マスク姿が日常の風景となり、密を避ける新らしいライフスタイルを過ごすなか、ドラマだとわかっていながらも、密になったり登場人物が密接したりするシーンを観ると、違和感を抱いてしまう視聴者も多いはずだ。そんななか、地上波ゴールデンの連続ドラマとして、初めてコロナ禍の日常を舞台にしたラブストリーを描く『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系、水曜夜22時)が、10月14日よりスタートする。ドラマが時代を映し出す鏡であるのならば、今こそウィズコロナ時代を生きる人々の物語に踏み込む意義とは何か。プロデューサーに聞いた。

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■「コロナとしっかり向き合わなくては」人々の心情をしっかり描く

 物語は今から半年前。「コロナパニック」を経て新しくスタートした日常を舞台に、恋愛をさぼってきた“おひとり様”の主人公が、オンラインで知り合った相手にSNSで恋をする物語である。リモート飲み会やマスクでの会話が続くなど、コロナ禍の物語をリアルに描いている。同作の櫨山裕子プロデューサーは、緊急事態宣言下の4月時点の思いを明かす。

「ドラマ撮影がある日を境にすべてストップし、その後も制作を続けられるかわからない状況でした。ぼんやり思ったのは、「もうドラマが作れない世界がやってくるかも」。その後状況の変化や色んな工夫で再開できました。次に思ったのはこの事態を「なかったことにしてドラマを作っていいんだろうか」ということ。ドラマはその時代を写す鏡、最終的には「コロナという事態が今を生きる人たちにどういう気持ちを生んだのか」というドラマがあっても良いのではと思いました。

 もちろん、先の見えない不安なコロナ禍の生活を忘れて楽しめる娯楽性のある作品へのニーズは多いはずだ。不安な毎日が続くリアルな生活をあえて描くことは、今の視聴者に受け入れられるのだろうか。

「その危惧はもちろんあります。不自由で生きにくい現実を、ドラマでまで観たくないという視聴者もいるでしょう。けれど、こんな事態のなかでも人は前に進めることもある。そんな思いを伝えたいというのが目標です。結果が良いか悪いかはわかりませんが、テレビ屋として一回、コロナと格闘してみたかった」

■マスクのまま「目で感情を伝える」、問われる役者の演技力

 本作の第1話は、緊急事態宣言下の4月が舞台。第2話からは、10月のウィズコロナのご時世に移る。その撮影において、マスクをした俳優たちは、表情ではなく、目だけで感情を伝えなければならないなど、平時とは異なる演技力が求められるようだ。また制作サイドも、表情全体を見せたいときは食事シーンをうまく使うなどの工夫をしている。

「視聴者に違和感を持たれないことが第一で、コロナを踏まえた見え方になっているかは、とても意識しています。マスク有りの芝居は、やはり役者さんの割り切りが問われます。ただ、印象としては、マスク生活が普通になっているからか、そのときの感情の目の部分だけの表現のほうが自然に伝わってくることもあります。いろんな工夫とアイデアで、今は乗り越えていますね」

 リアルな物語を描いて視聴者の心情に寄り添いながらも、エンタテインメントとしてのフィクションをどう見せていくのか。そんな絶妙なバランスも求められるだろう。

「コロナ禍で1人ぼっちになった主人公が、自分を受け止めてくれる相手がいることに救われる。そんな感情や感覚はリアルです。一方、それをどれだけ楽しく見せられるかの仕掛けがフィクションです。すべてのドラマの根っこにあるのは、人間のオーソドックスな関係値や感情ですから、このドラマはこんな状況をどう料理して見せるのかという“描き方”だと自分に言い聞かせてます」

 本作の主人公は、恋愛をさぼってきた独身で恋人もいない産業医。「誰にも会えない」コロナ禍の1人の生活から、家族や恋人など誰かを求めるようになる。その人とのつながりを求めた結果が恋愛になり、彼女の気持ちを動かし、人生が新たな方向へ動き出していく。

「こんな時代だからこそ、人を好きになる気持ちは愛おしいと思ってほしい。コロナによって失ってることもたくさんあるけれど、一方で、新たに気づけることもあると思ってもらえたら、このドラマは成功です」

 テレビ屋としての使命感に燃えた本作。ここに込められたメッセージを、視聴者はどのように受け止めるのか。時代に寄り添うドラマの役割が、今改めて問われているようだ。