アニメ『BANANA FISH』や『フルーツバスケット』、『呪術廻戦』など、話題作に出演し、2019年には第13回声優アワード主演男優賞を受賞した人気声優・内田雄馬。彼は今、TBS系朝の情報番組『あさチャン!』(月~金 前6:00~8:00)のナレーターという、新たな挑戦の真っ最中。もともと興味を持っていたというナレーションの難しさ、そしてコロナ禍を経ての仕事への向き合い方について話を聞いた。

【画像】ナレーターとして新たな表現に挑戦している内田雄馬

――『あさチャン!』のナレーターを担当されて約1ヶ月が経ちましたが、オファーが来たときはどう思われましたか?

 まったく違う世界の話だと思っていたので、お話をいただけたことにすごくびっくりしました。オーディションがあったので、まずはそれを受けて決めていただいたのですが、朝の帯番組なので体力的に頑張らなければいけない事は目に見えていましたし(笑)、自分にできるかなと不安でいっぱいでした。でも事務所と話して、この先こんなチャンスをいただくことはないだろうし、ナレーションへの興味もあったので、貴重な経験が出来るなという気持ちもあって、挑戦しようということになりました。

――なぜナレーションに興味を持ったのでしょうか?

 これは僕の考えなんですけど、特に報道や情報番組のナレーションは、より正確にみなさんに情報をお伝えするのが大事で、そこに自分の主観が入らないほうがいいと思うんです。今ある情報を正確に伝えるっていうのはすごく技術が必要なことでもあるし、今までやってきた仕事とは違うものを感じていたので、挑戦してみたいと思っていました。

――実際に挑戦されて、難しさなどは感じますか?

 そうですね。普段の会話では多少言葉が濁っても、気持ちが伝われば理解してもらえますよね。でもナレーションでは、正しい言葉で正確な情報を伝えなければなりません。まずは、内容をしっかり理解して明確にしたうえで、感情を入れ込み過ぎないことが大事だと思うんです。それは、客観的な自分を持っていないとできないことなので、そこをすごく意識するようになったのかなと自分で感じています。もともと役者や声優にも必要な技術ではあるんですけど、違った見え方が増えたように思いますね。

――“朝の番組”ということで意識していることはありますか?

 「元気な、爽やかな朝を届けてほしい」ということでお話をいただいていました。だから、僕がやるなら、多少“朝の色味”を感じられる声のほうがいいのかなと考えたんです。もちろんニュースの中身によって変わってきますが、基本的には重い朝じゃなく、明るい抜けのいい朝を声で伝えていきたいです。

――周りからの反響はいかがですか?

 僕がよくお世話になっている焼肉屋のお母さんが、「今までも『あさチャン!』を見ていたけど、(内田さんが)出てきてびっくりした!」って話をしてくれたり(笑)。そのとき、色々な人の日常にある番組に少しでも自分が関われているっていうのがすごくうれしくて、「ああ、やってよかったな」と思いましたね。

――2020年は誰にとってもこれまで経験したことのない年になったと思うのですが、内田さんにとってはどんな1年でしたか?

 みなさんそうだと思うんですけど、自分自身を見つめ直して、これからどうしていきたいかをいろいろ考えた年になりましたね。すごく簡単に言うと、収録が出来なくなって仕事もほとんどなくなったんですよ。「こういうことがあったら、仕事はなくなっていくんだな」とわかったからこそ、どうやってこの世界に居続けるか、自分は何をなしていくのかを考えなきゃいけないと思いました。今までは怖がって踏み出せなかったこともあったんですけど、考えたことはなんでも試してみて、そこから何かを見つけたり、感じてみるのもアリなんじゃないかと思うようになったんです。

 音楽活動でもチャレンジというテーマを掲げましたし、『あさチャン!』でのナレーションも挑戦のひとつ。単純に自分の声を使って表現することがすごく好きなので、お芝居、歌、ナレーションなど、今は好きなことをやらせていただけていますし、それは自分にとってすごくいいことだなと思っているんです。だから10年20年経ったときにどういう自分になるのか、どうなりたいか、いろんなことを試していく中で見つけていきたいです。

――声で表現することの楽しさというのはどういった部分で感じますか?

 声の中にはいろんなものが詰まっていると思うんです。「嫌い」って言っているけどすごい好きじゃん!みたいな(笑)。並んでいる言葉以外の気持ちが声で伝わるのがすごく面白いし、これは誰しもが感じることのできる能力だと思うんです。特に声優は声でお芝居をする仕事なので、自分じゃないキャラクターの気持ちを解釈して、それを声や音にのせることができます。声だけでそのニュアンスを伝えることが楽しいし、そういう“声というコミュニケーション”が好きなんです。それを突き詰めていくことに、僕は面白さを感じているんだと思います。