歌手で俳優の錦戸亮が7日、東京・日本武道館で無観客でのオンラインライブ『孤軍奮闘』を開催。きょう8日に一般向けに配信するオンラインライブ『不撓不屈』を控え、ファンクラブ会員限定の前夜祭として決行。一人ならではの身軽さで武道館内を移動したり斬新な演出のもと、たった一人“孤軍奮闘”し歌声を届けた。独立後1年が経過し、「去年からしたら、今ここで武道館にいるとは思っていませんでした。まぁ、こういう状況になっているわけですけど、それでもみなさんに楽しんでもらえるよう、僕が頑張っていくだけなので、これからも楽しんでいただけるといいなぁと思います」と画面越しのファンに向けメッセージを送った。

【ライブ写真】武道館前でも演奏を行った錦戸亮

 まずスタジオでアコースティックギターを爪弾く錦戸が映し出されると「難しいわ」と言いながら口笛を吹き、ギターを鳴らし、歌い、息を吐く。「さみしい~(笑)」とこぼす。移動中の車中の映像では「怖いなぁ」とぽつり。「武道館は聖地的な場所。でも、そこを目指してやってきたわけじゃない。たまたまそうやって会場を押さえて、ツアーがキャンセルになったから今回できることになった。今できる最善のことを尽くすしかない」と決意をみせながら武道館へ。控室に入り、スニーカーの紐を結び直し、そしてギターの演奏を開始。そしてタイトルが現れる。

 ライブの始まりはステージではなく、西口玄関前。約1年前、独立後一発目に発表した楽曲「ノマド」を歌いながら、無観客ストリートライブという、前代未聞のスタートで幕を開けた。虫の鳴き声まで聴こえてくる野外での臨場感。配信だからこそ成立しているドキュメンタリータッチの進行は、現状を逆手に取った粋な演出で、挑んでいく気持ちが込められた「ノマド」にふさわしい始まりでもある。

 そのまま、武道館のドアを開け、廊下を歩き、階段を下っていく錦戸がステージへ上がると、他に演者のいない武道館に彼のギターだけが響きわたる。2曲目は、「スケアクロウ」でクリアなサウンドを届け、会場中央に設置された小さな円形ステージに立つ錦戸だけをライトが照らし出す。

 そこで「こんばんは。錦戸亮と申します。今、武道館、ひとりでいるんですけども、孤軍奮闘ということで、はじめての弾き語りに挑戦しています。この先誰かが出てくることもありません。ひとりでずっとやるんですけど、一生懸命、精一杯できることはやっていこうと思います」とあいさつ。

 「キッチン」「ヤキモチ」と日常描写ソングは、ときに目を閉じ、口元に笑みを浮かべ、まっすぐカメラを見つめながら。間奏での口笛かすれ具合に思わず照れ笑い。「はい、すみません! 間違えまくっていますけど、このまま続けたいと思います。すみませんっ!」とファンクラブ限定ならではのクローズドな空間ではチャーミングな素顔が垣間見える。

 “最近の僕の好きな歌”として紹介されたのがファンミーティングでも披露した、吉幾三の名曲「と・も・子」。東北弁での漫談ソングは芝居と歌の両方で、錦戸が卓越した表現力の二刀流っぷりを見せる。「誰もいない武道館、いつもではできないやり方をしてみようと思うので、少々お待ちください」と、ステージを降りて、廊下へも出ていく。階段を上がる彼をカメラが追いかけ、着いた先は、なんと3階のスタンド席。「SのEの31。ここからお届けしたいと思います」と「code」へ。さらにあらゆる角度でドローンが撮影したのは、赤西仁の「ムラサキ」。「code」からの「ムラサキ」という流れも古くから応援するファンにとってはキラーセットリストだ。

 ステージに戻ると「狛犬」は温かみのあるオレンジ色のライトに包まれ、強く、太い声で。続く、光の柱に囲まれて熱唱した新曲「コノ世界ニサヨウナラ」は、初披露ながら演奏がギター一本で挑んだ。「ホンマはツアーとかできたらよかったんですけど、これはこれでよかったんじゃないかなと思います。また、遊びに来たくなるような僕でいられるように頑張りたいと思いますので、この先もよろしくお願いします」と改めて呼びかけた。

 ラストは、「オモイデドロボー」を軽快に笑顔で歌い終わると、「ありがとうございました!」と安堵した表情。「また近々、会える日を作りたいと思います。バイバイ!」と手を振り約束すると、ステージを降りてアリーナを後にした。