“歌舞伎界の貴公子”と称される五代目尾上菊之助が、テレビドラマで初主演を務めることが明らかになった。テレビ朝日系で10月1日放送予定のドラマスペシャル『刑事アフター5』(後8:00~9:48)で、9時5時勤務、残業ゼロでアフター5を謳歌しつつも事件を解決していく、これまでの刑事ドラマの概念を覆す、斬新すぎる刑事を演じる。

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 音羽屋の芸を受け継ぎ、色気ある立役、女形を演じ分け、現代の歌舞伎を担う菊之助は、近年『下町ロケット』(2018、19年)、『グランメゾン東京』(19年)などのドラマでもその演技力を発揮し、存在感を放ってきた。

 テレビ朝日のドラマ初出演にして、初主演となる『刑事アフター5』は、テレワークやリモート会議など、これまでの働き方が180度変わっていく世相を反映して、9時5時勤務、残業ゼロという、刑事という職業では絶対にあり得ない勤務体系で事件を解決していく、まったく新しい刑事ドラマ。

 菊之助が演じるのは、これまで犯人逮捕のために人生を捧げ、家族や自分の時間も顧みず捜査に突き進んできた主人公の広橋航(ひろはし・わたる)。犯人の気配を捕らえる姿が獲物を狙うハシビロコウに似ていることから、“捜1のハシビロコウ”と呼ばれ、刑事一筋で邁進してきたが、働き方改革の煽りで、これまでの刑事生活を一変せざるを得なる。労務管理コンサルタントの女性の監視下で戸惑い、抵抗しながらも、やがて新しい働き方、価値観を受け入れていくことに…。

 初の刑事役に挑むにあたり、警察への取材を敢行した菊之助。「警察は治安を守る方たちなので、『働き方改革なんて言ってられないですよね?』と聞いたら、意外にも『いや、そうじゃないんです。警察の中でも働き方改革には厳しくやっていて、それはリアルな話なんですよ』とおっしゃっていて。それを聞いて、この作品は架空の話だけではなくて、実際に起きている話なんだと理解しました」。

 強制的にアフター5の時間を持つことになり、料理教室にダンス教室、オシャレな飲食店など、これまで踏み入れたことがなかった世界に飛び込んでいく。そのことが事件を解決に導くことになる。

 菊之助は「もちろん仕事に没頭するというのも大事なんですけども、余裕やゆとりを持つことで事件解決につながっていくんだっていう重要な鍵を担っているので、働き方について考えさせられました」。 

 そして、大きな見どころになりそうなのが、アフター5に広橋が、アルゼンチンタンゴの教室に通うシーン。これまで日本の伝統芸能である歌舞伎一筋にきた菊之助が、180度畑違いのアルゼンチンタンゴに初挑戦した。これは菊之助にとっても貴重な経験になったようで、「踊りという同じジャンルですが、日本舞踊とリズムの取り方が異なり、とても難しかったです。タンゴの先生も教えるのにすごく苦労されたと思います…。ですが、アルゼンチンタンゴのシーンはかなり面白いと思いますよ(笑)」とニヤリ。

 タンゴをはじめ、これまで経験してこなかったさまざまな“初物”に触れていくことで、徐々に変化していく広橋を、菊之助がどう演じるのか、ニュータイプ刑事役をとおして、どんな新たな一面を見せてくれるのか。

 菊之助は「この作品はサスペンスの謎解き要素もあり、刑事ドラマのしっかりした部分も楽しめながら、コメディーの要素も入っていますので、老若男女問わず家族そろって肩の力抜いてみていただけるドラマになっていると思います。ぜひ家族そろって見て笑っていただければと思います」と、作品をアピールしている。