メイクアップブランド『KATE』とアニメ『エヴァンゲリオン』がコラボレーションした限定商品「KATE レッドヌードルージュ(EV)」が話題を呼んでいる。メインビジュアルに使用されているのは、「初めての口紅」をつけた綾波レイ。若年層向けコスメにもかかわらず、なぜタッグを組んだのだろうか。アニメキャラクターであり、登場人物のなかでもあえて綾波レイに口紅を施した意図とは? コラボの背景をカネボウ化粧品の担当者に聞いた。

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◆『エヴァ』が意外にも若年層向けコスメとイメージが合致

 カネボウ化粧品『KATE』といえば「NO MORE RULES.」のブランドスローガンと、漆黒を基調としたシャープなデザインで知られるメイクアップブランド。豊富なラインナップと使い心地、コストパフォーマンスの良さが特徴で、コアなターゲットを「10代後半~20代のルールに縛られずにメイクを楽しみたい女性」(PR担当の若井麻衣氏)としている。

 その『KATE』と人気アニメ『エヴァンゲリオン』がコラボレーションした商品「KATE レッドヌードルージュ(EV)」のビジュアルが公開され、話題を呼んでいる。このコラボレーションが実現した背景を、カネボウ化粧品KATEマーケティング担当の岩田有弘さんは次のように語る。

「赤にベージュを重ねることで自在に色を作ることができる同商品は、KATEの『NO MORE RULES.』の思想を象徴する口紅としてグローバルでの育成を目指しています。そこで日本を代表するIPを100点ほどリストアップして精査していたなかで、『自分の色は、自分で決める』という同商品のメッセージと、物語が進むにつれて『自分の人生は、自分で決める』という自我が芽生えていくかのような綾波レイの姿がシンクロしたことから、コラボレーションのお声がけをさせていただきました」

 一方で『エヴァンゲリオン』といえば、1995年にテレビシリーズが放送されて以来、数々の劇場版を経て、今なお根強いファンを多く抱えるアニメ作品。KATEのユーザー層とのギャップはなかったのだろうか。

「たしかに当初、KATEから声がかかったことに対して驚かれていました。さまざまなコラボレートをしている作品ですが、コスメとのコラボは版元としても両社にメリットのある良い活動になると確信はあったようです。ただ、私たちも事前に『KATE』の国内および上海のコアユーザー層(10代後半~20代女性)を調査したところ、6割が作品を認知。また2割はファンであることが確認できていました」(岩田氏)

◆“令和の時代”の綾波レイを表現…話題性ではなくストーリーのあるコラボを重視

 さらに調査では『エヴァンゲリオン』に抱くイメージとして、「カッコいい」「シャープ」「国際的」など、他のアニメ作品からは群を抜いたポジティブなキーワードが多く上がったと言う。

「それらのキーワードはまさにKATEが訴求したいものと重なっていました。ちなみにアニメ作品とコラボレーションするのは、『KATE』としても初めての試みです。『KATE』のブランドをより先鋭的に強化する意味合いでも、同商品はマスに届けるのではなく、数量限定発売としています。海外でも認知度の高い作品とコラボレートすることでブランドイメージの向上と訴求につながると考えています」(岩田氏)

 何より話題を呼んでいるのが、「綾波レイ、はじめての口紅」というコピーとともに公開されたビジュアルだ。色白の肌に赤い口紅が印象的ではあるが、劇中で14歳とされる彼女よりはやや大人っぽくも見える

「私たちとしては、14歳時点の彼女に口紅をつけるというよりは『令和の時代、もしも彼女が人間らしく生きたいように生きていたら…』ということをイメージし、あえて綾波レイをメインとしたデザインを提案させていただきました。版元とは『単に話題性を喚起するのではなく、互いに高め合えるストーリーのあるコラボレーションをしましょう』という共通認識のもとで話し合いができています。プロモーション展開のたびに議論も活発に行いました」(岩田氏)

 そのパッケージに描かれたまっすぐ前を見つめる意思の強い表情は、「私はあなたの人形じゃない」という綾波レイのセリフを象徴しているかのようだ。

「メイクとは『誰かのためではなく、好きな自分になるためにするもの』と『KATE』では考えています。劇中で(大人の女性である)葛城ミサトが『誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために』と言うシーンがありますが、この言葉を綾波レイが体現することで『メイクをすることで意思を持った大人の女性になっていく姿』を表現することを意図としました」(岩田氏)

 綾波レイの塗っている口紅の色は4種の商品パッケージごとに異なる。またそれぞれの色は、綾波レイの肌の色に合わせて赤に重ねるベージュの量を調整したという。実在のモデルが商品の使い方を提案するかのように綾波レイを扱っている点でも、通常のコスメとアニメのコラボレーションとは一線を画すると言えるだろう。

(文/児玉澄子)