顔に両手を当てる仕草や野生では見られない、立って歩く姿が「可愛すぎる」と話題のラッコのメイちゃん(16)。鳥羽水族館きっての人気者だが、メイちゃんを凌ぐ勢いで人気を博しているのが、飼育歴40年の石原良浩さん(59)だ。娘のように愛でる姿や仲睦まじくじゃれ合う様子に、「ラッコも可愛いが、おじさんも可愛い!」「何この通じあってます感…」「相棒感がたまんない」などのコメントが寄せられ、カメラロールがラッコよりもおじさんの写真で埋まってしまったという人も続出。そんな石原さんに、『ラッコは手をつないで眠る』『昆布を巻いて眠る』『目の上で手を温める』など、巷で噂の“ラッコの可愛いところ伝説”の真偽を聞いた。

【画像】メイちゃんへの慈愛に満ちたおじさんの眼差しに「どっちもかわいい」

■芸達者に育てた理由はパフォーマンスだけでない、生まれた時から成長見守る飼育員の愛

 絶滅危惧種に指定されているラッコ。日本では、かつて120頭を超えるラッコを全国の水族館で飼育していたが、いまや、わずか4施設で6頭しか見ることができない。1984年に国内で初めて出産に成功した鳥羽水族館で現在飼育しているのは、同館で生まれ育ったメスのメイちゃん。両手を胸の前で合わせる“いただきます”やえさのイカをジャンプして取る大技“イカミミジャンプ”など、芸達者で人気を博している。

 2004年に鳥羽水族館で誕生した時からずっと成長を見守ってきた石原さんによると、メイちゃんは「少しビビリではあるが活発で元気な女の子」だという。また非常に頭が良く、二足歩行や首を振り回す仕草、顔に両手を当てる動作など、10種類にも及ぶ芸をすぐに取得してしまったそうだ。

「顔に両手を当てる可愛らしい動作は、もともとは頭の上あたりに両手を当てるだけのポーズだったのですが、段々その手が下がってきて、メイ自身がアレンジするようになったんです。飼育員が頭の後ろをチョンと触るとあの仕草をします」(石原さん/以下同)

 実はこのキュートな動きは顔の毛づくろいをしているんだそうで、この動作をするとプールで濡れた毛もふわふわ、もこもこに復活するとのこと。

 野生では見ることのできないラッコのウォーキング姿が見られることは大きな話題になったが、石原さんにメイちゃんの行動で驚かされたことを聞いてみると、「小さく割った貝殻を懐にたくさん持っていることがあるのですが、これらがこぼれ落ちないように大きい貝殻で蓋をして持っていることです。どうしたらこぼれないか自分で考え工夫していたのには驚きました」とのこと。

 希少なラッコを飼育する上で、何よりも健康状態に気を配っているという石原さん。出勤後すぐや退社前に必ず状態を観察することを欠かさない。一見、石原さんとメイちゃんが仲良く戯れ、芸を披露しているように見える一連の流れも、手足のキズ、いつも通り歩けない、ジャンプができていない、などの異常がないかチェックすることに役立っているのだという。しかし、「お互いが目つきや仕草、話し方(担当者の)で精神状態がわかる」というのだから、その信頼関係の深さは我々の想像を超える。

■『手をつないで眠る』『昆布を巻いて眠る』って本当? 巷で噂の“ラッコ伝説”を聞いてみた

 ネットで、ラッコのメイちゃんよりも飼育員の石原さんが話題になっていることについては、「メイが可愛いからこそ、そのギャップが受けているのではないかと。私たちは引き立て役ですので、困惑しています」と謙虚なコメント。そんな石原さんに、かねてから“ラッコの可愛いところ”と話題になっている『ラッコ伝説』の真偽を聞いてみた。

・『ラッコははぐれないように手をつないで眠る』は本当?
→本当。親子関係やそれに準ずる保護(養護)関係にある個体同士または、限られたスペース(飼育下)などにおける幼い個体同士にみられることが多い。ただし、選択的に手をつなぐわけではない。近くにいる相手の体の一部をつかむことで安心するため、頭を抱えたり、後肢をつかむこともある。

・『海で寝るときは、波に流されないように昆布を巻いて眠る』
→本当。昆布に限らず、海草などで見られる。

・『手が冷たくなると、目の上に手を乗せて温める』
→半分本当。手が冷たくなると、ではなく、手の平には毛が生えていないので、休息時(寝る時など)手の平からの体温の放熱を防ぐため。目の上だけでなく、口元に当てがっていることもある。

・『群れで生活する必要はないので、集まっているのは一緒に遊ぶため』
→ウソ。一緒に遊ぶためではない。活動中は単独行動だが、休息時(寝る時など)に集まって休息する(危険分散などで)

 このように、ほとんどの『ラッコ伝説』が本当のようだ。なんて愛おしい動物なのだ。切に絶滅することのないことを願う。ちなみにメイちゃんも上記のような仕草を見せることがあるかと尋ねると、「両前肢を口元にあてがって寝ることはあります」との回答。そんな愛らしい姿をたまたま見られた人はラッキーかもしれない。