女優の波瑠が主演するテレビ朝日系木曜ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』はきょう17日、15分拡大スペシャルで最終回を迎える。その放送を前に、本作のSeason1(2018年)から脚本を手掛ける大森美香氏が、『未解決の女』に対する思い入れや、執筆での苦労、そして最終回の見どころを語ったロングインタビューが到着した。

【写真】先週に続いて市原隼人と北乃きいが出演

 同ドラマは、警視庁捜査一課「特命捜査対策室」第6係(文書解読係)に所属する肉体派熱血刑事・矢代朋(波瑠)と、文字フェチの頭脳派刑事・鳴海理沙(鈴木京香)がバディを組み、“文字”を糸口に未解決事件を捜査するミステリー。最終回は、先週放送の第6話「影の斜塔・前編」で発生した“2つの殺人事件”と“エリート刑事の逃亡”が発端となった事件のてん末を描く。

■キーワードは「楽しんでくださる作品」

――15年後期連続テレビ小説『あさが来た』や、来年放送の大河ドラマ『青天を衝け』(どちらもNHK)のほか、数多くの脚本を手掛けている大森さん。意外にも刑事ドラマは『未解決の女』が初めてだったとのこと。苦労などはありましたか?

【大森】刑事ドラマを書くことにはずっと憧れがあったんです。ただ、私には事件を思い付く力があまりないので、無理だろうなと思っておりまして…(笑)。そんな中、『未解決の女』に携わることになったのですが、この作品は基本的に《過去の事件》と《現在の事件》が存在する上に、《文字》の要素も加わってきます。しかも、麻見和史先生がお書きになった原作に出てくる事件は《未解決事件》ではないので、それをどう未解決としてアレンジするか、という部分もあります。この全要素をきちんと網羅しながら1時間に詰め込むのは、毎回大変な作業でした。ただ、その中でもやはり、《文字》で解決するというコンセプトはほかのドラマにない特色だと思いましたので、文字で楽しんでもらうにはどうしたらいいだろう…と。そこを重点的にスタッフの皆さんとお話しながら、脚本を作っておりました。

――Season1とドラマスペシャル(19年)の反響を受け、Season2でこだわられたことはありますか?

【大森】私自身の子どもと同じ年齢くらいのお子さんを持つ方々の中には、午後8時台の『警視庁・捜査一課長』シリーズから続けて見てらっしゃる方が多いそうで…。お子さんたちも事件モノを、文字にも興味を持ちながら楽しんで見てくださっている、とお聞きしたんです。なので、Season2ではより幅広い皆さんが楽しんでくださる作品にしたいな、と考えて作った部分はあります。

――楽しみどころといえば、登場人物のキャラクターもSeason2でさらに立っていきましたよね。

【大森】朋ちゃんや理沙さんをはじめ、レギュラー登場人物のキャラクターがSeason1で出来上がっていて、何よりもキャストの皆さんが「自分が演じるのはこういう人間なんだ」とわかって演じてくださっているんです。ですから、私も安心して「前よりもさらに楽しんで、冒険しながら演じていただきたい」と思い、キャラクターを作っておりました。

――皆さんのお芝居に触発されて、キャラクターを膨らませた部分もあったんですか?

【大森】はい。例えば、波瑠さんと鈴木京香さんの相性はオンエアを拝見したら、私が当初空想していた以上に、すごく気持ちがよかったんです。おふたりが会話している姿を見ているだけで、楽しくなるようなところがあったので、私自身も楽しみながら書いておりました。特に、沢村一樹さんが演じられる古賀室長は…正直なところ、Season1の最初は「爽やかで好感度の高い沢村さんに、こんなイヤミな役をやっていただいていいのかな!?」と、少し遠慮もあったんです(笑)。でも、実際のお芝居を拝見して「こんなに勢いよく演じてくださるんだ!」と。喜びと信頼感に背中を押され、ますます筆が乗りました。

――今回からは第6係の新係長・国木田(谷原章介)と、古河の側近・宗像(皆川猿時)という新レギュラー陣も加わりました。どんなキャラをどう配置するか、いろいろ考えられたかと思うのですが…。

【大森】そうなんです。ただ、谷原さんは一度『未解決の女』のドラマスペシャルに出てくださっていますし、谷原さんならこの世界観を楽しんで、一緒にやってくださるんじゃないかな、と。すごく信頼して書かせていただきました。皆川さんに関してはSeason1の執筆中に「もっと古賀さんが上司として、朋ちゃんや理沙さんとやり合うようにするには、どうすればいいだろう!?」と考えを巡らせたとき、「古賀さんがいつもしゃべれるような人に、側にいてほしいなぁ」という思いが湧いてきたんです。その役回りを今回、皆川さんにお願いしたのですが、時々ビックリするくらい(笑)、想像していた以上のキャラクターを演じていただきまして! 沢村さんもさらに楽しそうに演じてらっしゃったので、ありがたかったです。

