かったので、プライベートで習い事をしたり、小劇場の舞台を観に行ったり、正解を見つけたくていろいろ迷走していました。だから、私は香世に救われたんです。

■褒め言葉? “悪女”の世間イメージの変化を実感も「また悪女オファーきたらかなり悩む」

――昔に比べると、“悪女”を演じることや“怪演”という言葉が、素敵な女優さんを表現するポジティブなイメージに変わってきた気がします。

【小沢真珠】確かに、私もそれは感じます。昔は悪女を演じる方が決まっていたような気がしますが、最近は昔だったら絶対にやらないような方が演じたり。悪女をやることに対しての抵抗がなくなってきてるのかなと思う時がありますね。

――今回の渡部さんのセリフに「世の中に素晴らしいダークヒーローはいっぱいいる」という言葉もありましたが、ダークヒーローゆえに愛される部分もありますよね。

【小沢真珠】ダークヒーローや悪者にも人間味があることで、その部分がおもしろかったりかわいかったりするのかなと思います。『アンパンマン』でも、うちの子どもたちの周りではバイキンマンが一番人気で(笑)。確かに一緒に観ていると、悪いことをしているんだけど失敗したり、人間味があったりしておもしろいんですよね。ダークヒーローにもいろいろな思いや背景があるのが分かると、共感されやすいのかもしれないです。

――悦子は悪女ではないですが、お子さんたちからの反響はいかがですか?

【小沢真珠】そもそもルパン一族が泥棒ですし、これは教育上どうかな?と思う場面も要所要所あるんですけど(笑)、それを飛び越えておもしろがってくれています。子どもも、現実とは別の世界だってことが分かっているんですよね。現実ではいけないことでも、物語の中ではアリなんだっていうのを理解しているんだと思います。

――悦子を演じて新たな発見はありましたか?

【小沢真珠】それはたくさんありますね。悦子はエレガントでありながら常にテンションが高くて。今までにないニュアンスもあったので、演じるのは難しくもあり楽しくもありました。そういう意味では、悦子もまた、大きなターニングポイントになったと思います。

――今後、また悪女役のオファーがきたらやりたいと思われますか?

【小沢真珠】1度やってしまっているので、手放しに喜ぶというよりは、いろいろ考えてしまいそうです(笑)。今回のドラマも、パート2ということで、前作を背負う緊張感がありましたし。毎回終わった後に「こういうやり方もあったかな」と悩むので、次にまた悪女を演じる時は、さらにいろいろなことを考えてお芝居をしないとと思います。今回の悦子役もそうでしたが、これからも新たな役に挑戦し続けていきたいですね。


(文=辻内史佳)