現在、テレビ東京系で放送中のアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(毎週土曜 前9:30~)。28年ぶりの完全新作として注目を浴びる中、ORICON NEWSは主人公・ダイ役の種崎敦美、ポップ役の豊永利行にインタビューを実施。収録現場では作中同様の“友情劇”があったという2人に作品への想いを聞くと、「『アバンストラッシュ』をまねしてほしい」と必殺技に込めた声優としてのやりがいを語ってくれた。

【画像】勇者になる特訓…修行するダイ! 最新アニメ場面カットがこちら

 『ダイの大冒険』は、1989年から96年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載していた人気漫画が原作。主人公の少年・ダイが、ある日、島を訪れた“勇者育成の家庭教師”アバンに才能を認められ、勇者になる特訓をして秘められた力を開花させ、アバンの弟子・ポップ、マァムら仲間とともに、復活した魔王を倒し平和を取り戻すべく旅に出る冒険活劇。人気ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズの世界観・設定を基にした完全オリジナルの世界で、テレビアニメが過去に91年10月から92年9月まで放送され、91年、92年(3月、7月)に映画化もされた名作だ。

■キャスト一新で感じる責任 声優業の“正念場”に充実感

――28年前の作品の完全新作ということで、当時のファンからの期待、さらに、キャスト一新という部分で非常にプレッシャーがあったと思います。世の中の反響はどのように受け止めていましたか。

【種崎】 出演が決まった時、プレッシャーと同時に作品とキャラクターへの責任感が強く生まれました。28年前の時は原作漫画が連載している途中でのアニメ放送でしたが、今回は物語が完結した上で作られるものになるので、前作へのリスペクトは持ちつつ、新しい「ダイの大冒険」を作っていくと事前に伺っていました。なので今回、ダイを演じるにあたり前作は見返さないことを決めました。あのころ見ていた作品への気持ち、魂のようなものは間違いなく自分の中にあるので、それを持ちつつ「自分なりの」ダイを演じようと思いました。作品が完結しているからこそのあえての演出や、キャラクターの見せ方など昔からのファンの方には、当時と今の変化も楽しんでもらえたらうれしいです。

【豊永】 難波圭一さんが演じていたポップを“襲名”というのは恐れ多いのですが、アニメーション作品が時代を経て見せ方が変わる中で、僕ら声優陣の芝居の表現も変わってきていると感じています。当時の作品に出演した方々は、その時にしかできなかったお芝居をされているわけで、僕らは過去作品をリスペクトした上で今しかできないお芝居をしていかないといけない。それにあわせて、当時のファンの期待に応えなくてはいけないので、今回はいつも以上にキャラクターと向き合ったと思います。声優業としてもひとつの大きな正念場にいるような気がします。

 先代のダイ役・藤田淑子さん、ポップ役・難波圭一さんたち先輩方のお芝居のすばらしさは果てしないものがあります。調べてみると、当時出演していた方々は、今の僕らキャスト陣と年齢が近い部分があるので、今の僕は「どれだけ近づけているのだろうか」と考えたりします。ワクワク感、チャレンジ精神もあって、仕事に充実感を感じています。

■役作り正反対の2人 悩む種崎にフォローする豊永…現場で起きた作中同様の友情劇――お二人は原作漫画の大ファンだそうですが、好きだからこそ役作りは難しかったように思います。

【種崎】 これは他の作品においてもですが、私は演じるキャラクターのイメージ像を事前に決めすぎないようにしています。「ダイはこんな子」というのはもちろんあるのですが、周りのキャラクターがいて初めてそのキャラクターが形作られていくと思っているのと、ダイも仲間との冒険を通じて成長していきますので、その時その時を一生懸命生きて、役作りも他のキャストさんのお芝居を受けて、どんどん変わっていこうと思ったからです。

 …ですが、この作品に限っては、役柄が自分にとって挑戦的な部分があったり、作品への想いが大きすぎて、これまでやってきたようにはいかず…。最初はがむしゃらにぶつかっていたのですが数話たったあたりで「頑張らなきゃ!」が空回りしている気がして、お芝居というよりは作品に向かう心の置き所に悩み始めました。そして、そんな姿は豊永さんにはバレバレで…(笑)

