電子コミックを筆頭に、近年拡大傾向にある電子出版市場。全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、2020年上半期の電子出版市場は前年同期比128.4%の1762億円(『出版月報』2020年7月号より)。とくに今年は、新型コロナウイルス感染症の流行という予期せぬ事態に見舞われたことから、電子書籍は新たな生活様式における本の楽しみ方としても浸透しながら急成長を遂げている。そうしたなか、顧客満足度調査を行うoricon MEは、初めて「電子書籍サービス」の満足度ランキングを発表。満足度総合1位には、ネット書店(本の通販ストア、電子書籍ストア)とリアル書店を連携させた“ハイブリッド型”総合書店【honto】(74.53点)が選ばれた。

【ランキング表】“顧客満足が高い”電子書籍サービス TOP10

 同調査は、2020年6月19日~29日の期間、週に1回以上「電子書籍サービス」を閲覧しているという4654人(年齢は15歳~84歳)に対して、利用しているサービスの満足度について回答を得たもの。電子書籍については、主に本・コミック・雑誌など、総合的に書籍の販売・配信をWeb上で行っているサービスと定義し、それに該当する16社を対象企業として調査した(※コミックに特化した「マンガアプリ」については、別途調査・ランキングを発表)。ランキングを構成する評価項目は「アプリ・サイトの使いやすさ」「書籍の充実さ」「セール・ポイントの充実さ」「購入のしやすさ」の4つで、これらは全17の設問から形成。なお、ランキングは「満足度総合」「評価項目別」のほか、部門別(「男女別」「年代別」「ジャンル別」)の結果も発表している。

◆シーンごとに思い通りの読書時間を。“本を愛する人”をサポートする「honto」

 2012年5月に本格スタートした【honto】は、大日本印刷が運営するもの。その特徴の1つは、共通のID管理によって、ネットでもリアル書店でも多様なサービスがシームレスに利用できる点だ。たとえば、ネット書店での購入(電子書籍・紙の本)とリアル書店での購入、どちらでもポイントの貯蓄・使用が可能で、「参考書や雑誌は紙の本」、「コミックや小説本は電子書籍」というように、ユーザーはシーンに合わせてお得に本を読むことができる。

 なお、ネット書店とリアル書店との連携は他の電子書籍サービスでも行われているものだが、hontoは丸善やジュンク堂、文教堂といった大型書店と組んでいるところが強み。利便性の良さはもちろん、希少な本を見つけられる可能性も高い。時代とともに紙の出版物がシュリンクしていくなか、「読みたい本を、読みたいときに、読みたい形で」をモットーに、電子書籍と紙の本を共存させるかたちで“本を愛する人”をサポートしている。

 今回の調査では、満足度総合のほか、評価項目別では、「セール・ポイントの充実さ」(71.33点)、「購入のしやすさ」(76.85点)の2項目で首位を獲得。これらの結果を受け、大日本印刷 出版イノベーション事業部 hontoビジネスセンター ハイブリッド書店企画ユニット ユニット長の田宮幸彦氏は、評価を受けた理由について以下のようにコメントしている。

「『セール・ポイントの充実さ』は、出版社と連携した多数のセール及び『会員555万人突破大感謝祭』や『読書応援!おうち時間は本を読もう!キャンペーン』が好評を博し、BL(ボーイズラブ)専門フロア『すわんぷ』での『BLの沼へようこそ♪どハマり応援キャンペーン』などBLファン層に向けたキャンペーンも人気を集めました。

『購入のしやすさ』は、ボタンを1回押すだけで、カート画面を省略して電子書籍を注文できる『ワンステップ購入』や、通販だけでなく電子書籍購入にも利用できる『図書カードNEXT』や『LINE Pay』等の支払い方法の拡充により評価をいただいたものと思います。今後もお客様にとって魅力的な『honto』ならではのサービスの提供に尽力してまいります」(リリースコメントより一部抜粋)

◆「U-NEXT」は書籍の充実さ、「Apple Books」は使いやすさに定評アリ

 満足度総合2位は、【U-NEXT】(74.49点)。日本における動画配信サービスの先駆けとしても知られる【U-NEXT】は、2014年から電子書籍の提供を開始(当時のサービス名は、BookPlace for U-NEXT)。最近の動向としては、昨年1月にリニューアルを行い、1つのサービス内で動画と電子書籍を行き来できるようになったほか、書籍数も大幅に増加。現在は61万冊以上(2020年7月時点)の本を楽しむことができ、評価項目別の「書籍の充実さ」(74.84点)では1位を獲得した。

 次いで、3位にはアップルが提供する【Apple Books】(74.04点)がランクイン。2010年にiPadとともにリリースされ(当時のサービス名はiBooks)、日本における電子書籍時代の幕開けを象徴するようなサービスとして認識している人も少なくないだろう。アップルといえば、UI、UXデザインの良さに定評があるが、同サービスにおいてもそれらのポイントが高く評価されており、評価項目別「アプリ・サイトの使いやすさ」(76.53点)では1位に。ユーザーからは、「デザインがシンプルで見やすい」(20代・女性)、「利用者のことをとても理解していて、次回読む時にとても便利」(30代・男性)といったユーザー・フレンドリーであることに言及したコメントが多く寄せられている。

 なお、ジャンル別の首位は、「コミック」が【honto】(76.40点)、「雑誌」が【DMM電子書籍】(75.78点)、「本」が【紀伊國屋書店 Kinoppy】(75.03点)。世代別では、「10・20代」は【BookLive!】(78.79点)、「30代」は【U-NEXT】(75.08点)、「40代」「50代」は【honto】(40代:72.23点、50代:73.92点)、「60代以上」は【楽天Kobo】(72.13点)が1位を獲得し、それぞれサービスや世代間の特色が出る結果となった。

 前述したように、日本における“電子書籍元年”から10年が経つ今年、市場は活況を呈し、今後さらなる成長が見込まれている。企業間競争はますます激化していくことが予想されるが、業界全体が切磋琢磨していくことで現代ならではの魅力的な本の楽しみ方がこれまで以上に生まれていくことに期待したい。