■撮影現場で前作以上のチームワークを体感! 「素敵なサロンのようでした(笑)」

――大森さんは撮影現場にも行かれたそうですね。

【大森】私がまだ脚本を書いている途中で現場に行ったりすると、「まだ書けていないのに、なんで来てるんだ!?」という目で見られてしまう可能性がありますので(笑)、すべて書き終えた後…クランクアップの1週間前に1日ずつ、スタジオとロケにお邪魔したんです。

 現場では、ドラマにもにじみ出ているチームワークを感じました。実は、Season1のときも1回だけ現場にお邪魔したのですが、そのときよりもさらに信頼関係が強まっている印象でした。スタジオに隣接した控え室でとても楽しそうに会話されている姿を見て、頼もしさを感じましたね! 皆さん、大人な方たちが多いからなのか、はしゃいでるという感じではなく、落ち着いた様子で楽しそうに過ごしてらっしゃって…。まるで素敵なサロンのようでした(笑)。

――メインキャラクターを演じる波瑠さんと鈴木京香さんの印象も、改めて教えてください。

【大森】波瑠さんはいつも堂々としてらっしゃるんですよね。『未解決の女』チームの中ではお若い方だと思うのですが、まぁ腹の座った立派なお嬢さんで、本当に頼りになる! 私の脚本はどれもせりふが長い上に(笑)、今回は刑事さんのせりふなので専門的な用語も多いのですが、それも完全に自分のものにして発信されるので、『あさが来た』以来いつも全幅の信頼を置いております。

 京香さんとは前回、そんなにお話する機会がなかったのですが、今回は京香さんの方から話し掛けてくださり、台本の感想なども教えてくださって…。その凛とした佇まいに見とれ、緊張してしまいました(笑)。現場でも劇中でも、そんなおふたりのペア感はどんどん増していますし、シチュエーションに合わせてボケにもツッコミにもなる関係性というのはおふたりだからこそ成り立っているのだな、と改めてありがたく思いました。

■最終回は「文字の世界は奥が深いな、と再認識させられた」

――そんな中、Season2も最終回の放送を迎えます。

【大森】脚本を書いている期間はすごく長かったのですが、オンエアが始まったら、あっという間でちょっと寂しくもありますね。もうちょっとたくさん書いた気もするけど、そんなことは全然なかったんだな…と思ったりしました(笑)。最終回の本編映像も視聴者の皆さんより一足お先に拝見しましたが、第6係の文書捜査官たちが今まで培ってきた信頼関係と結束力、文書捜査官ならではのメッセージが伝わる最終回になったんじゃないかな、と思っております。

――要所要所で、今までになかった「文書捜査官として」というせりふが出てきて、胸アツでした!

【大森】あぁ、よかったです(笑)! 脚本を書いているときは、「今回の最終回では、文書捜査官としての矜持を伝えなければ!」と思っていたのですが、実は書いたのが随分前でしたので、自分の中では「私、あのときは結構熱い思いを持っていたんだなぁ」と、だんだん気恥ずかしくなってきていまして…(笑)。原作の麻見和史先生も喜んでくださると、うれしいのですが…。と同時に、麻見先生がこれからもっと原作を書いてくださるといいな、とも思っております。実は、私自身も『未解決の女』の脚本を書けば書くほど、「文字の世界は奥が深いな」と再認識させられるところがあって、もっと追求してみたいんです。

――これは…現段階で未定ではありますが、続編実現への期待が高まります。

【大森】『未解決の女』は、私にとって初めてのシリーズものでしたので、本当にうれしかったんです。脚本家は通常“キャラクターを生んではさようなら”を繰り返していく仕事。そんな中、「またあの人たちに会える!」という喜びを初めて味わわせていただきましたし、また味わえるといいなぁと願っております。こればかりはテレビ朝日さんの判断に委ねるしかありませんが(笑)、とにかくSeason2の最終回は“今シリーズをまとめつつも、まだまだどんでん返しが待ち構える、とても勢いのある内容”となっております。

 各キャラクターもそれぞれの役割を果たし、清々しい思いで見終わっていただけるのではないか、と。個人的には、ついに朋ちゃんが理沙さんさながらに「文字の神様が…!」と言うくだりが、楽しかったです(笑)。そのてん末も含めて、どうなるか…。市原隼人さん、北乃きいさんを始め、ゲストの皆さんも素晴らしいお芝居を見せてくださっていますし、最後まで二転三転する物語を楽しんでいただけるとうれしいです。