現在公開中の人気アニメ『プリキュア』シリーズの劇場版最新作『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』。3世代13人のプリキュアが集結する今作から、『ヒーリングッど◆プリキュア』(ABCテレビ・テレビ朝日系列にて毎週日曜朝8:30~放送)キュアグレース/花寺のどか役の悠木碧、『スター☆トゥインクルプリキュア』キュアスター/星奈ひかる役の成瀬瑛美、『HUGっと!プリキュア』キュアエール/野乃はな役の引坂理絵にインタビューを実施し、それぞれの”プリキュア観”を語ってもらった。すると「見られる意識が強くなり、ヒロインとしての自覚が芽生えた」「何が正義なのか?と悩んでいる姿が、プリキュアはかっこいい」「愛情のバトンタッチをしていかなくてはいけない」と、シリーズ出演で得た考えや私生活の変化は三者三様だった。※(◆=ハート)

【画像5枚】プリキュア3世代が夢の集結!劇場版の最新場面カット

――『HUGっと!プリキュア』(2018年)に引坂さん、『スター☆トゥインクルプリキュア』(19年)に成瀬さんは出演しておりました。テレビシリーズの出演を終えた今の心境や私生活に変化はありましたか。

【引坂】出産シーンなどが話題となり、プリキュアに興味を持って下さった方々が新たに増えたと聞いています。「HUGプリ」は「それぞれがなりたい姿を追い求める過程」で悩んだり苦しんだり、仲間の助けで成長する姿が描かれていました。ただ、お芝居は難しいところがあって、特に出産シーンは私自身が経験したことがないため「わからない」「リアリティーはどこなのか」といろいろと調べていました。想像で補わないといけない点が多かった作品でしたが、スタッフさんたちのサポートに支えられて作り上げていきました。

 また、プリキュアを通して私の存在を知ってくださった方々もいらっしゃって、仕事やプライベートでも「プリキュアに出演していましたよね?」とお声をかけていただく機会が増えました。私生活においては放送されてから日を追うごとに見た目が、どんどん変わっていきました(笑)。きちんとした姿で「見られる意識」が強くなったんです。野乃はな(キュアエール)の成長とともに私自身の内面も変化していき、「自覚」が芽生えたのだと思います。

【成瀬】私の出演作品はプリキュアの王道と言える「夢」「希望」「想像」が強く見えますが、「スタプリ」のテーマは「宇宙」でしたので、「冒険する」という意味で個人的には少年向けの要素があると感じていました。メインキャラクター5人のうち2人が宇宙人という多様性、各キャラクターの個性も際立っていて、壮大な世界観へのチャレンジと新時代を感じました。

 引坂さんと同じく、私も見た目が変わりました(笑)。アイドルとして活動している中、星奈ひかる(キュアスター)の見た目と同じ「ツインテールを1年間していこう!」、収録の時も必ず「ピンクの服を着る」ことを意図的にしてきました。身も心もキュアスターになりきらないと、演じられないと思ったからです。「宇宙」をテーマにした作品でしたので、宇宙についても調べて、ひかるちゃんの気持ちを理解し続けた1年間でした。プリキュアですから「ありがとう」が自然と口から出るようになったりと、みなさんの模範となる意識が生まれたと思います。

――テレビ放送の「ヒープリ」に出演中の悠木さんですが、プリキュアを演じることで、役作りにおいて気を付けていることはありますか。

【悠木】プリキュアに限らず、ほかの作品においても「世の中に見られている意識」はあるのですが、だからと言って「こうしなくてはいけない!」という私個人の固定観念を役に混同して、自身の活動の幅を制限するのはよくないと考えています。難しいところですが、キャラクターに一番近く接している立場として、私個人は変わらず、客観的に見ていかなければいけないと思っています。俯瞰でいるからこそ「この子の良さが理解できる」ポジションを貫きたいのです。

 例えば信号待ちをしている時に、隣の人が赤信号にもかかわらず渡って先に目的地に行くのを見ると「私は我慢しているのに、あの人は先に行けてズルい」といった、ちょっと損した気分になり悔しくなると思います。ですが、プリキュアのような正義の味方を演じると「正義を貫く方がかっこいい」と考えるようになり生活に変化が起きました。

 「より正しいことをしよう!」と思うのですが、それを他人に押し付けるのは間違っていて「AとBの道、どちらを選ぶのが正しい」のではなくて「どちらが正しいのか」と迷った時が一番正しいと思います。Aが間違っていて「それは正義じゃないですぅ~」と煽るのは絶対にしたくないです。ニュートラルにキャラクターの正しさを見ていかなくてはいけないと心がけています。

