先月10月16日に映画『鬼滅の刃 無限列車編』が公開され、コミックス単行本累計部数1億部突破に続き、国内映画歴代最速で興収100億円突破、公開24日で興行収入200億突破など、「歴代1位の『千と千尋の神隠し』を超えるのでは?」とも囁かれ、TVやネットニュースでも“鬼滅”の文字を見ない日はないほどの社会現象となっている。そんな中やたらと目にするのが、芸能人たちによる “鬼滅コス”。これまでも叶姉妹や山本美月など、アニメ好きで知られるタレントがコスプレ姿を見せることはあったが、『鬼滅の刃』に関しては椿鬼奴やざわちん、田村淳、研ナオコ、奥山佳恵等々、コスプレ好きのイメージがない面々までこぞって参入。空前の“鬼滅コスブーム”の要因を探ってみたい。

【写真】「ちょっと年増の竈門炭治郎!」になったDAIGO、熊田曜子や永野芽郁など…芸能界コスプレまとめ

■過去に名作アニメは多数も…アニメファン以外をもコスプレ界に取り込む社会現象は稀

 芸能人×コスプレといえば、先駆けとしては加藤夏希や中川翔子あたりの名前が挙がるだろうが、そもそもはTBSの女子アナウンサーだった進藤晶子アナが、同局の土曜深夜番組『ランク王国』でコスプレを披露していたのが“元祖”と言われている。ここ最近では、叶姉妹がコスプレ写真集をコミケで販売したり、『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレーのコスプレ(とモノマネ)でブレイクした芸人、桜・稲垣早希が話題となり、えなこや桃月なしこといったコスプレイヤー出身のタレントたちも続々と出現している。つまり芸能人とコスプレは抜群に相性がいいのだ。

 しかし、前述の『新世紀エヴァンゲリオン』をはじめ、『美少女戦士セーラームーン』、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『けものフレンズ』など、人気作かつコスプレイヤー人気の高いアニメ作品は過去にも多数あったものの、『鬼滅の刃』ほどコスプレ姿を日々目にする作品はなかったのではないだろうか?

■クオリティの高いものからネタ系まで…今なら何でもあり!? その要因は?

 そして今回、鬼滅コスを披露した芸能人たちを羅列すれば、椿鬼奴、田村淳、DAIGO、ざわちん、熊田曜子、大貫亜美、手越祐也、スザンヌ、岩堀セリ、潮田玲子、安藤美姫、MAX、GACKT、奥山佳恵&息子、バナナマン・設楽統&三上真奈アナ、松井珠理奈、モーニング娘。’20・生田衣梨奈、なかやまきんに君、研ナオコ…などなど錚々たるメンバー。
中でも「酒の呼吸」こと椿鬼奴は、当初より鬼滅好きを公言し、『ワイドナショー』(フジテレビ系)でコメントを求められるほど「鬼滅のご意見番」的な立場で、主人公の竈門炭治郎やその妹・竈門禰豆子などのコスプレを披露している。
また、鬼のボスキャラ・鬼舞辻無惨コスはGACKTがレベルが高いと絶賛されると、すぐさま手越祐也も無惨を披露。さらに、なかやまきんに君は猪の頭部を被り筋骨隆々の嘴平伊之助コスで「伊之助そのまんま」と絶賛されるも、その後に披露した我妻善逸コスでは「どうにかならなかったのか…」と苦笑されるオチまでついた。ものまねメイクのざわちんがクオリティの高い竈門兄弟を見せたかと思えば、ドラマ内では永野芽郁が禰豆子を披露するなど、今や鬼滅コスをめぐるバリエーションや話題には事欠かない状況なのである。

もちろん、こうした芸能人×鬼滅コス現象の背景には、コロナ禍による巣ごもり需要や、昨年あれほど盛り上がったハロウィンがこじんまりせざるをえない代わりに、その鬱憤をSNSのコスプレ披露ではらす…といった流れもあるだろう。
しかし、『鬼滅の刃』の時代設定が人気マンガ『はいからさんが通る』でも知られる大正時代であることから、どこか羽織袴姿も懐かしくモダンでもあり、親しみやすい。さらに洋服や戦闘服姿のキャラクターが多い中、差別化もしやすいし、メイクへのチャレンジも楽しい。いわば謝恩会でもよく着る袴で(+竹っぽいものを加味すれば)簡単に禰豆子に変身できるし、ノリ的にも七五三や結婚式のレベルで気軽にコスプレできる世界なのだ。実際、SNSで話題になった「緑と黒のチェックの柄のネルシャツが着れない問題」(炭治郎の服の柄と同じなので恥ずかしくて着られない)が発生したように、令和の現代日本人と鬼滅の世界は驚くほど親和性が高いのである。

■“実写化”も注目 全くの未定ながらも“品定め”的な側面も作用

 原作コミックとアニメ映画の大ヒットとなれば当然、次に取りざたされるのは“実写化”。「『鬼滅の刃』実写化なら炭治郎は誰が?(日刊ゲンダイデジタル)」の記事がきっかけでTwitterのトレンドに上がるなどの盛り上がりを見せた。最近で言えば、『銀魂』『るろうに剣心』『今日から俺は』などがヒットしているが、人気マンガ・アニメの実写化ともなるとそれだけで拒否反応を示すファンも多く、ハードルはかなり高い。そうした中、今回の芸能人たちの鬼滅コス・フィーバーは、アニメ的二次元を三次元として見せるとどうなるか、という品定め的な指標にもなるし、実写版へと移行するまでのちょうどいいお試し期間中といえなくもないだろう。

 今後もまだまだ続きそうな『鬼滅の刃』現象。これだけ多くの層に支持され、連日のように話題になっているだけに、芸能人にとってはまさに“おいしい”ブーム。ここは一つ“どさくさに紛れて”でもコスプレしておくのが、芸能人の役割とも言える。いつでも「話題になりたい」芸能人と、キャラの実写を「見たい・想像したい」ユーザーとである意味、需要と供給のバランスもいいだけに、鬼滅コスを“手段”とする芸能人はますます増えていくだろうし、今はまだほんの前哨戦なのかもしれない。