「新しいオリジナルドラマなので、見方、楽しみ方がわからないかもしれないけど、お付きあいしてくれるといいな」と、語るのはテレビ朝日系で放送中の木曜ドラマ『七人の秘書』(毎週木曜 後9:00)のエグゼクティブプロデューサーを務める内山聖子さん。

【写真】第4話の場面写真

 ある程度、展開が読める刑事ドラマや医療ドラマ、小説や漫画原作のドラマと違って、イチから登場人物や設定を知っていかなければならないオリジナル脚本のドラマは、ヒットが難しいと言われる昨今。名画『七人の侍』のようなタイトルで、『必殺仕事人』のような影の仕事人たちの活躍を描く本作は、望月千代(木村文乃)、照井七菜(広瀬アリス)、長谷不二子(菜々緒)、朴四朗〈パク・サラン〉(シム・ウンギョン)、風間三和(大島優子)ら5人の秘書たちと、情報屋の鰐淵五月(室井滋)、そしてこのメンバーの元締めとなる萬敬太郎(江口洋介)という7人の影の軍団が、わずかな報酬でのさばる悪をぶっ潰す痛快ドラマ。内山さんに作品の見どころや、コロナ禍のドラマ制作で心に留めていることなどを聞いた。

■脚本家・中園ミホ氏とのタッグ「たまには群像劇もいいな」

 中園ミホさんとは、『ナサケの女〜国税局査察官〜』や『Doctor-X 外科医・大門未知子』シリーズなどでご一緒してきましたが、もっと面白いものを求められる『Doctor-X』の続編を作るより、ゼロから立ち上げた今回の企画の方が実は、プレッシャーはないんです。

 昨年の10月期に『Doctor-X』第6シリーズが終わって、次の作品について打ち合わせをしようと思っていた今年の春先に、新型コロナウイルスの騒ぎが日に日に大きくなっていきました。そんな中、中園さんから「“名もなき秘書たちが世の中を変えていく”話を書きたい」という話がありました。中園さんとは、名前の出ない人が世の中を動かしているよね、といった話をよくしてて。黙ってコツコツと努力を重ねて、頑張っている人たちに、スッキリした気持ちになって「明日も頑張ろう!」と思ってもらえるようなドラマを作りたい、という思いで一致していました。

 それに、中園さんはこのところスターが真ん中にいる作品が続いていたので、たまには群像劇もいいな、と思いました。『Doctor-X』の大門未知子のように一匹狼の天才医師が“白い巨塔”に挑んでいくのも痛快ですが、何ももたない女の子たちのチームワークでこっそりやっつけるというのも、また痛快だろう、と。先の見えない今の時代だからこそ、希望を込めて、痛快で、力強く歩いていく女子たちを描くという方向性で定まっていきました。

 しかし、コロナの状況はますます悪化して、4月に緊急事態宣言。みんなステイホームで孤独感を覚えて、自粛が明けてもソーシャルディスタンスが求められて。電話やメール、SNSでつながれるけど、リアルに会えるっていいな、と思った人も多かったと思うんです。それもあって、仕事を終えた女子たちが一人で立ち寄れる場所があるといいな、とラーメン店「萬」につながっていきました。『七人の秘書』はコロナ禍で生まれたドラマと言っていいと思います。

■「名乗るほどのものではございません」決めぜりふに込めた思い

 こういう人と仕事したい、こういうリーダーがいてくれたらいいな、という理想を半分込めながら作っているのですが、ドラマの中で良きリーダーを描くのは、意外と難しくて、それよりも良きリーダーを求めて、悪いリーダーを成敗していく方が今の時代に合う気がしました。

 それも、スターが勧善懲悪で退治するのではなく、自分たちも大した人間じゃないし、自分も借金があって余裕があるわけではないけど、それでも困っている人を見過ごせない、より弱い立場にいる人のために人知れず戦う、という心意気がいい。

 「働き方改革」といえばと聞こえはいいですが、収入減という負の影響も起きていますし、コロナの影響で解雇や雇い止めにあう人も増えていますし、自分の意に沿わない者は排除する、みたいなことが横行してなんだか不穏だし。多くの人が感じている「生きにくさ」の要因の一つは、仕事がらみが大きいのではないかと。

 名もなき人たちが、けなげに頑張っているからこの国は回っているんだ、ということをこのドラマでも言えたらいいな、と思っていました。それが、「名乗るほどの者ではございません」という決めぜりふに集約されています。

■コロナ禍のドラマ制作が「視聴者の勇気づけになれば」

 私たちだけではありませんが、やはりいままでの倍以上の緊張と責任を持ってドラマ制作に当たっています。1日3回、全スタッフ・キャストに検温に協力してもらって、感染防止に努めているのはもちろんですが、大事なのはメンタルのケアだと思っています。当たり前だと思っていたことが覆るようなことが起きると、自分に自信がなくなるし、不安に押し潰されそうになる。視聴者の皆さんもそうだと思います。

 ドラマの撮影もどこか、当たり前のように思っていましたが、新型コロナウイルス感染症により一時的にストップしてしまって、ドラマが作れるのは当たり前じゃないんだ、と気付かされたことも多いですね。他局のドラマプロデュサーたちといろいろ情報交換もしましたし、今回初めてお話しができた方もいらっしゃいました。まだ完全に戻れていないエンターテインメント界の中で、ドラマは細心の注意を払って撮影して、放送できているので、視聴者の勇気づけになれば、という思いです。