【豊永】 悩んでいる姿に気づいちゃいました(笑)。別作品のアニメをテレビで見ている時、「このキャラの芝居うまいな~。誰が演じているのだろう?」と思い、エンドロールを見ると種崎さんが担当していることが多々あって、僕は種崎さんのお芝居が好きだと気づきました。それがあってか、最初の方の収録で、お芝居を見た時に「あれ?どうしちゃったの! 緊張している?」と思い、本人にお伝えしました。

【種崎】 豊永さん以外の方からは、何も言われなかったのですが、ポップには全部バレていたのです(笑)。豊永さんが「ダイが悩んでいるなら、それを解決するのはポップでしょ!」と、監督と私含め3人で作品について深く話し合う機会を設けてくださいました。その時から作品への向き合い方が変わりました。本当に心が救われた瞬間で、現場でもまさに物語で描かれるような友情劇を体感してしまいました!

――豊永さんは役作りで苦労はなかったのでしょうか? 臆病なポップは、冒険を通じて人として大きく成長するキャラクターであるため、心境の変化の演じ分けは難しそうです。

【豊永】 種崎さんと違って原作をしっかり読んでからポップを作り上げていきました。彼は最初、現実逃避をしたり、情けない一面など“人間臭い”部分が強いのですが、魔法使いである以上、知性を働かす賢いキャラクターなので心境の変化が大きい。僕は役作りの方法は作品によって変えていくのですが、『ダイの大冒険』は、作品を理解した上で臨みました。そうしないと、ポップのギャップの魅力が伝えきれないと思ったからです。

 現場では自身もポップとしての意識を持ち、ほかの役者さんのお芝居を注意深く見たり、現場の雰囲気を読んだりと、視野を広く現場を見渡すように心がけました。だからこそ、ダイの役作りで悩む種崎さんに気づけたと思いますし、先ほどの種崎さんのエピソードを聞いて、現場に臨む姿勢や役作りの方向性は間違っていなかったと感じました。

 人間臭い雰囲気を含めて“現実世界にいるようなお芝居をする”ことが、僕が役者として目標としていること。やりたい表現のひとつ、武器にしたい表現の仕方です。そういう意味では、今自身が持っているものをフルに使うことができる、フルに使わせてくれるキャラクターがポップなので、このタイミングで出会えたことは本当にありがたいことでした。

■「アバンストラッシュ!」必殺技に込めた声優の想い――『ダイの大冒険』と言えば、キャラクターが披露する数々の必殺技と呪文が見どころの一つだと思います。私自身、小学生のころ、「アバンストラッシュ!」の構えをホウキや傘で再現しておりました(笑)。自分が演じたキャラクターのせりふが、多くの方に再現されることは声優業の醍醐味な気がします。

【豊永】 「アバンストラッシュ!」は僕ら30代・40代の男性にとって、共通言語なようなものですよね! ホウキや傘を持って、『ダイの大冒険』ごっこをした思い出はみなさんあるのではないでしょうか。僕らが子どものころにまねしていたことが、今の時代の子どもたちが僕たちと同じようにまねしてくれると思いますし、今作の『ダイの大冒険』は、彼らのバイブル(思い出に)なる可能性を秘めている作品だと思います。日常生活において漫画・アニメが自然に絡む、定着することって、なかなかない。まねしてくれたら、声優としてこれ以上ない喜びです。ぜひ、そういう姿を公園とかで見たいですね!

【種崎】 親子でやってもらいたいですね! お父さんが構え方を教える姿とか…、お父さんがアバンで、子どもがダイで…、そんな姿が見られたらたまらないですね(笑) 私たちもそうだったからこそ、今の子どもたちにも響いてほしい。傘やホウキが周りの方に当たらないよう注意はしつつ!「アバンストラッシュ!」に「ブラッディースクライド~!」や「イオナズン!」などで返せるようになるのもすてきです(笑)この作品の盛り上がり方の理想はまさにそれですね。