夫婦の3組に1組が離婚すると言われる時代(厚生労働省「人口動態統計」より)。パートナーの浮気が原因となるケースは多い。一方で夫の浮気を知ったものの、「離婚はしない」という選択をする妻たちもいる。離婚へのハードルはたしかに低くなったが、夫婦のあり方や事情は家庭によってそれぞれ違う。「浮気されたら即離婚」は果たして自分にとって正解なのか? 迷っている人はもちろん、今後の「もしも」の備えとなりそうな話題の作品を紹介したい。

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■本気か出来心か? ダンナの“全面降伏”に悩む選択

 夫の浮気を知ってしまった妻の実体験を、コミックと浮気された側が有利に物事を進めるためのHOW TOパートでまとめた『平凡な主婦 浮気に完全勝利する』の著者・SOMANさんは、「離婚はしない」という選択をした1人だ。

 当初、浮気が発覚したときには「夫は真面目な性格。だからこれは浮気ではなく“本気”だと思い、離婚に向けて即行動をしました」と振り返っている。

 すぐに探偵事務所と契約し、証拠集めに奮闘。覚悟を決めたところで浮気を問いただしたところ、意外にも夫は全面降伏。「二度としない」「離婚は絶対にしたくない」と、平謝りをされたという。

 しかし言葉で謝罪されただけでは、「言った言わない」の話になってしまう。そこでSOMANさんは、相手の女性に賠償金を請求するとともに、夫には「今後、浮気をした場合には…」といった条件を、公正証書に書いてもらうというペナルティを課した。

「公正証書という“保険”があるので、私もその後は、浮気のことをネチネチ問い詰めたりはしませんでした。これも、夫婦生活を円満に継続させるために大切なことだと思っています」(SOMANさん)

 夫の浮気はいわば、「一度の過ち」や「出来心」だった模様。夫婦の関係に2人で真剣に向き合ったことで、浮気発覚以前よりも絆が深まったとSOMANさんは語っている。

■「子どもの教育の機会を奪ってしまう…」、離婚しない選択で決めた覚悟

 夫の浮気発覚から夫婦の再生まで、実体験を描いたコミックエッセイ『カマかけたらクロでした』が大反響を博した著者・うえみあゆみさんは、現在その10年後を描く『マタしてもクロでした』を連載中。今なお浮気を繰り返す夫だが、夫婦生活は継続している(分冊版7巻現在)。

 その理由は「子どもたちの教育の機会を奪いたくない」というもの。思春期に差しかかった子どもたちの教育費は、これからが山場を迎える。しかし高校生の娘が家計を助けるために「アルバイトをする」と申し出たときには、「10代の貴重な時間を大切に使ってほしい」と反対した。

「もともと私は子どもの貧困問題に関心があり、取材を重ねてきました。そこでわかったのは、教育とは『子どもの選択肢を広げ、いずれ夢や希望への挑戦権になるというサイクル』であるということ。それを与えてあげられないのは、親として違うなと私は判断したんです」(うえみさん)

 度重なる夫の浮気を経験して、うえみさんは「すべてが完璧な理想の家庭などはない」と悟ったという。完璧ではないからこそ、譲れなかったもの(=教育の機会)を選択したのがうえみさんのケースだ。

 なかには“一馬力”で十分な教育を与えられる女性もいるだろう。また「教育とは別の“何か”のほうが、子どもにとっては大切」と考える人もいるかもしれない。ただ、個人の価値観や夫婦のあり方、家庭の事情はさまざまであり、すべての人に当てはまる「正解」はないことは事実だろう。

 SOMANさんは『浮気に完全勝利』の裏テーマを、「自分の人生は自分で選択すること。どんな答えを出すにしても、それが正解になるように前向きに自分の人生を作ってほしい」だったと語っている。

 とかくサレ妻には「絶対に離婚したほうがいい」「仮面夫婦で子どもがかわいそう」といった世間の声が浴びせられがちだが、外野の意見に惑わされることなく、自分の中の「正解」に向き合うことが重要だ。