 プリキュアも成長過程で悩み、苦しみ、選択を間違えて失敗する部分が描かれています。仲間たちに「それは違うよ」と支えられて間違いに気づかされたりする。現実世界において「一度、間違えたら不正義なのか?」と言ったら違うと思いますし、「何が正しいのか?」と迷っている姿がかっこよくて、多くの方に共感を得ているのではないでしょうか。

――キュアセレーネ役の小松未可子さんは昨年の記者会見で、「5年間、『プリキュア』のオーディションを受け続けていて、声優としての第2の目標、夢、挑戦をプリキュアに見させていただきました」と話しておりました。女性声優さんが『プリキュア』出演を目指す大きな理由は一体何でしょうか。得るものが、たくさんありそうですが。【引坂】プリキュアは多くの方に広く知られている作品で、声優として出演することはとても名誉なことです。出演が決まった時は、声優デビューから間もない時で、前作『キラキラ☆プリキュアアラモード』に脇役として参加した際、先輩方がキラキラしている姿を見て「遠い存在だな」と感じていました。そんな自分がプリキュアとして出演することができるなんて、想像できない驚きでした。

 「HUGプリ」放映時に、プリキュアとして幼稚園にお邪魔させていただく機会がありました。私が言葉を発した際、子どもたちは一緒に訪れたキュアエールを見ていて、私のことは「この人は誰なんだろう?」と不思議そうな表情をしていました(笑)。でもその時、キラキラした目でキュアエールを見ている子供達の表情が、まっすぐで可愛らしくて、そういう子供達に向けて作品を届けているんだと、とても幸せな気持ちになりました。プリキュアを通して、演じる声優の醍醐味を感じた瞬間でした。

【成瀬】私はアニメのオーディションに参加するのが初めてで、会場に行くと知っている方々ばかりで「ただならぬ場所に来てしまった…」と待合室でドキドキしていたのを覚えています(笑)芸能生活において経験したことのない緊張感で、改めて『プリキュア』という作品の大きさを実感しました。

【悠木】私の親しい友人がプリキュアでして…(笑)。その子から「プリキュア、すごく楽しいよ!」と聞いていたのですが「私、プリキュアって柄じゃないよね…」と正直思っていたんです。プリキュアを演じる方々はキラキラした存在で尊敬していて、そのキラキラは、すごく頑張らないと出せないと思っていました。プリキュアは自分の中の夢や希望を絞り出して、キャラクターの器に詰めないと形にならないのです。それを1年間やるのは「私にはできないぞ」と思っていました。ただ、プリキュアになってみたい憧れはあって、みんなの話を聞くと「大変そうだけど、すごく楽しそう」と感じていて、そこに立たないと見えない景色があるんだなと思っていました。

 『映画 キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』で敵役を務めていたこともあり「プリキュアになれることはない」と思っていて、プリキュアの必殺技を食らって満足していた自分がいました(笑)。その中で今回、改めてプリキュアという立場になって、友人に「実は私、プリキュアになりました」と報告をしました。よく考えると、悩みなどを相談する、される友人に「オーディションに受かった」と報告したのは初めてで、それくらいうれしいことでした。そして先日、第1話が放送された時に「リアルタイムで見たよ!」と連絡をいただいた時は、長い歴史で繋がっている『プリキュア』シリーズの温かさを実感しましたし、愛情のバトンタッチを私もしていかなくてはいけないと思いました。

 そして何よりも、プリキュアとして名を残すことができて誇らしいです。今の子どもたちにとっての『プリキュア』は、私のイメージとして残るからです。その子たちが大人になった時に「私のプリキュアは●●だったのよ」と言ってくれるはずですし、その胸への残り方はプリキュアが毎年違う作品を世に出しているからでしょうし、「我々ができる最高のプリキュアにする」と思いながら、どの世代も作られてきていると感じています。なので、将来が楽しみな作品であり、それがほかの作品と違う部分なのかなと思います。長く続けば続くほど、いろんな方の違った反応が出てくるので、プリキュアとして将来がすごく楽しみです。

■映画あらすじ
『ヒーリングっど◆プリキュア』『スター☆トゥインクルプリキュア』『HUGっと!プリキュア』3世代のプリキュア13人が集結し、プリキュアが「今日の世界」に閉じ込められてしまう物語。物語の鍵を握る「明日」をつかさどる精霊・ミラクルンは、劇中で重要な役割を担うミラクルンライトを生み出す不思議な力を持っており、“永遠に明日がこない世界”に変えようと目論む敵で「昨日」をつかさどる精霊・リフレインに狙われてしまう。時間を巻き戻すことで、毎日同じ「今日」を繰り返すことになったプリキュアはピンチとなるが、ミラクルンを守るため、みんなで「明日」に行くため、運命的な出会いを果たした3世代のプリキュア13人が、力を合わせて立ち上がる。